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株を学ぶ / 基礎指標

減損

資産の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理。黒字が一気に赤字になる。

ひとことで言うと

買ったものが期待どおり稼げないと分かったとき、その分を一度に損失として計上する処理です。

もう少しくわしく

3,000万円で機械を買ったとします。帳簿には資産として3,000万円と書かれます。

ところが需要が消え、この機械は今後500万円分しか稼げないと判明しました。

このとき、帳簿の3,000万円は実態と合っていません。そこで2,500万円を損失として計上し、資産の額を500万円に書き直します。 これが減損です。

正式には減損損失、会計上の手続きは減損処理と呼びます。

減損の対象になるのは、次のようなものです。

  • 工場、店舗、機械などの固定資産
  • のれん(買収時の上乗せ分)
  • 投資有価証券

減損には、押さえておくべき2つの性質があります。

1. 現金は出ていきません。

減損は帳簿上の書き換えです。お金が社外へ流れるわけではありません。 そのため営業キャッシュフローには影響しません。

2. 損失としては、極めて大きな額になります。

少しずつではなく、一度にまとめて計上されるためです。

実際の数字で見る

海外子会社ののれんを減損した会社の例です。

減損前の見込み 実際
営業利益 +180億円 +180億円
経常利益 +165億円 +165億円
特別損失(減損) 0円 -940億円
当期純利益 +115億円 -800億円
減損があった年の利益営業利益は変わらないのに、減損によって当期純利益が赤字に転じる形。 180 営業利益 -15 営業外収支 165 経常利益 -940 減損損失 -25 税金など -800 当期純利益 億円
減損。現金は出ていかないが利益は削られる
営業利益も経常利益も黒字のままですが、減損を計上した段階で当期純利益が大きな赤字に転じています。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

営業利益は変わっていません。 本業は好調なままです。

しかし当期純利益は、115億円の黒字から800億円の赤字へ転じました。

このとき起きることは、次のとおりです。

  • 純資産が800億円減る → 自己資本比率が低下
  • BPSが下がる → PBRが上昇(割安に見えなくなる)
  • 赤字なのでEPSが計算できない → PERが表示できなくなる
  • 配当を維持できず、減配になることがある

ここに注意

減損が発表されたとき、まず見るべきは営業利益です。

減損は、過去の判断が間違っていたことを認める処理です。未来の話ではありません。

したがって、次の2つは区別して考える必要があります。

状況 意味
営業利益は好調。減損で最終赤字 過去の買収の失敗。本業は動いている
営業利益も悪化。加えて減損 本業そのものが傾いている

前者の場合、減損は「膿を出した」とも言えます。翌期からはその資産にかかる償却費が減るため、利益はむしろ改善することがあります。 発表後に株価が上がる例があるのは、このためです。

後者は深刻です。減損は結果であって原因ではありません。

もう一つ、重要な注意があります。

減損は一度で終わるとは限りません。

買収した事業の不振が続けば、翌年も翌々年も減損が発生します。「今回で終わり」と考えるのは危険です。減損の理由を決算短信で確認し、その原因が解消されたかを見てください。

最後に、当サイトのデータについての説明です。

減損があった年の財務指標は、平常時と比べられません。 ROEやPERが極端な値になるか、計算できなくなります。当サイトはEDINETから取得した数字をそのまま表示しているため、こうした年の数値はその年だけの特殊な状態として扱ってください。複数年を並べて見れば、どの年が特殊かはすぐ分かります。

関連する言葉

  • のれん 買収で相手の純資産を超えて払った上乗せ分。うまくいかないと減損として一気に消える。
  • 当期純利益 税金も引いた後、最終的に会社に残る利益。配当やEPSのもとになる。
  • 営業利益 本業だけで稼いだ利益。会社の実力を最も素直に表す数字。
  • 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
最終更新
2026-09-16