有利子負債
利息を払う必要がある借金。多すぎると、金利が上がったときに利益を削られる。
ひとことで言うと
利息を払わなければならない借金のことです。負債のうち、本当に重いのはこの部分です。
もう少しくわしく
会社の負債には、2つの種類があります。
| 種類 | 例 | 利息 |
|---|---|---|
| 有利子負債 | 銀行からの借入金、社債、リース債務 | かかる |
| 無利子の負債 | 買掛金、未払金、前受金 | かからない |
買掛金とは、仕入れた商品の代金でまだ払っていないものです。多くの場合「翌月末払い」といった約束で、利息は付きません。
つまり負債の総額が大きくても、その中身によって重さは違います。
有利子負債が重いのは、次の2つの理由です。
- 毎年、利息を払い続けなければならない
- 期限が来たら、元本を返さなければならない
業績が悪化しても、この支払いは待ってくれません。会社が倒れるのは、赤字だからではなく、払うべきお金を払えなくなったときです。
実際の数字で見る
有利子負債の重さを測る代表的な指標がネットD/Eレシオです。
(有利子負債 − 現預金)÷ 純資産
手元の現金で返せる分を差し引いて、実質的な借金がどれくらいかを見ます。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 有利子負債 | 300億円 | 300億円 |
| 現預金 | 280億円 | 20億円 |
| 実質の借金 | 20億円 | 280億円 |
| 純資産 | 400億円 | 400億円 |
| ネットD/E | 0.05倍 | 0.7倍 |
借金の額は同じでも、意味がまったく違います。 A社は現金でほぼ返せます。
もう一つ、返済能力を見る指標があります。
有利子負債 ÷ 営業利益 = 何年分の利益で返せるか
営業利益50億円の会社が有利子負債500億円を抱えていれば、10年分です。この数字が10年を超えるあたりから、返済の重さが目立ってきます。
ここに注意
借金があること自体は、悪ではありません。問題は、金利が上がったときに耐えられるかです。
借金をして工場を建て、その工場が借金の利息を上回る利益を生むなら、それは正しい経営です。無借金であることが優秀さを意味するわけではありません。
しかし、次の状況では警戒が必要です。
1. 金利の上昇局面にある。
日本は長く超低金利が続きました。年0.5%で借りられた会社が、借り換え時に年2%になれば、利払いは4倍になります。有利子負債500億円なら、年2.5億円が10億円に増える計算です。
この負担は、そのまま経常利益を削ります。営業利益と経常利益の差が広がっていく形で数字に表れます。
2. 営業キャッシュフローが安定していない。
借金の返済は現金で行います。利益が出ていても、現金が入ってこなければ返せません。 売掛金が回収できていない会社は、帳簿上は黒字でも資金繰りに詰まります。
3. 短期の借入に偏っている。
1年以内に返す必要のある借入が多い会社は、貸し手の判断ひとつで資金繰りが崩れます。 有価証券報告書で、借入金の返済期限の内訳を確認できます。
なお、業種によって適正な水準は違います。電力、鉄道、不動産は、巨額の設備を借入で賄う構造のため、有利子負債が大きいのが普通です。同業他社との比較で判断してください。
関連する言葉
- 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
- 経常利益 営業利益に、利息など本業以外の日常的な収支を加えた利益。日本独自の項目。
- ROA(総資産利益率) 会社が持つ資産全体で、どれだけ利益を生んだかを示す割合。借金の影響を受けないROE。
- フリーキャッシュフロー 本業で稼いだ現金から投資分を引いた、会社が自由に使えるお金。配当や返済の原資になる。
- 最終更新
- 2026-09-16