棚卸資産(在庫)
まだ売れていない商品や材料。増えすぎると、利益が出ていても現金が減っていく。
ひとことで言うと
まだ売れていない商品・製品・材料のことです。帳簿では資産ですが、売れなければ現金になりません。
もう少しくわしく
在庫のことです。決算書では棚卸資産と呼びます。
含まれるものは次のとおりです。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 商品 | 仕入れて、まだ売れていないもの |
| 製品 | 作って、まだ売れていないもの |
| 仕掛品 | 作りかけのもの |
| 原材料 | まだ使っていない材料 |
棚卸資産は流動資産に分類されます。つまり帳簿上は「1年以内に現金化できる財産」です。
しかし、ここに落とし穴があります。
売れなければ、現金になりません。 そして売れない在庫は、時間が経つほど価値が下がります。
- 衣料品 … 季節が過ぎれば値引きしないと売れない
- 電子部品 … 新しい規格が出れば旧型は売れない
- 食品 … 期限がある
実際の数字で見る
在庫が増えると、現金がどう動くか見ます。
| 前期 | 今期 | |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 35億円 | 45億円 |
| 減価償却費 | +20億円 | +20億円 |
| 棚卸資産の増加 | -8億円 | -96億円 |
| 売掛金の増加 | -12億円 | -15億円 |
| 営業キャッシュフロー | +35億円 | -46億円 |
利益は10億円増えているのに、営業CFは81億円悪化しました。
原因は在庫です。96億円分の現金が、売れていない商品に変わりました。
この状態が続くと、黒字のまま資金が尽きます。黒字倒産です。
ここに注意
在庫が増えた理由を確かめてください。良い理由と悪い理由があります。
| 理由 | 評価 |
|---|---|
| これから売れる見込みがあり、先に作った | 前向き |
| 原材料が高くなる前に仕入れた | 前向き |
| 新店舗を出すため、商品を用意した | 前向き |
| 売れなくなった。作りすぎた | 悪い |
| 返品された | 悪い |
見分ける手がかりは、売上高と在庫の伸び率を比べることです。
売上高の伸び < 在庫の伸び なら要注意
売上が10%伸びているのに在庫が60%増えているなら、売れる量以上に作っていることになります。
もう一つ、棚卸資産回転期間という見方があります。
棚卸資産 ÷(売上原価 ÷ 365)= 在庫が何日分あるか
| 前期 | 今期 | |
|---|---|---|
| 在庫が何日分か | 42日 | 89日 |
同じ商品を売るのに、2倍以上の在庫を抱えるようになったということです。
そして最も重要な点です。
売れない在庫は、いずれ評価を下げなければなりません。
会計のルールでは、売れる見込みの価格が帳簿の金額を下回ったとき、その差額を損失として計上します。 これを棚卸資産の評価損と言います。
つまり、積み上がった在庫は将来の損失の予備軍です。帳簿上は資産として並んでいますが、そのまま現金になるとは限りません。
当サイトが表示している財務データには棚卸資産を含めていません。確認したい場合は、有価証券報告書の貸借対照表を見てください。営業キャッシュフローと当期純利益の差を見れば、在庫に現金が変わっていないかの見当はつきます。
関連する言葉
- 流動比率 1年以内に払う負債を、1年以内に現金化できる資産で賄えるかを見る割合。
- 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
- 売上総利益(粗利) 売上高から売上原価だけを引いた利益。商品そのものの儲けの厚さを表す。
- 減損 資産の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理。黒字が一気に赤字になる。
- 最終更新
- 2026-09-16