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株を学ぶ / 制度・仕組み

配当落調整金

信用取引で配当の代わりにやり取りするお金。優待クロスでは配当の5%が持ち出しになる。

ひとことで言うと

信用取引で建玉を持ったまま権利確定日をまたいだときに、配当の代わりにやり取りするお金です。

もう少しくわしく

配当を受け取れるのは、株を実際に持っている株主だけです。

信用取引では、株を借りたり貸したりして売買しています。実際の株主ではありません。

しかし、権利確定日をまたいで建玉を持っていると、株価は配当の分だけ下がります(権利落ち)。 何もしなければ、信用取引をしている人だけが損得をします。

そこで、配当に相当する金額をやり取りして帳尻を合わせます。 これが配当落調整金です。

建玉 配当落調整金
信用買い 受け取る
信用売り(空売り) 支払う

考え方は単純です。

  • 信用買いは、株を持っているのと同じ立場 → 配当に相当する額を受け取る
  • 信用売りは、株を借りて売っている → 貸した人に配当相当額を渡す

実際の数字で見る

制度信用取引では、配当金額の84.685%相当とされるのが一般的です。

この数字の出どころは、はっきりしています。

100% − 15.315%(所得税および復興特別所得税)= 84.685%

住民税の5%は引かれていません。 ここが、後で効いてきます。

100株、1株あたり配当30円の場合を計算します。

金額
配当金額 30円 × 100株 = 3,000円
信用買いで受け取る額 3,000円 × 84.685% = 2,540円
信用売りで支払う額 3,000円 × 84.685% = 2,540円

次に、優待クロスで何が起きるかを見ます。

優待クロスは、同じ銘柄を現物で買い、同時に信用で売る方法です。株価の変動を打ち消したうえで、優待だけを受け取ります。

金額
現物の配当(税引前) 3,000円
源泉徴収(20.315%) −609円
現物の配当(手取り) 2,391円
信用売りで支払う調整金 −2,540円
差引 −150円

配当を受け取っているのに、150円の持ち出しになります。

理由は、上に書いた数字の差です。

率
現物で手元に残る割合 100% − 20.315% = 79.685%
信用売りで支払う割合 84.685%
差 5.0%

この5.0%は、住民税の分です。現物の配当からは住民税も引かれますが、調整金の計算では引かれていません。

配当額の5%が、優待クロスの見えない費用になっています。

配当が大きいほど、この額も大きくなります。

配当金額 持ち出し(5%)
3,000円 150円
10,000円 500円
50,000円 2,500円

ここに注意

優待クロスの費用は、貸株料と手数料だけではありません。

優待クロスを紹介する記事の多くは、貸株料(株を借りる費用)と売買手数料を費用として挙げます。

しかし、配当落調整金の差も費用です。ここを数えていない計算は、利益を多く見せています。

費用 よく数えられるか
売買手数料 数えられる
貸株料 数えられる
逆日歩 数えられることが多い
配当落調整金の差(5%) 抜けていることが多い

配当利回りの高い銘柄ほど、この費用が効きます。

もう4つ、知っておいてください。

1. 信用の種類で扱いが変わります。

種類 扱い
制度信用取引 84.685%相当が一般的
一般信用取引 証券会社ごとに決めている。100%のこともある

一般信用では、証券会社が独自に決めます。 使う前に、その証券会社の説明を必ず読んでください。

2. 税金の扱いは、口座と状況で変わります。

特定口座では、支払った調整金が譲渡損益に反映される扱いになることがあります。その場合、他の利益と相殺され、最終的な手取りが変わります。

ここは条件によって結果が変わる部分です。税務署または税理士に確認してください。このサイトは情報を提供するものであって、税務の助言をするものではありません。

3. 受け取る側も、配当そのものではありません。

信用買いで受け取る調整金は、配当金ではありません。 そのため、配当控除の対象にもなりません。

「信用買いでも配当がもらえる」という説明を見かけますが、もらっているのは配当ではなく調整金です。名前が違うだけでなく、税金の扱いも違います。

4. いつ反映されるかは、すぐではありません。

調整金が口座に反映されるのは、配当が実際に支払われた後です。権利確定から2〜3か月後になることがあります。

すぐに増えたり減ったりしないため、忘れたころに口座の数字が動きます。

そのうえで、実際の判断のしかたを書いておきます。

優待クロスをするなら、優待の価値と、配当額の5%を並べてください。

銘柄の例 優待の価値 配当(100株) 5%の持ち出し
A社 3,000円相当 2,000円 100円
B社 3,000円相当 20,000円 1,000円

同じ優待でも、配当の大きい銘柄ほど費用がかかります。

これに貸株料と手数料を足して、優待の価値を超えていないかを確かめてください。超えていれば、クロスする意味がありません。

なお、優待クロスそのものの是非は、優待クロスのページで扱っています。

関連する言葉

  • 信用取引 証券会社からお金や株を借りて売買する仕組み。手持ち以上の金額を動かせるが、損も拡大する。
  • 優待クロス 株価の変動を打ち消して株主優待だけを取る手法。費用の計算を誤ると損をする。
  • 権利確定日と権利落ち日 配当や優待をもらえる株主が決まる日と、その翌営業日に株価が下がりやすい現象。
  • 空売り(からうり) 持っていない株を借りて先に売り、値下がりしたら買い戻して差額を得る手法。
  • 源泉徴収あり・なしの選び方 特定口座の2つの方式。手間と、扶養や社会保険への影響が変わる。
最終更新
2026-09-18