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株を学ぶ / 基礎指標

当期純利益

税金も引いた後、最終的に会社に残る利益。配当やEPSのもとになる。

ひとことで言うと

すべてを差し引いた後、最後に会社に残る利益です。配当のもとになります。

もう少しくわしく

損益計算書の一番下に書かれる数字です。ボトムラインとも呼ばれます。

経常利益から、さらに次のものを差し引きます。

損益計算書のなかの当期純利益税金まで引いて最後に残るのが当期純利益であることを示した図。 1,000 売上高 -620 売上原価 380 売上総利益 -300 販管費 80 営業利益 -15 営業外収支 65 経常利益 -21 税金など 44 当期純利益 億円
その時点の利益差し引かれる費用
税金まで引いて、最後に残るのが当期純利益です。損益計算書のいちばん下にあります。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。
項目 例
特別利益 土地や株の売却益、保険金の受取
特別損失 災害による損害、工場の閉鎖費用、減損
法人税等 利益にかかる税金(実効税率でおよそ30%)

残ったものが当期純利益です。

この数字が重要なのは、ここから先の使い道が決まるためです。

  • 配当として株主に配る
  • 内部留保として会社に残す(純資産が増える)

そして次の2つの計算のもとになります。

EPS(1株あたり利益) = 当期純利益 ÷ 発行済株式数 PER = 株価 ÷ EPS

つまりPERの分母をたどると、当期純利益にたどり着きます。

実際の数字で見る

当期純利益が急増した会社の中身を見ます。

前期 今期
営業利益 40億円 38億円
経常利益 35億円 33億円
特別利益(本社ビル売却) 0円 +120億円
法人税等 -11億円 -46億円
当期純利益 24億円 107億円

当期純利益は4.5倍になりました。しかし営業利益は減っています。

増えた分は、本社ビルを売った一度きりの利益です。来期には消えます。

このとき、PERの見え方に問題が生じます。株価が変わらないままEPSが4.5倍になるため、PERは4.5分の1に下がり、極端に割安に見えます。

しかしそれは、一度きりの利益で計算された見かけの割安さです。

ここに注意

当期純利益だけで判断すると、一度きりの損益に振り回されます。

当期純利益は、損益計算書の中で最も振れやすい数字です。理由は、特別損益が含まれるためです。

  • 保有していた株の売却益で、突然利益が3倍になる
  • 減損で、黒字だった会社が一気に大赤字になる

減損とは、買収した会社や設備の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理です。現金が出ていくわけではありませんが、当期純利益は大きく削られます。

そのため、業績を見るときの順番はこうです。

  1. 営業利益 … 本業の実力。まずここを見る
  2. 経常利益 … 借金の重さが表れる
  3. 当期純利益 … 最終結果。ただし一度きりの要素を含む

当期純利益が大きく動いたときは、決算短信で特別損益の中身を確認してください。 何がいくら計上されたかが書かれています。

もう一点、赤字のときの注意です。

当期純利益が赤字だと、PERは計算できません。 当サイトでもPERの欄が空欄になります。これは不備ではなく、割安かどうかを利益で測れない状態だという意味です。

赤字が一度きりの減損によるものか、本業の不振によるものかで、意味はまったく違います。営業利益を見れば区別できます。

この数字を、実際の上場企業で見る

3,657社・2026-10-30時点

いま決算の数字がそろっている上場企業3,657社で見ると、当期純利益の真ん中(中央値)は14.2億円です。

半分の会社が2.9億円から61.1億円のあいだに入っています。

このほか、当期純利益がマイナス(赤字)の会社が423社あり、図には入れていません。

当期純利益の分布当期純利益ごとの会社の数。〜10億が1173社、10億〜100億が1357社、100億〜1000億が581社、1000億〜1兆が117社、1兆〜が6社。合計3234社。 1,173 〜10億 1,357 10億〜100億 581 100億〜1000億 117 1000億〜1兆 6 1兆〜 社

業種によって「ふつう」が違う

当期純利益の中央値が高い業種と低い業種です(当期純利益が出ている会社が10社以上ある業種のみ)。 同じ数字でも、業種によって高い・低いの意味が変わります。

業種中央値社数
保険業317.7 億円14社
銀行業173.4 億円79社
陸運業122.3 億円56社
⋮
医薬品-3 億円79社
情報・通信業4.9 億円597社
サービス業5.8 億円526社

よく知られた会社は、どのあたりにいるか

時価総額の大きい順に5社。業績の良し悪しで選んだものではありません。

会社当期純利益全体の中での位置
トヨタ自動車 3.8 兆円上位1%
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2.4 兆円上位1%
リクルートホールディングス 4,969.1 億円上位1%
ソフトバンクグループ 5 兆円上位1%
アドバンテスト 3,753.5 億円上位1%

関連する言葉

  • 営業利益 本業だけで稼いだ利益。会社の実力を最も素直に表す数字。
  • 経常利益 営業利益に、利息など本業以外の日常的な収支を加えた利益。日本独自の項目。
  • EPS(1株あたり利益) 会社の利益を株の数で割った数字。株1つが1年でいくら稼いだかを表す。
  • 配当性向 会社が稼いだ利益のうち、何%を配当として株主に配ったかを示す割合。
最終更新
2026-09-16