カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

山高ければ谷深し

急に大きく上げた株は、上げ始めた水準より下まで下げることがあるという格言。

ひとことで言うと

大きく上げた株は、大きく下げるという格言です。

もう少しくわしく

山高ければ谷深し急に高く上げた後、上げ始めた水準より下まで下げる形。 上げ始めた水準 株価 10日で94%上げ そこから12日で59%下げ
株価上げ始めた水準まで戻っても終わらず、その下まで下げることがある
10日で94%上げた後、12日で59%下げた場面。上げ始めた水準より下まで下げている。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

なぜそうなるのか。上げ方の中身を見ると分かります。

会社の中身が良くなって上げたのなら、上げた水準にとどまる理由があります。利益が2倍になった会社の株価が2倍になっても、割高にはなっていません。

しかし短期間で急騰する株の多くは、そうではありません。

上げた理由 下げたときどうなるか
利益が実際に増えた その水準にとどまる理由がある
話題になった 話題が冷めれば理由が消える
需給が偏った 偏りが解ければ元に戻る

話題や需給で上げた場合、支えているものが何もありません。 買う人がいなくなった瞬間に、支えは消えます。

そして、下げ始めるともう1つの力が働きます。

高値で買った人が、我慢できずに売ります。

急騰した銘柄は、天井付近で売買が集中します。 そこで買った人が全員含み損を抱えるため、戻りかけるたびに売りが出ます。

実際の数字で見る

図の動きを数字で追います。

株価 上げ始めから
上げ始め 100円 —
天井(10日後) 194円 +94%
底(さらに12日後) 78円 −22%

天井から底までは−59%です。

ここで大事なのは、元の100円で止まらなかったことです。78円まで下げました。

なぜ元の水準を割り込むのか。上げる前と後で、株主の顔ぶれが変わっているためです。

誰が持っているか
上げる前 その会社を長く持つつもりの人
上げた後 値上がりを狙って買った人

後者は、下げ始めれば売ります。持ち続ける理由がないためです。 売る人の質が変わっているので、元の水準では止まりません。

そして、戻る速さにも差が出ます。

日数
94%上げるのに 10日
59%下げるのに 12日

上げるのも下げるのも速いのがこの形の特徴です。ゆっくり上げた株は、ゆっくり下げます。速く上げた株は、速く下げます。

ここに注意

この格言は、「上げたから下げる」という意味ではありません。

ここを誤解すると、上げている株をすべて危険視することになります。

業績が伸びて株価が上がる会社は存在します。10年で10倍になる株もあります。それらは山高ければ谷深しの対象ではありません。

見分ける問いは1つです。

なぜ上げたのか、説明できるか。

説明できる 説明できない
利益が増えた 理由は分からないが上げている
新しい事業が伸びた SNSで話題になっている
大きな契約が決まった 誰かが買っているらしい

右側なら、この格言が当てはまります。支えているものがないので、崩れるときは速いのです。

そして、最も実際的な注意を書いておきます。

下げ始めてから「そのうち戻る」と考えるのが、いちばん損をします。

図の株を194円で買った人は、こう考えます。

  • 176円 … 「少し下げただけだ」
  • 144円 … 「ここが押し目かもしれない」
  • 108円 … 「さすがに下げすぎだ」
  • 78円 … 「もう売れない」

どの段階でも、売る理由より持ち続ける理由のほうが思いつきます。 そして最後は塩漬けになります。

対処は、買う前に決めておくことです。

理由の説明できない急騰には乗らない。乗るなら、いくらで降りるかを先に決める。

急騰した株を見ると「乗り遅れた」と感じます。しかし機会は何度でも来ます。 東証には約3,900社あります。1つ逃しても、次があります。

失った資金は、そう簡単には戻りません。

関連する言葉

  • 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
  • イナゴ 話題になった銘柄に短時間で群がり、急騰させてすぐ去っていく投資家たちのこと。
  • 仕手株 特定の勢力が意図的に株価を吊り上げる銘柄。乗った個人が最後に残される。
  • 落ちてくるナイフ 急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
  • ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
最終更新
2026-09-17