うねり取り
1銘柄の上下を繰り返し取る手法。長年その銘柄を見続けることが前提になる。
ひとことで言うと
1つの銘柄に絞り、その上下の波を繰り返し取っていくやり方です。
もう少しくわしく
林投資研究所の林輝太郎らが体系化したとされる、日本独自の手法です。
考え方はこうです。
銘柄をあちこち変えず、1つの銘柄の癖を覚えて、その上下を取る。
| 普通の投資 | うねり取り |
|---|---|
| 良い銘柄を探す | 銘柄は固定する |
| 上がりそうなら買う | 下がったら買い、上がったら売る |
| 何銘柄も持つ | 1〜数銘柄に絞る |
なぜ銘柄を固定するのか。その銘柄の癖が分かるようになるためです。
- どれくらいの幅で動くか
- どのあたりで止まりやすいか
- 普段の出来高はどれくらいか
何年も同じ銘柄を見ていれば、これらが体に入ります。知らない銘柄を売買するより、判断の材料が多くなります。
そして、買いと売りの両方を使います。下げ局面では空売りで取ります。だから信用取引が前提になります。
実際の数字で見る
1,000円を中心に、900円から1,100円を行き来する銘柄があったとします。
| 回 | 行動 | 値段 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 1 | 買う | 920円 | |
| 売る | 1,080円 | +160円 | |
| 2 | 買う | 940円 | |
| 売る | 1,060円 | +120円 | |
| 3 | 買う | 910円 | |
| 売る | 1,090円 | +180円 | |
| 合計 | +460円 |
100株なら46,000円です。株価は1,000円のまま、どこにも行っていません。
しかし、4回目でこうなったとします。
| 回 | 行動 | 値段 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 4 | 買う | 930円 | |
| 下に抜けた | 600円 | −330円 |
1回で33,000円の損失です。3回分の利益(46,000円)の大半が消えます。
ボックス相場と同じ構造です。幅の中では取れますが、抜けたときに一度で失います。
ここに注意
これは、初心者に勧められる手法ではありません。理由を3つ挙げます。
1. 空売りを使います。
下げ局面を取るには空売りが必要です。しかし買いは家まで売りは命までのとおり、空売りの損失には上限がありません。
2. 1銘柄に集中します。
分散投資の反対です。その1社に不祥事が起これば、資産のすべてが直撃を受けます。
3. 覚えるまでに何年もかかります。
「癖が分かる」までには、同じ銘柄を何年も見続ける必要があります。その間、損を出しながら学ぶことになります。
授業料が高い手法です。
そのうえで、この手法から学べることは確かにあります。
銘柄を絞ると、判断の材料が増えます。
10銘柄を浅く知っているより、3銘柄を深く知っているほうが、判断は正確になります。
初心者がやりがちなのは、その逆です。
| よくある状態 | 問題 |
|---|---|
| 20銘柄持っている | どれも詳しく知らない |
| 話題の銘柄に次々乗る | どれも初めて見る会社 |
| 決算を読んでいない | 何が起きているか分からない |
うねり取りの発想を、空売りを使わない形で借りることはできます。
- 持つ銘柄を5社程度に絞る
- その5社の決算を毎回読む
- 業績が良いのに下げたときだけ買い増す
これなら、空売りの危険を避けながら「よく知っている銘柄で判断する」利点が得られます。
最後に、正直に書いておきます。
うねり取りが再現できる手法かどうかは、確かめられていません。
うまくいった人の本は残っていますが、同じやり方で失敗した人の記録は残りません。 これは株クラの生存者バイアスと同じ構造です。
「何年もかけて体得する」という性質上、検証もしにくい手法です。
やり方として知っておくのはよいことです。しかし、これを目指すかどうかは慎重に決めてください。
関連する言葉
- 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
- ボックス相場(レンジ相場) 決まった上下の幅を行き来する形。抜けたときに動きが大きくなりやすい。
- 分割売買(買い下がり・売り上がり) 一度に売買せず、何回かに分けること。ナンピンと違い、買う前に計画を決めておく。
- 空売り(からうり) 持っていない株を借りて先に売り、値下がりしたら買い戻して差額を得る手法。
- 握力(あくりょく) 株価が動いても売らずに持ち続ける精神力のこと。「握力が強い」などと使う。
- 最終更新
- 2026-09-17