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株を学ぶ / 基礎指標

買掛金とキャッシュ・コンバージョン・サイクル

仕入れてまだ払っていない代金。現金が出てから戻るまでの日数を決める要素の1つ。

ひとことで言うと

商品を仕入れたけれど、まだ払っていない代金のことです。

もう少しくわしく

会社どうしの取引では、その場で現金をやりとりしません。後払いが普通です。

立場 名前 中身
売った側 売掛金 まだもらっていない代金
買った側 買掛金 まだ払っていない代金

同じ取引を、売った側と買った側から見た言葉です。

買掛金は負債です。しかし、利息のつかない負債です。

ここが大事な点です。

買掛金は、仕入先が無利息でお金を貸してくれているのと同じです。

支払いを待ってもらっているあいだ、その分の現金を手元に置いておけます。買掛金が多いほど、必要な運転資金は少なくて済みます。

実際の数字で見る

現金が出ていってから戻ってくるまでの流れを追います。

現金が出てから戻るまで仕入れの支払いから代金の回収までにかかる日数を、順に並べた図。 0日目 商品を仕入れる 40日目 仕入代金を払う 45日目 商品が売れる 105日目 売上代金を回収 現金が出ていってから戻るまで 65日
売上債権60日+棚卸資産45日−仕入債務40日=65日。この65日ぶんの資金を、別に用意しておく必要がある
仕入れてから代金を回収するまでの流れ。現金が出ていってから戻るまでが65日。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

3つの日数が関わります。

名前 中身 例
売上債権回転日数 売ってから回収するまで 60日
棚卸資産回転日数 仕入れてから売れるまで 45日
仕入債務回転日数 仕入れてから払うまで 40日

これを組み合わせたものをキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)といいます。

CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 − 仕入債務回転日数

計算します。

60 + 45 − 40 = 65日

現金が出ていってから戻るまで、65日かかります。

この65日ぶんの資金は、別に用意しておく必要があります。 手元にないなら、借りることになります。

ここで、買掛金の支払いを70日に延ばせたとします。

60 + 45 − 70 = 35日

65日が35日になりました。 必要な資金が半分近くまで減ります。

何も売上を増やしていません。 支払いのタイミングを変えただけです。

この数字がマイナスになる会社もあります。

日数
売上債権 3日(現金商売)
棚卸資産 20日
仕入債務 50日
CCC −27日

代金を受け取ってから、仕入先に払うという順番です。運転資金が要りません。 むしろ現金が先に入ってきます。

コンビニや飲食チェーンなど、現金で売って、仕入れは後払いの業種でよく見られます。

ここに注意

CCCが短ければ良い、とはかぎりません。

買掛金を長くするとは、仕入先への支払いを遅らせるということです。

見方 中身
交渉力がある 大手だから待ってもらえる
資金繰りが苦しい 払えないから待ってもらっている

同じ数字が、正反対の意味を持ちます。

見分ける材料があります。

1. 営業キャッシュフローが増えているか。

買掛金を増やすと、その期の営業CFは増えます。 現金がまだ出ていかないからです。

しかし、これは一度きりの効果です。翌期は払うことになります。

状態 見方
営業CFが増え、利益も増えている 健全
営業CFは増えたが、買掛金の増加が主因 支払いを先送りしただけ

キャッシュフロー計算書の「仕入債務の増減額」を見れば分かります。

2. 売掛金と在庫も一緒に見ているか。

CCCが短くなっても、その理由が買掛金だけなら要注意です。

理想的な短縮 危うい短縮
在庫が減った(売れている) 買掛金を延ばしただけ
回収が早くなった

3. 業種の標準と比べてください。

業種 CCCの傾向
小売(現金商売) 短い、またはマイナス
製造業 長い(在庫と設備が必要)
建設 長い(工期が長い)

製造業のCCCが90日でも、同業他社も同じくらいなら普通です。

そのうえで、買掛金そのものの見どころを書きます。

売上が伸びていないのに買掛金だけ増えている会社は、支払いを遅らせている可能性があります。

売上が伸びれば仕入れも増えるので、買掛金も増えます。これは自然です。

しかし売上が横ばいなのに買掛金が増えているなら、理由を確かめてください。資金繰りが苦しいしるしかもしれません。

売掛金・在庫・買掛金の3つは、セットで動きます。 どれか1つだけを見ても分かりません。

関連する言葉

  • 売掛金 売ったがまだ受け取っていない代金。回収できなければ、売上が損失に変わる。
  • 棚卸資産(在庫) まだ売れていない商品や材料。増えすぎると、利益が出ていても現金が減っていく。
  • 運転資本 商売を回すために立て替えているお金。売上が伸びるほど増え、手元の現金は減る。
  • 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
  • 流動比率 1年以内に払う負債を、1年以内に現金化できる資産で賄えるかを見る割合。
最終更新
2026-09-17