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株を学ぶ / 基礎指標

当座比率

在庫を除いた支払い能力。流動比率が同じでも、在庫の多い会社はここで差が出る。

ひとことで言うと

在庫を当てにせずに、1年以内の支払いをまかなえるかを見る指標です。

もう少しくわしく

流動比率は、1年以内に現金化できる資産(流動資産)が、1年以内に払う義務(流動負債)の何%あるかを見ます。

しかし、流動資産には在庫が含まれています。

在庫は、売れなければ現金になりません。

そこで、在庫を除いて計算し直したのが当座比率です。

当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座資産とは、すぐに現金になるものです。

当座資産に入る 入らない
現金・預金 棚卸資産(在庫)
売掛金・受取手形 前払費用
短期で売れる有価証券

目安は100%以上です。100%あれば、在庫を売らなくても1年以内の支払いをまかなえます。

実際の数字で見る

流動比率が同じ2社を比べます。どちらも流動負債は500億円、流動資産は800億円です。

流動比率と当座比率流動比率は同じでも、在庫を除いた当座比率では差が出ることを示した図。 160% 流動比率 130% 当座比率 A社(在庫が少ない) 160% 流動比率 60% 当座比率 B社(在庫が多い) %
流動比率(在庫を含む)当座比率(在庫を除く)流動比率はどちらも160%。しかしB社は支払いに充てられる資産が流動負債の6割しかない
流動比率はどちらも160%。在庫を除くと、A社130%に対しB社は60%になる。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

中身を見ます。

A社 B社
現金・売掛金など 650億円 300億円
在庫 150億円 500億円
流動資産の合計 800億円 800億円
流動負債 500億円 500億円
流動比率 160% 160%
当座比率 130% 60%

流動比率はまったく同じです。 しかし当座比率は倍以上ちがいます。

B社は、在庫が売れなければ支払いが回りません。 流動資産の6割以上が在庫だからです。

計算を確かめます。

A社 … 650 ÷ 500 × 100 = 130% B社 … 300 ÷ 500 × 100 = 60%

B社の60%は、「支払うべき500億円に対して、すぐ用意できるのは300億円」という意味です。

ここに注意

当座比率が低いだけで危ないと決めつけないでください。業種によって普通の水準が違います。

在庫を多く持つのが当たり前の業種があります。

業種 在庫の性質
小売・アパレル 在庫がなければ商売にならない
不動産 販売用の土地・建物が在庫になる
電気・ガス そもそも在庫が少ない
ソフトウェア 在庫がほとんどない

アパレルの会社の当座比率が60%でも、同業他社も同じくらいなら、その業種では普通です。

比べる相手は、同じ業種の会社にしてください。 業種をまたいで比べても意味がありません。

そのうえで、本当に見るべきものがあります。

在庫が「売れる在庫」か「売れ残り」かです。

当座比率は、在庫を一律に除外します。しかし在庫の中身までは教えてくれません。

確かめる方法は2つあります。

1. 在庫が売上高より速く増えていないか。

売上高が5%しか伸びていないのに、在庫が30%増えていれば、売れ残りが積み上がっています。 棚卸資産の推移は決算短信に載っています。

2. 現金がどう動いているか。

在庫が増えると、営業キャッシュフローは減ります。 利益が出ているのに営業CFがマイナスの会社は、在庫か売掛金が膨らんでいる可能性があります。

最後に、この指標の位置づけです。

当座比率は「短期の支払いが回るか」しか見ていません。 その会社が儲かっているか、成長しているかは、まったく分かりません。

当座比率が300%でも、本業で赤字を出し続けていれば、現金は減っていきます。逆に当座比率が低くても、毎月確実に現金が入ってくる商売なら問題は起きにくいものです。

1つの指標で会社の安全性は測れません。自己資本比率、有利子負債、営業キャッシュフローと合わせて見てください。

関連する言葉

  • 流動比率 1年以内に払う負債を、1年以内に現金化できる資産で賄えるかを見る割合。
  • 棚卸資産(在庫) まだ売れていない商品や材料。増えすぎると、利益が出ていても現金が減っていく。
  • 運転資本 商売を回すために立て替えているお金。売上が伸びるほど増え、手元の現金は減る。
  • 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
  • 有利子負債 利息を払う必要がある借金。多すぎると、金利が上がったときに利益を削られる。
最終更新
2026-09-17