空売り比率
その日の売りのうち空売りが占める割合。上がると弱気の表れだが、買い戻しの予約でもある。
ひとことで言うと
その日に売られた金額のうち、空売りがどれだけを占めたかの割合です。
もう少しくわしく
東京証券取引所が毎日公表しています。
空売り比率 = 空売りの金額 ÷ 売り全体の金額 × 100
空売りとは、持っていない株を借りて売ることです。値下がりを見込んでいます。
したがって、この比率が上がるということは、下がると考えている人が増えていることを表します。
目安として、次のように言われます。
| 空売り比率 | 言われていること |
|---|---|
| 40%未満 | 落ち着いている |
| 40〜45% | やや高い |
| 45%以上 | 弱気が強い |
ただし、この水準は時代とともに変わります。 昔と比べて全体に高い水準で推移するようになっており、過去の目安をそのまま当てはめられません。
そして、この指標にはもう1つの顔があります。
空売りは、いつか必ず買い戻されます。
空売りをした人は、必ず買い戻して返さなければなりません。 制度信用なら原則6か月以内です。
つまり空売り比率が高いとは、将来の買いが積み上がっている状態でもあります。
実際の数字で見る
同じ「売り」でも、中身が違うことを見ます。ある日の売り全体が3兆円だったとします。
| 金額 | 将来どうなるか | |
|---|---|---|
| 現物の売り | 1.8兆円 | もう終わり。何も起きない |
| 空売り | 1.2兆円 | いつか買い戻される |
| 空売り比率 | 40% |
現物を売った人は、それで完結します。二度と関わりません。
しかし空売りをした人の1.2兆円は、将来1.2兆円ぶんの買いになります。
ここで、株価が上がり始めたらどうなるか。
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 株価が上がる |
| 2 | 空売りした人に含み損 |
| 3 | 買い戻す(損失を止めるため) |
| 4 | その買いで、さらに上がる |
| 5 | 2に戻る |
これが踏み上げです。空売りが多いほど、燃料が多いということになります。
だから、空売り比率が極端に高いときは、下げの最終局面であることがあります。売りたい人が売り尽くしているためです。
ここに注意
空売り比率は、市場全体の指標です。個別銘柄には使えません。
これは騰落レシオと同じ性質です。市場全体の温度は分かりますが、特定の銘柄がどうかは分かりません。
個別銘柄の空売りを見たいなら、別のものを見ます。
| 見たいもの | 見るデータ |
|---|---|
| 市場全体の空売り | 空売り比率(東証が毎日公表) |
| 個別銘柄の空売り | 信用売り残(週1回公表) |
| 個別銘柄の大口の空売り | 空売り残高の大量報告(一定以上で公表義務) |
最後のものは知っておくと役に立ちます。発行済株式数の0.5%以上の空売り残高を持つと、報告と公表の対象になります。誰がどの銘柄をどれだけ空売りしているかが分かります。
もう3つ、注意点があります。
1. 高い=底、とはかぎりません。
「空売り比率が高いから、そろそろ底だ」という使い方は危険です。高いまま、さらに下げ続けることがあります。
売られすぎを測る指標は、本当に下げるときには全部外れます。 RSIや騰落レシオと同じです。
2. 空売りには実需の分も含まれます。
すべての空売りが「下がると思って売った」わけではありません。
| 目的 | 中身 |
|---|---|
| 値下がりを狙う | 本来の空売り |
| つなぎ売り | 持っている株の値下がりを防ぐ |
| 裁定取引 | 先物との価格差を取る |
優待クロスも空売りです。権利確定日の前には、優待狙いの空売りが増えます。 これは弱気の表れではありません。
3. 数字の定義を確かめてください。
東証は「価格規制あり」「価格規制なし」に分けて公表しています。合計なのか一部なのか、どの数字を見ているかを確かめてください。
そして、最後にこの指標の位置づけです。
空売り比率は、売買の判断には使えません。 使えるのは、いま市場がどういう空気かを知ることだけです。
極端な数字が出たときに「何が起きているのか」を調べる合図にする。その程度の使い方が適切です。
関連する言葉
- 空売り(からうり) 持っていない株を借りて先に売り、値下がりしたら買い戻して差額を得る手法。
- 信用残(信用買い残・信用売り残) 信用取引で買って、または売って、まだ決済していない残り。将来の反対売買の予約にあたる。
- 踏み上げ(ふみあげ) 空売りしていた人が損失を止めるために買い戻し、その買いが株価をさらに押し上げる現象。
- 逆日歩 空売りが増えて株が足りなくなったときに発生する費用。金額が事前に分からない。
- 出来高(できだか) その日に売買が成立した株数。関心の大きさを表し、株価の動きの信頼度を測る材料になる。
- 最終更新
- 2026-09-17