カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

落ちてくるナイフ

急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。

ひとことで言うと

急落している最中の株を買うのは、落ちてくるナイフを掴むようなものだという戒めです。

もう少しくわしく

落ちてくるナイフ急落の途中で買うと、さらに下げてけがをするという例え。 急落の前 株価 「安くなった」と買う さらに -58%
株価落ちている最中は、どこまで落ちるか分からない。床に落ちて止まってから拾え、という戒め
急落の途中で「安くなった」と買った後も、株価は下げ続けています。どこまで落ちるかは、落ちている最中には分かりません。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

英語の相場格言 "Don't catch a falling knife" の訳です。続きがあります。

床に落ちて、止まってから拾え。

落ちてくるナイフを空中で掴もうとすれば、手を切ります。しかし床に落ちて止まったナイフなら、安全に拾えます。

なぜ急落中の株を買いたくなるのか。安く見えるからです。

  • 3,000円だった株が1,800円になった
  • 「40%も安い。お買い得だ」

しかし株価に「もとの値段」という基準はありません。1,800円は、その時点で市場が妥当と判断した値段です。安いのではなく、評価が下がったのです。

そして急落には理由があります。その理由が解消していないなら、下げは続きます。

実際の数字で見る

急落中に3回買い増した場合を追います。

時点 株価 買い増し 平均取得 その後
1回目 1,800円 100株 1,800円 さらに下落
2回目 1,300円 100株 1,550円 さらに下落
3回目 900円 100株 1,333円 560円まで下落

投じた額は40万円。最終的な評価額は16.8万円です。23万円の損になりました。

「安くなったから買う」を繰り返すと、ナンピンと同じ結果になります。

ここに注意

「どこが床か」は、落ちている最中には分かりません。分かるのは、止まった後だけです。

では、止まったかどうかをどう判断するのか。確実な方法はありません。 しかし、次の点は確認できます。

1. 急落の理由が解消したか。

これが最も重要です。

急落の理由 見方
市場全体の下落に巻き込まれた 解消しうる。会社の中身は変わっていない
一時的な悪材料(訴訟、事故) 内容次第
業績の大幅な悪化 解消していない。下げは続きうる
不正会計の発覚 論外。上場廃止もある

2. 数字が実際に底を打ったか。

株価ではなく、業績を見てください。売上高と営業利益が下げ止まったことを、決算で確認できてから考えても遅くありません。

「早く買わないと安いところを逃す」と焦る必要はありません。本当に良い会社なら、底を確認してから買っても十分に利益は出ます。 底から10%上がったところで買っても、そこから2倍になれば同じことです。

そして最も大事な点です。

下げ止まったように見えても、二番底があります。

一度反発したのを見て「底を打った」と判断し、買った直後にもう一度下げる。これは非常によくある形です。一度の反発では、底かどうかは分かりません。

当サイトの分析が数か月から数年の時間軸を扱っているのは、この理由もあります。急落の最中に判断を迫られる場面を、そもそも作らないという考え方です。

関連する言葉

  • ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
  • バリュートラップ(割安の罠) 割安に見える株を買ったが、安いのには理由があり、そのまま下がり続けること。
  • 二番底 一度下げ止まった後、もう一度下げること。最初の反発を底と見て買うと損をする。
  • 狼狽売り(ろうばいうり) 株価の急落に慌てて、冷静な判断をせずに売ってしまうこと。
最終更新
2026-09-16