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株を学ぶ / 基礎指標

会計基準の違い(日本基準・IFRS・米国基準)

基準が違うと営業利益の中身も変わる。基準をまたいで数字を比べてはいけない。

ひとことで言うと

決算書の作り方には数種類あり、同じ会社でも基準が違えば利益の額が変わります。

もう少しくわしく

日本の上場企業が使う基準は、主に3つです。

基準 どんな会社が使うか
日本基準 最も多い
IFRS(国際会計基準) 海外売上の大きい会社、大企業に多い
米国基準 米国にも上場している一部の会社

どれを使うかは会社が選べます。 そして近年、日本基準からIFRSへ移る会社が増えています。

ここで問題が起きます。

基準が違うと、同じ言葉が違うものを指します。

いちばん大きいのは、経常利益と特別損益です。

日本基準 IFRS
売上総利益 ある ある
営業利益 ある あるが中身が違う
経常利益 ある ない
特別損益 ある ない
当期純利益 ある ある

IFRSには経常利益がありません。 特別損益という区分もありません。

日本基準で「特別損失」に入れる工場の売却損や減損は、IFRSでは営業利益の中に入ることがあります。

実際の数字で見る

同じ中身の会社が、2つの基準で決算書を作った場合を見ます。

日本基準 IFRS
売上高 1,000億円 1,000億円
売上原価・販管費 −900億円 −900億円
営業利益 100億円 100億円
減損損失 特別損失に計上 営業利益から引く
減損の額 −40億円 −40億円
表示される営業利益 100億円 60億円

中身はまったく同じなのに、営業利益が100億円と60億円になります。

この2社を「営業利益が高いほうが優れている」と比べれば、まったく間違った結論になります。

もう1つ、のれんでも大きな差が出ます。

日本基準 IFRS・米国基準
のれんの扱い 毎年少しずつ償却する 償却しない
利益への影響 毎年、費用が発生する 費用が発生しない
価値が下がったとき 減損する 減損する

買収を繰り返す会社が日本基準からIFRSに移ると、のれんの償却費がなくなるため、利益が増えます。

事業は何も変わっていません。 基準を変えただけです。

ここに注意

基準が違う会社どうしで、営業利益や利益率を比べないでください。

比べるときは、次の順で確かめます。

1. どの基準か確かめる。

決算短信の1ページ目に書かれています。「(IFRS)」と付いていれば国際会計基準です。

2. 同じ基準の会社と比べる。

同業でも、A社が日本基準、B社がIFRSということはよくあります。その場合、営業利益率の比較はできません。

3. 基準をまたぐなら、比べられる指標を使う。

比べにくい 比べやすい
営業利益・営業利益率 売上高
経常利益(IFRSにない) 営業キャッシュフロー
のれん償却の影響を受ける利益 EBITDA

売上高と営業キャッシュフローは、基準の違いに左右されにくい数字です。営業CFは、実際に入ってきた現金だからです。

そして、注意すべき場面があります。

その会社が基準を変えた年です。

日本基準からIFRSに移った年は、利益が大きく増えることがあります。決算短信には前年の数字も新基準に直したものが載りますが、ニュースやサイトの表示が追いついていないことがあります。

「今期は営業利益が40%増えた」という数字を見たら、基準変更がなかったかを確かめてください。

最後に、どちらが優れているかについて書いておきます。

どちらが正しいということはありません。 それぞれ考え方が違うだけです。

  • 日本基準は、本業の稼ぎ(営業利益)と一時的なもの(特別損益)を分けて見せる
  • IFRSは、起きたことはすべて本業の成績に含めて見せる

どちらの立場にも理屈があります。大事なのは、どちらの物差しで測られた数字なのかを知ったうえで読むことです。

関連する言葉

  • 営業利益 本業だけで稼いだ利益。会社の実力を最も素直に表す数字。
  • 経常利益 営業利益に、利息など本業以外の日常的な収支を加えた利益。日本独自の項目。
  • のれん 買収で相手の純資産を超えて払った上乗せ分。うまくいかないと減損として一気に消える。
  • 特別損益 一度きりの利益や損失。これを含む当期純利益だけを見ると、実力を見誤る。
  • 連結決算 親会社と子会社をまとめた決算。投資判断に使うのは原則こちら。
最終更新
2026-09-17