カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

バリュートラップ(割安の罠)

割安に見える株を買ったが、安いのには理由があり、そのまま下がり続けること。

ひとことで言うと

「安いと思って買ったら、安いだけの株だった」という失敗のことです。

もう少しくわしく

駅前に、相場より3割安いアパートがあったとします。

「お得だ」と思って契約してから気づきます。隣に大きな工場ができる予定で、来年から騒音がひどくなる。だから安かったのです。近所の人はみんな知っていました。知らなかったのは自分だけでした。

バリュートラップ割安に見える指標のまま、株価が下がり続けていく形。 株価 PBR 0.6倍。割安に見える PBR 0.5倍。まだ割安
株価株価が下がれば指標も下がる。割安のまま下がり続けることがある
株価が下がれば指標も下がります。そのため「割安」の見た目を保ったまま、下がり続けることがあります。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

株の割安も、これと同じことが起こります。

ある会社のPERが8倍だったとします。市場平均は16倍ですから、半値です。「こんなに安いのか」と買いたくなります。

しかし多くの場合、その会社にはすでに知られている悪材料があります。

  • 主力商品の特許が来年切れる
  • 最大の取引先との契約が終わる
  • 業界そのものが縮小している

株価は、そうした未来を先に織り込んで下がっています。 つまり「安い」のではなく「安くされている」のです。

実際の数字で見る

A社 B社
PER 8倍 15倍
経常利益の前年比 -22% +18%
見え方 割安 普通
実際 利益が減り続けている 利益が伸びている

A社は確かに数字上は安いのですが、利益が減り続けています。利益が減れば、PERの計算に使う「1株あたりの利益」も減ります。すると株価が同じでもPERは勝手に上がっていきます。

今のPER8倍は、来年には12倍、再来年には20倍になっているかもしれません。安かったはずが、いつのまにか割高になっている。 これがバリュートラップの正体です。

ここに注意

罠を避ける方法は、意外と単純です。

「安いかどうか」だけを見ず、「稼ぐ力が伸びているかどうか」を必ずセットで確認することです。

  • 安い + 利益が伸びている → 検討に値する
  • 安い + 利益が減っている → バリュートラップの疑い

当サイトの中期カテゴリで、割安であることに加えて「経常利益が前年より10%以上増えている」という条件を必ず課しているのは、この罠を避けるためです。

ただし、この条件を満たしていても罠にかからない保証はありません。 決算に表れていない問題は、数字を見ても分かりません。指標はあくまで最初のふるいであり、最後は自分で調べる必要があります。

もう一つ。バリュートラップにはまった人の多くは、下がってから買い増して傷を広げます(ナンピン)。安くなった理由が解消していないのに買い増せば、損失が増えるだけです。

この言葉で、会社を探す

稼ぐ力のわりに株価が安い会社

会社が1年で稼ぐ利益に対して、株価が何倍かを示すPERが低い順です。

順位会社PER
1 信金中央金庫 その他 3.1 倍
2 加藤製作所 機械 3.2 倍
3 電算 情報・通信業 3.4 倍

2,267社すべてを見る →

安いのには理由があることがほとんどです。利益が減り続けている会社はPERが低く見えます。安さだけで選ぶと「バリュートラップ」に陥ります。

関連する言葉

  • PER(株価収益率) 会社が1年で稼ぐ利益に対して、株価が何倍かを示す数字。低いほど割安とされる。
  • PBR(株価純資産倍率) 会社が持っている正味の財産に対して、株価が何倍かを示す数字。1倍割れは割安とされる。
  • 塩漬け(しおづけ) 損が出た株を売るに売れず、長期間持ち続けてしまう状態のこと。
  • ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
最終更新
2026-09-16