売上債権回転期間
売ってから代金を受け取るまでの日数。急に伸びたら、売り方か回収に問題が起きている。
ひとことで言うと
商品を売ってから、代金を実際に受け取るまでの平均日数です。
もう少しくわしく
会社が商品を売っても、その場で現金をもらうとはかぎりません。
企業どうしの取引では、「今月ぶんを来月末に払う」という形が普通です。まだ受け取っていない代金は、売掛金や受取手形として資産に載ります。これを合わせて売上債権といいます。
その売上債権が、売上の何日ぶんたまっているかを見るのが売上債権回転期間です。
売上債権回転期間(日)= 売上債権 ÷ 売上高 × 365
日数が短いほど、早く現金になっているということです。
たとえ話で言えば、ラーメン屋が「来月まとめて払うよ」という常連にツケで出し続けている状態です。帳簿の売上は増えますが、財布の中身は増えません。
実際の数字で見る
ある会社の2期ぶんです。
| 前期 | 今期 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,000億円 | 1,100億円 |
| 売上債権 | 150億円 | 250億円 |
それぞれ計算します。
前期 = 150億円 ÷ 1,000億円 × 365 = 54.8日
今期 = 250億円 ÷ 1,100億円 × 365 = 83.0日
28日も伸びています。
増え方を比べると、異常さがはっきりします。
| 増え方 | |
|---|---|
| 売上高 | +10% |
| 売上債権 | +67% |
売上は1割しか増えていないのに、未回収の代金は7割近く増えています。
ふつう、売上が1割増えれば売上債権も1割程度増えます。それを大きく超える増え方には、理由があります。
考えられる理由は3つです。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 支払い条件を緩めた | 「支払いは3か月後でいい」として売った |
| 押し込み販売 | 期末に無理に出荷して、売上を作った |
| 回収できていない | 相手が払えなくなっている |
どれであっても、現金は入ってきていません。
ここに注意
数字が悪化する前に、この指標が先に動くことがあります。
売上と利益は、売った時点で計上されます。 代金を受け取っていなくてもです。
そのため、無理な売り方をした年の損益計算書は、きれいに見えます。 問題は貸借対照表に出ます。
| 見るもの | いつ悪化が表れるか |
|---|---|
| 売上高・利益 | 最後(回収できないと確定してから) |
| 売上債権回転期間 | 早い |
| 営業キャッシュフロー | 早い |
だから、この指標と営業キャッシュフローを一緒に見ることに意味があります。
上の例なら、売上債権が100億円増えたぶん、営業キャッシュフローは100億円押し下げられます。
もう4つ、知っておいてください。
1. 業種と商売の相手で、水準がまるで違います。
| 商売の相手 | 回転期間の傾向 |
|---|---|
| 一般の消費者(小売・飲食) | 数日。その場で現金またはカード |
| 企業(製造・卸) | 40〜90日 |
| 官公庁・大企業向け | 長くなりやすい |
| 建設・造船 | 工期が長く、極端に長い |
同業他社と比べてください。 小売業と建設業を比べても意味がありません。
2. 季節で動きます。
期末が繁忙期にあたる会社は、期末の売上債権が大きくなります。前年同期と比べるか、通期の数字で見てください。
四半期の数字だけを見て「伸びた」と驚くのは早計です。
3. 貸倒引当金を確かめてください。
回収できそうにない債権には、貸倒引当金を積みます。
売上債権が増えているのに引当金が増えていないなら、会社は「回収できる」と判断しているということです。その判断が正しいかは、翌期以降に分かります。
4. 買掛金とセットで見ると、資金繰りが見えます。
自分が受け取るまでの日数だけでなく、自分が払うまでの日数も見ます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 売上債権回転期間 | 受け取るまでの日数 |
| 棚卸資産回転期間 | 在庫が売れるまでの日数 |
| 仕入債務回転期間 | 払うまでの日数 |
この3つを組み合わせたものがCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)です。「立て替えている日数」を表します。
そのうえで、いちばん実用的な見方を書いておきます。
水準より、変化を見てください。
83日という数字そのものには、良し悪しがありません。建設業なら短く、小売業なら異常です。
見るべきは去年と比べてどうかです。
| 動き | 読み方 |
|---|---|
| 横ばい | 商売のやり方が変わっていない |
| 短くなった | 回収が早まった。または現金取引が増えた |
| 長くなった | 理由を確かめる必要がある |
長くなっているときは、決算説明資料や有価証券報告書で会社の説明を探してください。 説明がなければ、営業キャッシュフローも合わせて確かめてください。
関連する言葉
- 売掛金 売ったがまだ受け取っていない代金。回収できなければ、売上が損失に変わる。
- 買掛金とキャッシュ・コンバージョン・サイクル 仕入れてまだ払っていない代金。現金が出てから戻るまでの日数を決める要素の1つ。
- 総資産回転率 持っている財産を、1年で何回売上に変えたかを示す数字。ROAを分解すると出てくる。
- 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
- 純利益と営業CFの乖離 利益は伸びているのに現金が入ってこない状態。粉飾でなくても、危うさの前触れになる。
- 最終更新
- 2026-09-18