利は元にあり
利益は売値ではなく買値で決まるという教え。買った時点で勝負の大半がついている。
ひとことで言うと
もうけは、売るときではなく買うときに決まっているという教えです。
もう少しくわしく
もともとは商売の言葉です。「元」は仕入れのことを指します。
安く仕入れられれば、売るときに苦労しない。
商店なら、100円で仕入れた品を150円で売れば50円の利益です。しかし120円で仕入れていたら、同じ150円で売っても30円しか残りません。
売値は市場が決めます。自分で決められるのは仕入値だけです。
株も同じです。
| 自分で決められるか | |
|---|---|
| 買値 | 決められる(買わなければよい) |
| 売値 | 決められない(市場が決める) |
ここが核心です。買うときは待てますが、売るときは待てないことがあります。
実際の数字で見る
同じ銘柄を、違う値段で買った2人を比べます。
株価は1,000円から900円まで下げ、その後1,200円まで戻ったとします。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 買値 | 1,000円(見つけてすぐ) | 900円(下げるまで待った) |
| 1,200円で売った | +200円 | +300円 |
| 利益率 | +20% | +33% |
同じ株、同じ売値です。 買値の100円の差が、利益率で13ポイントの差になります。
もっと大事なのは、株価が下げたときです。株価が950円で止まったとします。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 買値 | 1,000円 | 900円 |
| 950円のとき | −50円(含み損) | +50円(含み益) |
Aさんは耐える側、Bさんは余裕がある側になります。
そして、この違いは判断の質に効きます。
| できること | |
|---|---|
| 含み損を抱えている | 戻ることを願う。売れない |
| 含み益がある | 落ち着いて判断できる。買い増しも選べる |
同じ株価を見ていても、買値によって見え方が変わります。
ここに注意
「安く買う」と「下げた株を買う」は違います。
この格言を「安いところを狙え」と読むのは正しいのですが、何と比べて安いのかが問題です。
| 比べる相手 | 見方 |
|---|---|
| その会社の価値 | 正しい比べ方 |
| 過去の株価 | 危うい比べ方 |
「1,000円だったものが700円になったから安い」というのは、過去の株価と比べているだけです。会社の価値が半分になっていれば、700円でも高いことになります。
バリュートラップは、こうして生まれます。
では、何を基準に「安い」と判断するのか。指標と業績です。
| 見るもの | 何が分かるか |
|---|---|
| PER・PBR | 利益や純資産に対して高いか安いか |
| 同業他社との比較 | その業種の標準からの位置 |
| その会社の過去の水準 | いつもより割安か |
そして、待つ方法があります。
1. 買いたい水準を決めて、指値で待つ。
いま1,000円なら、「900円になったら買う」と決めて注文を出しておく。届かなければ買わない。それでいいのです。機会は他にもあります。
ただし、1円2円にこだわりすぎないでください。それは一文惜しみの百知らずになります。
2. 分けて買う。
一度に買わず、何回かに分ける。下げれば平均の買値が下がります。
ただし、これも買う前に回数と総額を決めておくことが条件です。決めずに買い増せば、それはナンピンです。
最後に、この格言の限界も書いておきます。
どれだけ安く買っても、会社が悪ければ利益は出ません。
「元」が安ければ有利なのは確かです。しかし売れない商品は、いくら安く仕入れても損です。
株も同じで、買値の安さは、その会社の価値を補いません。
順番はこうです。
| 順番 | 考えること |
|---|---|
| 1 | 持つ価値のある会社か |
| 2 | いくらなら払えるか |
| 3 | いつ買うか |
1を飛ばして2から始めると、安い理由のある株を安く買うことになります。
関連する言葉
- 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
- 押し目(おしめ) 上昇が続いている途中で起きる、一時的な下げのこと。買いの機会とされる。
- 分割売買(買い下がり・売り上がり) 一度に売買せず、何回かに分けること。ナンピンと違い、買う前に計画を決めておく。
- ポジションサイズ 1回の取引にいくら投じるかの決め方。銘柄選びより結果を左右する。
- 割安株(バリュー株) 会社の実力より株価が安く放置されている株。安い理由があるだけの場合もある。
- 最終更新
- 2026-09-17