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株を学ぶ / 基礎指標

固定比率

工場や建物を、返さなくてよいお金でどれだけ賄えているか。業種で水準がまるで違う。

ひとことで言うと

工場や建物などの長く使う財産を、返さなくてよいお金でどれだけ賄えているかの割合です。

もう少しくわしく

会社の財産は、大きく2つに分かれます。

種類 中身
流動資産 現金、売掛金、在庫。1年以内に現金になるもの
固定資産 土地、建物、機械、のれん。長く使うもの

固定資産は、すぐには現金に戻せません。 工場を売ろうとしても、買い手を探すのに何年もかかります。

その固定資産を、返済期限のないお金で賄えているかを見るのが固定比率です。

固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

自己資本は、株主から預かったお金と、これまで貯めた利益です。返す必要がありません。

100%以下なら、固定資産を全額、返さなくてよいお金で賄えていることになります。

実際の数字で見る

ある会社の数字です。

金額
固定資産 800億円
流動資産 400億円
総資産 1,200億円
自己資本 500億円
固定負債(長期借入など) 400億円
流動負債 300億円

固定比率を計算します。

800億円 ÷ 500億円 × 100 = 160%

100%を大きく超えています。足りない300億円は、借金で賄っているということです。

しかし、この会社がすぐ危ないかというと、そうとはかぎりません。借りている相手が問題です。

そこで固定長期適合率も計算します。

固定長期適合率 = 固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債)× 100

800億円 ÷(500億円 + 400億円)× 100 = 88.9%

100%を下回りました。

固定負債は、返済期限が1年より先の借金です。工場を長期の借金で賄っているなら、来年すぐ返せと言われることはありません。

割合 値 意味
固定比率 160% 自己資本だけでは足りない
固定長期適合率 88.9% 長期のお金では足りている

この2つを必ずセットで見てください。 固定比率だけを見て「危ない」と判断すると、外します。

危ないのは、固定長期適合率が100%を超えている場合です。それは短期の借金で工場を建てているということで、借り換えができなくなれば資金繰りが止まります。

ここに注意

業種によって、ちょうどよい水準がまったく違います。

これを知らずに比べると、まっすぐ誤解します。

業種 固定資産の重さ 固定比率の傾向
電力・鉄道・通信 発電所・線路・基地局 高くなるのが普通
製造業 工場・機械 中くらい
小売・卸 店舗(借りていることも) 低め
ソフトウェア・人材 ほとんど持たない とても低い

鉄道会社の固定比率が200%を超えていても、それは線路と車両を持っているからです。人材派遣会社と比べても意味がありません。

比べるなら同業他社です。

もう3つ、注意点があります。

1. のれんが固定資産に入っています。

のれんは固定資産です。買収を繰り返した会社は、工場を持っていなくても固定比率が高くなります。

そして のれんは、減損で一気に消えることがあります。 固定資産の中身を見て、のれんの割合を確かめてください。

2. 借りている店舗は、数字に出方が変わります。

会計基準によって、借りている店舗や事務所の扱いが違います。 資産として計上する基準では、同じ経営でも固定資産が大きく出ます。

基準をまたいで比べるときは、注意が必要です。

3. 低ければよい、でもありません。

固定比率が極端に低い会社は、設備をほとんど持っていないということです。

それは身軽である一方、参入障壁がないことも意味します。誰でも同じ商売を始められる、ということが起こりえます。

低い固定比率を「財務が健全」とだけ読むのは、片側しか見ていません。

そのうえで、この数字の使い方を書いておきます。

固定比率は、単独では判断できません。3つの数字を並べて見てください。

見る数字 分かること
自己資本比率 全体としてどれだけ借金に頼っているか
固定長期適合率 長く使う財産を、長いお金で賄えているか
流動比率 1年以内の支払いに耐えられるか

この3つが揃って、はじめて財務の姿が見えます。

とくに固定長期適合率が100%を超えていて、流動比率も低いという組み合わせは、短期の資金繰りが苦しい状態を示します。この組み合わせだけは、業種にかかわらず注意してください。

関連する言葉

  • 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
  • 流動比率 1年以内に払う負債を、1年以内に現金化できる資産で賄えるかを見る割合。
  • 当座比率 在庫を除いた支払い能力。流動比率が同じでも、在庫の多い会社はここで差が出る。
  • 有利子負債 利息を払う必要がある借金。多すぎると、金利が上がったときに利益を削られる。
  • 減価償却費 設備の値段を使う年数で割って、毎年少しずつ費用にするもの。現金は出ていかない。
最終更新
2026-09-18