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株を学ぶ / 基礎指標

のれん

買収で相手の純資産を超えて払った上乗せ分。うまくいかないと減損として一気に消える。

ひとことで言うと

会社を買うとき、相手の財産の額を超えて払った上乗せ分です。ブランドや技術への値段です。

もう少しくわしく

ラーメン屋を買う場面を考えてください。

  • 店の設備、材料、預金を合計すると … 2,000万円
  • しかし行列ができる人気店なので … 5,000万円で買った

差額の3,000万円が「のれん」です。

商店の入口に掛かっている「暖簾」が語源です。目に見えないが価値のあるもの、つまりブランド、常連客、レシピ、従業員の技能に対して払った金額を指します。

会計上、のれんは資産として貸借対照表に計上されます。建物や機械と同じ扱いです。

ここに問題があります。のれんは、売って現金化できません。 建物なら売れますが、「行列ができる人気」は単独では売れません。

そして、その人気が失われたとき。のれんの価値は消えます。

実際の数字で見る

のれんが純資産に占める割合を確認します。

A社 B社
総資産 2,000億円 2,000億円
うちのれん 80億円 520億円
純資産 700億円 700億円
のれん ÷ 純資産 11% 74%

自己資本比率はどちらも35%です。数字の上では同じ体力に見えます。

しかしB社は、純資産700億円のうち520億円が「のれん」です。買収した事業がうまくいかず全額を減損すれば、純資産は180億円に激減します。自己資本比率は9%まで落ちます。

財務の安全性が、一晩で崩れます。

ここに注意

のれんが大きい会社では、BPSと自己資本比率の信頼性が下がります。

BPS(1株あたり純資産)は、「会社をたたんだら株1つにいくら残るか」を示す数字です。しかしのれんは換金できないため、実際にたたんだときには残りません。

PBR(株価 ÷ BPS)が0.8倍で割安に見えても、のれんを除いて計算し直すと1.5倍だった、ということが起こります。

確認の方法は次のとおりです。有価証券報告書の貸借対照表で、「のれん」の金額を見てください。 これを純資産と比べます。

のれん ÷ 純資産 見方
20%未満 気にしなくてよい
20〜50% 減損リスクを意識する
50%超 BPSと自己資本比率を額面どおりに受け取らない

もう一つ、会計基準による違いがあります。

会計基準 のれんの扱い
日本基準 20年以内に毎年少しずつ費用にする(償却)
IFRS 償却しない。価値が下がったときだけ減損

IFRSを採用している会社では、のれんが何年たっても減りません。そして下がるときは一度に下がります。

日本基準の会社は毎年少しずつ費用計上するため、利益は抑えられますが、巨額の減損が突然出るリスクは小さくなります。

海外企業の買収を繰り返している会社でIFRSを採用している場合、のれんの残高は必ず確認してください。 数百億円規模の減損で、黒字企業が一気に大赤字に転じた例は数多くあります。

関連する言葉

  • 減損 資産の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理。黒字が一気に赤字になる。
  • BPS(1株あたり純資産) 会社を今たたんだとき、株1つに割り当てられる財産の額。PBRを計算するもとになる。
  • 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
  • 当期純利益 税金も引いた後、最終的に会社に残る利益。配当やEPSのもとになる。
最終更新
2026-09-16