総資産回転率
持っている財産を、1年で何回売上に変えたかを示す数字。ROAを分解すると出てくる。
ひとことで言うと
持っている財産を、1年で何回分の売上に変えたかを示す数字です。
もう少しくわしく
総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
単位は「回」です。
総資産1,000億円の会社が、年に1,200億円売れば1.2回になります。
意味は「財産を何回使い回したか」です。
八百屋にたとえます。
- 100万円分の野菜を仕入れ、1年で1,200万円売った → 12回転
- 同じ100万円で、1年に150万円しか売れなかった → 1.5回転
回転が速いほど、少ない財産で多くの売上を作っていることになります。
この指標が重要なのは、ROAを分解すると出てくるからです。
ROA = 売上高純利益率 × 総資産回転率
つまり稼ぐ効率は、次の2つの掛け算で決まります。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| 売上高純利益率 | 1回の売上で、どれだけ儲かるか |
| 総資産回転率 | 年に何回、売上を作るか |
実際の数字で見る
対照的な2つの業種を比べます。
| 高級ブランド | スーパー | |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,000億円 | 1,000億円 |
| 売上高 | 600億円 | 3,000億円 |
| 総資産回転率 | 0.6回 | 3.0回 |
| 売上高純利益率 | 15% | 1.5% |
| ROA | 9.0% | 4.5% |
高級ブランドは回転が遅いが、1回の利幅が厚い。 スーパーは利幅が薄いが、回転が速い。
どちらも成立する商売です。回転率だけを比べても意味がありません。
そしてROAで見ると、この例では高級ブランドのほうが高くなりました。
ここに注意
総資産回転率が下がり始めたら、原因を確かめてください。
下がる理由は、大きく2つです。
| 理由 | 意味 |
|---|---|
| 売上が減った | 商品が売れなくなった |
| 総資産が増えた | 設備投資、在庫、売掛金が膨らんだ |
後者の中身が重要です。
- 設備投資で増えた → 数年後に売上が増えれば戻る。前向き
- 在庫が増えた → 売れ残っている可能性
- 売掛金が増えた → 回収できていない可能性
つまり回転率の低下は、棚卸資産や売掛金の問題を映していることがあります。
もう一つ、業種による違いを押さえてください。
| 業種 | 総資産回転率の目安 |
|---|---|
| 小売、卸売 | 2〜4回 |
| 食品、日用品 | 1〜1.5回 |
| 製造業 | 0.8〜1.2回 |
| 電力、鉄道、不動産 | 0.2〜0.5回 |
| 銀行 | 0.05回程度 |
鉄道会社の回転率が0.3回でも、それは低いのではなく巨額の線路と車両を持つ商売だからです。
比べるべき相手は、同じ業種の会社と、その会社自身の過去です。
なお、当サイトは総資産回転率を表示していません。しかし売上高と総資産の両方を銘柄ページに載せているので、割り算すれば計算できます。
ROAとあわせて見れば、その会社が「利幅で稼ぐ型」か「回転で稼ぐ型」かが分かります。
この数字を、実際の上場企業で見る
いま決算の数字がそろっている上場企業3,641社で見ると、総資産回転率の真ん中(中央値)は0.9倍です。
半分の会社が0.6倍から1.3倍のあいだに入っています。
極端に大きい・小さい値の会社(上下5%ずつ、計364社)は、図が読めなくなるため図からは外しています。上の中央値や範囲には含めています。
業種によって「ふつう」が違う
総資産回転率の中央値が高い業種と低い業種です(総資産回転率が出ている会社が10社以上ある業種のみ)。 同じ数字でも、業種によって高い・低いの意味が変わります。
| 業種 | 中央値 | 社数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 1.5 倍 | 322社 |
| 卸売業 | 1.4 倍 | 274社 |
| 水産・農林業 | 1.2 倍 | 12社 |
| ⋮ | ||
| 銀行業 | 0.0 倍 | 79社 |
| 証券・商品先物取引業 | 0.2 倍 | 37社 |
| その他金融業 | 0.2 倍 | 37社 |
よく知られた会社は、どのあたりにいるか
時価総額の大きい順に5社。業績の良し悪しで選んだものではありません。
| 会社 | 総資産回転率 | 全体の中での位置 |
|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 0.5 倍 | 下位16% |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 0.0 倍 | 下位2% |
| リクルートホールディングス | 1.3 倍 | 上位22% |
| ソフトバンクグループ | 0.1 倍 | 下位4% |
| アドバンテスト | 1.0 倍 | 上位43% |
関連する言葉
- ROA(総資産利益率) 会社が持つ資産全体で、どれだけ利益を生んだかを示す割合。借金の影響を受けないROE。
- ROE(自己資本利益率) 株主から預かったお金を使って、1年でどれだけ利益を出せたかを示す割合。
- 売上高 会社が1年で売った金額の合計。利益ではないので、ここから費用を引く必要がある。
- 棚卸資産(在庫) まだ売れていない商品や材料。増えすぎると、利益が出ていても現金が減っていく。
- 最終更新
- 2026-09-16