特別損益
一度きりの利益や損失。これを含む当期純利益だけを見ると、実力を見誤る。
ひとことで言うと
その年だけの、一度きりの利益や損失のことです。
もう少しくわしく
損益計算書は、経常利益の後に特別利益と特別損失を加減して、当期純利益を出します。
「特別」とは、毎年は起きないという意味です。
| 特別利益の例 | 特別損失の例 |
|---|---|
| 土地・建物の売却益 | 減損損失 |
| 投資有価証券の売却益 | 災害による損失 |
| 保険金の受取 | 工場・店舗の閉鎖費用 |
| 補助金の受取 | 訴訟の和解金 |
| 負ののれん発生益 | 早期退職の割増退職金 |
経常利益までは「毎年くり返し起きること」、特別損益は「今年だけのこと」という区分です。
実際の数字で見る
特別損益が当期純利益をどう歪めるかを見ます。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 500億円 | 500億円 |
| 営業利益 | +30億円 | -5億円 |
| 経常利益 | +28億円 | -8億円 |
| 特別利益(土地売却) | 0円 | +40億円 |
| 税金など | -8億円 | -12億円 |
| 当期純利益 | +20億円 | +20億円 |
当期純利益は同じ20億円です。しかし中身は正反対です。
- A社 … 本業で30億円稼いでいる
- B社 … 本業は赤字。土地を売って穴を埋めた
B社が来年も20億円を出すには、また何かを売らなければなりません。 売るものには限りがあります。
そして、このときPERの見え方に問題が起きます。B社のEPSは一時的に膨らむため、PERが低く表示され、割安に見えます。
ここに注意
当期純利益が大きく動いた年は、必ず特別損益の中身を確認してください。
確認する順番はこうです。
- 営業利益を見る … 本業の実力
- 経常利益を見る … 借金の重さが表れる
- 当期純利益を見る … 特別損益を含んだ最終結果
1と3が大きくずれている年は、特別損益が効いています。
決算短信の損益計算書に、特別利益・特別損失の内訳が載っています。金額の大きいものには名称が明記されています。
そして、いくつか注意すべき形があります。
1. 特別利益で赤字を隠す。
本業が赤字でも、資産を売れば最終利益は黒字にできます。「最終黒字を確保」という見出しだけで判断しないでください。
2. 特別損失をまとめて出す年がある。
経営陣が交代した年に、過去の問題をまとめて損失計上することがあります。ビッグバスと呼ばれます。
その年は大赤字になりますが、翌年からは身軽になります。 悪いことばかりではありません。
3. 「特別」が毎年出ている会社がある。
毎年のように特別損失が出ているなら、それは特別ではありません。 構造的な問題がある可能性があります。過去5年分を並べて確認してください。
最後に、当サイトのデータについて。
当サイトは営業利益・経常利益・当期純利益をそのまま表示しています。 特別損益を除いた数字(いわゆる調整後利益)は作っていません。
理由は2つです。何を除くかの判断に恣意性が入ること、そしてEDINETから機械的に取得できる項目を優先していることです。
読者が3つの利益を並べて見れば、特別損益が効いた年かどうかは分かります。その判断は読者に委ねています。
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- 最終更新
- 2026-09-16