落ちてくるナイフ
急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
ひとことで言うと
急落している最中の株を買うのは、落ちてくるナイフを掴むようなものだという戒めです。
もう少しくわしく
英語の相場格言 "Don't catch a falling knife" の訳です。続きがあります。
床に落ちて、止まってから拾え。
落ちてくるナイフを空中で掴もうとすれば、手を切ります。しかし床に落ちて止まったナイフなら、安全に拾えます。
なぜ急落中の株を買いたくなるのか。安く見えるからです。
- 3,000円だった株が1,800円になった
- 「40%も安い。お買い得だ」
しかし株価に「もとの値段」という基準はありません。1,800円は、その時点で市場が妥当と判断した値段です。安いのではなく、評価が下がったのです。
そして急落には理由があります。その理由が解消していないなら、下げは続きます。
実際の数字で見る
急落中に3回買い増した場合を追います。
| 時点 | 株価 | 買い増し | 平均取得 | その後 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 1,800円 | 100株 | 1,800円 | さらに下落 |
| 2回目 | 1,300円 | 100株 | 1,550円 | さらに下落 |
| 3回目 | 900円 | 100株 | 1,333円 | 560円まで下落 |
投じた額は40万円。最終的な評価額は16.8万円です。23万円の損になりました。
「安くなったから買う」を繰り返すと、ナンピンと同じ結果になります。
ここに注意
「どこが床か」は、落ちている最中には分かりません。分かるのは、止まった後だけです。
では、止まったかどうかをどう判断するのか。確実な方法はありません。 しかし、次の点は確認できます。
1. 急落の理由が解消したか。
これが最も重要です。
| 急落の理由 | 見方 |
|---|---|
| 市場全体の下落に巻き込まれた | 解消しうる。会社の中身は変わっていない |
| 一時的な悪材料(訴訟、事故) | 内容次第 |
| 業績の大幅な悪化 | 解消していない。下げは続きうる |
| 不正会計の発覚 | 論外。上場廃止もある |
2. 数字が実際に底を打ったか。
株価ではなく、業績を見てください。売上高と営業利益が下げ止まったことを、決算で確認できてから考えても遅くありません。
「早く買わないと安いところを逃す」と焦る必要はありません。本当に良い会社なら、底を確認してから買っても十分に利益は出ます。 底から10%上がったところで買っても、そこから2倍になれば同じことです。
そして最も大事な点です。
下げ止まったように見えても、二番底があります。
一度反発したのを見て「底を打った」と判断し、買った直後にもう一度下げる。これは非常によくある形です。一度の反発では、底かどうかは分かりません。
当サイトの分析が数か月から数年の時間軸を扱っているのは、この理由もあります。急落の最中に判断を迫られる場面を、そもそも作らないという考え方です。
関連する言葉
- ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
- バリュートラップ(割安の罠) 割安に見える株を買ったが、安いのには理由があり、そのまま下がり続けること。
- 二番底 一度下げ止まった後、もう一度下げること。最初の反発を底と見て買うと損をする。
- 狼狽売り(ろうばいうり) 株価の急落に慌てて、冷静な判断をせずに売ってしまうこと。
- 最終更新
- 2026-09-16