山高ければ谷深し
急に大きく上げた株は、上げ始めた水準より下まで下げることがあるという格言。
ひとことで言うと
大きく上げた株は、大きく下げるという格言です。
もう少しくわしく
なぜそうなるのか。上げ方の中身を見ると分かります。
会社の中身が良くなって上げたのなら、上げた水準にとどまる理由があります。利益が2倍になった会社の株価が2倍になっても、割高にはなっていません。
しかし短期間で急騰する株の多くは、そうではありません。
| 上げた理由 | 下げたときどうなるか |
|---|---|
| 利益が実際に増えた | その水準にとどまる理由がある |
| 話題になった | 話題が冷めれば理由が消える |
| 需給が偏った | 偏りが解ければ元に戻る |
話題や需給で上げた場合、支えているものが何もありません。 買う人がいなくなった瞬間に、支えは消えます。
そして、下げ始めるともう1つの力が働きます。
高値で買った人が、我慢できずに売ります。
急騰した銘柄は、天井付近で売買が集中します。 そこで買った人が全員含み損を抱えるため、戻りかけるたびに売りが出ます。
実際の数字で見る
図の動きを数字で追います。
| 株価 | 上げ始めから | |
|---|---|---|
| 上げ始め | 100円 | — |
| 天井(10日後) | 194円 | +94% |
| 底(さらに12日後) | 78円 | −22% |
天井から底までは−59%です。
ここで大事なのは、元の100円で止まらなかったことです。78円まで下げました。
なぜ元の水準を割り込むのか。上げる前と後で、株主の顔ぶれが変わっているためです。
| 誰が持っているか | |
|---|---|
| 上げる前 | その会社を長く持つつもりの人 |
| 上げた後 | 値上がりを狙って買った人 |
後者は、下げ始めれば売ります。持ち続ける理由がないためです。 売る人の質が変わっているので、元の水準では止まりません。
そして、戻る速さにも差が出ます。
| 日数 | |
|---|---|
| 94%上げるのに | 10日 |
| 59%下げるのに | 12日 |
上げるのも下げるのも速いのがこの形の特徴です。ゆっくり上げた株は、ゆっくり下げます。速く上げた株は、速く下げます。
ここに注意
この格言は、「上げたから下げる」という意味ではありません。
ここを誤解すると、上げている株をすべて危険視することになります。
業績が伸びて株価が上がる会社は存在します。10年で10倍になる株もあります。それらは山高ければ谷深しの対象ではありません。
見分ける問いは1つです。
なぜ上げたのか、説明できるか。
| 説明できる | 説明できない |
|---|---|
| 利益が増えた | 理由は分からないが上げている |
| 新しい事業が伸びた | SNSで話題になっている |
| 大きな契約が決まった | 誰かが買っているらしい |
右側なら、この格言が当てはまります。支えているものがないので、崩れるときは速いのです。
そして、最も実際的な注意を書いておきます。
下げ始めてから「そのうち戻る」と考えるのが、いちばん損をします。
図の株を194円で買った人は、こう考えます。
- 176円 … 「少し下げただけだ」
- 144円 … 「ここが押し目かもしれない」
- 108円 … 「さすがに下げすぎだ」
- 78円 … 「もう売れない」
どの段階でも、売る理由より持ち続ける理由のほうが思いつきます。 そして最後は塩漬けになります。
対処は、買う前に決めておくことです。
理由の説明できない急騰には乗らない。乗るなら、いくらで降りるかを先に決める。
急騰した株を見ると「乗り遅れた」と感じます。しかし機会は何度でも来ます。 東証には約3,900社あります。1つ逃しても、次があります。
失った資金は、そう簡単には戻りません。
関連する言葉
- 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
- イナゴ 話題になった銘柄に短時間で群がり、急騰させてすぐ去っていく投資家たちのこと。
- 仕手株 特定の勢力が意図的に株価を吊り上げる銘柄。乗った個人が最後に残される。
- 落ちてくるナイフ 急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
- ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
- 最終更新
- 2026-09-17