売掛金
売ったがまだ受け取っていない代金。回収できなければ、売上が損失に変わる。
ひとことで言うと
商品を売ったけれど、まだ代金を受け取っていない分のことです。
もう少しくわしく
会社どうしの取引では、その場で現金をやり取りしません。
「今月納めた分を、翌月末にまとめて払う」といった約束で取引します。このまだ受け取っていない代金が売掛金です。
逆に、仕入れてまだ払っていない分は買掛金です。
| 立場 | 決算書での場所 | |
|---|---|---|
| 売掛金 | 受け取る側 | 資産(流動資産) |
| 買掛金 | 払う側 | 負債(流動負債) |
ここで重要な点があります。
売上は、代金を受け取っていなくても計上されます。
商品を納めた時点で「売上100万円」と記録し、同時に「売掛金100万円」を資産に計上します。現金はまだ1円も入っていません。
この仕組みがあるため、利益と現金はずれます。
実際の数字で見る
売掛金の回収にかかる日数を売上債権回転日数と言います。
売掛金 ÷(売上高 ÷ 365)= 何日分の売上が未回収か
| 前期 | 今期 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 800億円 | 920億円 |
| 売掛金 | 132億円 | 227億円 |
| 回転日数 | 60日 | 90日 |
売上は15%伸びました。しかし未回収の期間が60日から90日に延びています。
これは次のどちらかを意味します。
- 取引先の支払いが遅れている(回収が悪化している)
- 支払い条件を緩めて売った(無理に売上を作った)
どちらにせよ、現金が入ってくるのが遅くなっています。
ここに注意
売掛金は資産として並んでいますが、回収できるとは限りません。
取引先が倒産すれば、その売掛金は回収できないまま損失になります。これを貸倒れ(かしだおれ)と言います。
会計では、回収できない可能性に備えて貸倒引当金を計上します。しかし引当金は見積もりであり、実際の損失がそれを超えることもあります。
確認すべき点は3つです。
1. 回転日数が延びていないか。
過去3〜5年の売上債権回転日数を並べてください。延び続けているなら、回収が悪化しています。
2. 特定の取引先に偏っていないか。
有価証券報告書の「事業等のリスク」に、主要な取引先への依存度が書かれていることがあります。1社への依存が高ければ、その1社の経営悪化がそのまま響きます。
3. 売上の伸びと売掛金の伸びが釣り合っているか。
売上の伸び < 売掛金の伸び なら要注意
売上が15%伸びているのに売掛金が72%増えているなら、売れたのではなく、回収できない相手に売った可能性があります。
そして最も重要な点です。
売掛金の急増は、粉飾決算の典型的な兆候の一つです。
実際には売れていないのに売上を計上する(架空売上)と、その分は永遠に回収されない売掛金として積み上がります。
過去の不正会計の事例では、売上の伸びに対して売掛金が不自然に膨らむという共通点が見られました。
売掛金だけで不正を見抜くことはできません。しかし営業キャッシュフローが利益に比べて極端に少ない状態が数年続くなら、その理由を確かめる価値があります。
なお、当サイトが表示している財務データには売掛金を含めていません。確認したい場合は有価証券報告書の貸借対照表を見てください。
関連する言葉
- 運転資本 商売を回すために立て替えているお金。売上が伸びるほど増え、手元の現金は減る。
- 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
- 流動比率 1年以内に払う負債を、1年以内に現金化できる資産で賄えるかを見る割合。
- 引当金 将来起きそうな支出に、あらかじめ備えて計上する費用。見積もりなので幅がある。
- 最終更新
- 2026-09-16