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株を学ぶ / 基礎指標

特別損益

一度きりの利益や損失。これを含む当期純利益だけを見ると、実力を見誤る。

ひとことで言うと

その年だけの、一度きりの利益や損失のことです。

もう少しくわしく

損益計算書は、経常利益の後に特別利益と特別損失を加減して、当期純利益を出します。

損益計算書のなかの当期純利益税金まで引いて最後に残るのが当期純利益であることを示した図。 1,000 売上高 -620 売上原価 380 売上総利益 -300 販管費 80 営業利益 -15 営業外収支 65 経常利益 -21 税金など 44 当期純利益 億円
その時点の利益差し引かれる費用
経常利益から税金などを引いて当期純利益になりますが、その手前に特別損益が入ります。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

「特別」とは、毎年は起きないという意味です。

特別利益の例 特別損失の例
土地・建物の売却益 減損損失
投資有価証券の売却益 災害による損失
保険金の受取 工場・店舗の閉鎖費用
補助金の受取 訴訟の和解金
負ののれん発生益 早期退職の割増退職金

経常利益までは「毎年くり返し起きること」、特別損益は「今年だけのこと」という区分です。

実際の数字で見る

特別損益が当期純利益をどう歪めるかを見ます。

A社 B社
売上高 500億円 500億円
営業利益 +30億円 -5億円
経常利益 +28億円 -8億円
特別利益(土地売却) 0円 +40億円
税金など -8億円 -12億円
当期純利益 +20億円 +20億円

当期純利益は同じ20億円です。しかし中身は正反対です。

  • A社 … 本業で30億円稼いでいる
  • B社 … 本業は赤字。土地を売って穴を埋めた

B社が来年も20億円を出すには、また何かを売らなければなりません。 売るものには限りがあります。

そして、このときPERの見え方に問題が起きます。B社のEPSは一時的に膨らむため、PERが低く表示され、割安に見えます。

ここに注意

当期純利益が大きく動いた年は、必ず特別損益の中身を確認してください。

確認する順番はこうです。

  1. 営業利益を見る … 本業の実力
  2. 経常利益を見る … 借金の重さが表れる
  3. 当期純利益を見る … 特別損益を含んだ最終結果

1と3が大きくずれている年は、特別損益が効いています。

決算短信の損益計算書に、特別利益・特別損失の内訳が載っています。金額の大きいものには名称が明記されています。

そして、いくつか注意すべき形があります。

1. 特別利益で赤字を隠す。

本業が赤字でも、資産を売れば最終利益は黒字にできます。「最終黒字を確保」という見出しだけで判断しないでください。

2. 特別損失をまとめて出す年がある。

経営陣が交代した年に、過去の問題をまとめて損失計上することがあります。ビッグバスと呼ばれます。

その年は大赤字になりますが、翌年からは身軽になります。 悪いことばかりではありません。

3. 「特別」が毎年出ている会社がある。

毎年のように特別損失が出ているなら、それは特別ではありません。 構造的な問題がある可能性があります。過去5年分を並べて確認してください。

最後に、当サイトのデータについて。

当サイトは営業利益・経常利益・当期純利益をそのまま表示しています。 特別損益を除いた数字(いわゆる調整後利益)は作っていません。

理由は2つです。何を除くかの判断に恣意性が入ること、そしてEDINETから機械的に取得できる項目を優先していることです。

読者が3つの利益を並べて見れば、特別損益が効いた年かどうかは分かります。その判断は読者に委ねています。

関連する言葉

  • 当期純利益 税金も引いた後、最終的に会社に残る利益。配当やEPSのもとになる。
  • 減損 資産の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理。黒字が一気に赤字になる。
  • 営業利益 本業だけで稼いだ利益。会社の実力を最も素直に表す数字。
  • 経常利益 営業利益に、利息など本業以外の日常的な収支を加えた利益。日本独自の項目。
最終更新
2026-09-16