有価証券報告書
年に一度、監査を受けて提出される会社の正式な報告書。数字の信頼性が最も高い資料。
ひとことで言うと
年に一度、公認会計士の監査を受けて国に提出される、会社の公式な報告書です。
もう少しくわしく
通称有報(ゆうほう)。上場企業が金融商品取引法にもとづいて提出する、最も正式な資料です。決算期末から3か月以内に提出されます。
決算短信との違いは、次の3点です。
| 決算短信 | 有価証券報告書 | |
|---|---|---|
| 速さ | 早い(30〜45日) | 遅い(3か月以内) |
| 監査 | 受けていない | 受けている |
| 分量 | 数ページ〜数十ページ | 100ページ前後 |
短信は速報、有報は確定版。そう考えてください。
有報にしか載っていない情報も多くあります。
- 事業等のリスク … 会社自身が挙げる、経営上の危険要因
- 従業員数と平均年収、平均勤続年数
- 役員の報酬
- 大株主の一覧
- セグメント情報 … 事業ごとの売上と利益の内訳
特にセグメント情報は有用です。「会社全体では黒字だが、主力事業は赤字で、不動産の売却益で埋めている」といった実態は、ここを読まないと見えません。
有報はEDINETという金融庁のサイトで、誰でも無料で読めます。当サイトが表示している財務データも、このEDINETから機械的に取得したものです。
実際の数字で見る
有報の「事業等のリスク」には、たとえばこう書かれます。
当社の売上高のうち、特定の顧客1社への依存度は42.3%であります。当該顧客との取引関係に変化が生じた場合、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これは決算短信には載りません。しかし投資判断としては、利益の額より重い情報です。取引先1社を失えば、売上の4割が消えるということだからです。
こうした記述は、会社自身が書いています。 外部の推測ではありません。
ここに注意
有報を読むときは、数字より先に「変わった点」を探してください。
100ページを最初から読む必要はありません。実務的な読み方は、前の年の有報と見比べることです。
注意して見るべき変化は、次のようなものです。
- リスクの項目が増えた。 会社が新たな危険を認識した
- 監査を担当する会計士の事務所が変わった。 意見が対立した可能性がある
- 「継続企業の前提に関する注記」が付いた。 これは重大な警告です
最後の項目について説明します。継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)とは、「この会社が事業を続けられるかどうか」という話です。
ここに疑義が記載されたということは、監査した会計士が「この会社は1年後に存続していないかもしれない」と判断したことを意味します。会社の外部にいる専門家が、責任を持って書く言葉です。
この注記が付いた会社の株を持っている場合、業績の回復を待つという判断は、会社が存続する前提に立っています。 その前提自体が疑われている状況だと理解してください。
なお、半年ごとに出される半期報告書もあります。内容は有報より簡略ですが、同じくEDINETで読めます。
関連する言葉
- 決算短信 会社が3か月ごとに出す成績表。株価が最も大きく動くきっかけになる資料。
- 適時開示 会社が重要な情報をその都度公表する制度。株価に影響する発表は、必ずここを通る。
- 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
- ROE(自己資本利益率) 株主から預かったお金を使って、1年でどれだけ利益を出せたかを示す割合。
- 最終更新
- 2026-09-16