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株を学ぶ / 基礎指標

減価償却費

設備の値段を使う年数で割って、毎年少しずつ費用にするもの。現金は出ていかない。

ひとことで言うと

設備の値段を、使う年数で割って毎年少しずつ費用にする処理です。現金は出ていきません。

もう少しくわしく

減価償却費と営業キャッシュフロー現金が出ていかない費用を利益に足し戻すと、本業で得た現金になることを示した図。 44 当期純利益 +62 減価償却費 -18 運転資本の増減 88 営業CF 億円
利益と、本業で得た現金足し戻すもの差し引くもの減価償却費は現金が出ていかない費用なので、現金の計算では足し戻す
当期純利益に減価償却費を足し戻すと、本業で得た現金(営業CF)に近づきます。現金が出ていかない費用だからです。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

1,000万円の機械を買い、10年使うとします。

このとき「買った年に1,000万円の費用」とはしません。10年にわたって毎年100万円ずつ費用にします。 これが減価償却です。

なぜこうするのか。その機械は10年間、利益を生み続けるからです。1年目だけに全額を負担させると、その年だけ大赤字になり、2年目以降は費用ゼロで利益が出すぎます。実態と合いません。

ここで最も重要な性質を押さえてください。

現金は、買った年に1,000万円すべて出ています。

2年目以降に計上される100万円は、帳簿の上だけの費用です。お金はどこにも動きません。

年 費用として計上 実際に出ていく現金
1年目 100万円 1,000万円
2年目 100万円 0円
3年目 100万円 0円
… … …

この食い違いが、利益と現金がずれる最大の理由です。

実際の数字で見る

キャッシュフロー計算書では、当期純利益から出発して現金の増減を計算します。

項目 金額
当期純利益 +44億円
減価償却費を足し戻す +62億円
運転資本の増減 -18億円
営業キャッシュフロー +88億円

利益は44億円ですが、手元に入った現金は88億円です。倍の差があります。

理由は、減価償却費62億円が「費用として引かれているが、現金は出ていない」ためです。だから足し戻します。

設備を多く持つ会社ほど、利益より営業CFのほうが大きくなります。 鉄道、電力、製造業がその典型です。

ここに注意

減価償却費が大きい会社は、いずれ設備を買い替える必要があります。

「現金が出ていかないから得だ」と考えるのは誤りです。過去に出ていった現金を、後から費用として記録しているだけです。

そして設備は永久には使えません。10年経てば、また新しい設備に現金を払うことになります。

したがって、次の点を確認してください。

設備投資額(投資CF)と、減価償却費を比べる。

関係 意味
設備投資 > 減価償却費 設備を増やしている(拡大している)
設備投資 ≒ 減価償却費 現状を維持している
設備投資 < 減価償却費 設備が減っている(更新を止めている)

3つ目が続くと、数年後に競争力を失います。目先の現金を残すために更新を止めている可能性があるためです。

もう一つ、計算方法による違いがあります。

方法 性質
定額法 毎年同じ額。分かりやすい
定率法 最初の年ほど大きい。後になるほど小さくなる

どちらを使うかで、同じ設備でも各年の利益額が変わります。会社が方法を変更した場合、利益が変わった理由が実態ではなく処理の変更ということが起こります。変更したときは有価証券報告書に明記されます。

最後に、減損との違いです。

減価償却 減損
何を反映するか 時間の経過 価値の下落
いつ起きるか 毎年、計画どおり 突然、まとめて
予想できるか できる できない

減価償却は予定された処理、減損は予定外の処理です。

関連する言葉

  • 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
  • フリーキャッシュフロー 本業で稼いだ現金から投資分を引いた、会社が自由に使えるお金。配当や返済の原資になる。
  • 販管費 商品を売るため、会社を動かすためにかかる費用。削れば利益は増えるが、将来を削ることもある。
  • 減損 資産の価値が下がったとき、その差額を一度に費用として計上する処理。黒字が一気に赤字になる。
最終更新
2026-09-16