カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

相場は明日もある

焦って売買するなという教え。逃した機会は取り返せるが、失った資金は戻らない。

ひとことで言うと

焦って売買しなくても、機会はまた来るという教えです。

もう少しくわしく

古くからある言葉です。似た言い回しに「相場は逃げない」があります。

言っているのは、焦りへの戒めです。

焦る場面 そのときの気持ち
急騰している銘柄を見つけた いま買わないと乗り遅れる
決算発表の直前 発表前に仕込まないと
相場が急落した いま買わないと安値を逃す
持ち株が下げ始めた いま売らないと

どれも「いま決めなければ」という気持ちです。

しかし、事実はこうです。

東証には約3,900社あります。1つ逃しても、次があります。

そして、逃した機会と失った資金は、まったく性質が違います。

取り返せるか
逃した機会 取り返せる。次がある
失った資金 戻らない

焦って買って損をするのと、買わずに上がるのを見るのでは、後者のほうがはるかに軽いのです。

実際の数字で見る

逃した機会と失った資金を、数字で比べます。

逃した場合

結果
買わなかった銘柄が2倍になった 資産は変わらず
次の機会を探せる 資金はそのまま

焦って買って失敗した場合

結果
100万円で買い、−40% 60万円
元に戻すには +66.7%必要

前者は0、後者はマイナスです。 出発点が違います。

そして、焦って買った場合の成績には、構造的な問題があります。

焦って買う場面 そのときの株価
急騰しているのを見て すでに上げた後
話題になっているのを見て すでに知られた後
決算が良いと報じられて すでに織り込まれた後

焦りが生じるのは、たいてい遅れているときです。早い段階では、そもそも気づきません。

イナゴという言葉が指しているのは、この状態です。

ここに注意

「明日もある」を、判断の先送りに使わないでください。

この格言には、逆の使われ方があります。

正しい使い方 誤った使い方
焦って買わない 売るべき株を売らない
分からないなら手を出さない 調べるのを先送りする
相場が荒れたら休む 損切りを先延ばしにする

「明日もある」は、買う側の焦りへの戒めです。売る判断を遅らせる理由にはなりません。

下げている株について「明日もある」と考えるのは、お祈りと同じことです。

もう3つ、実際的なことを書きます。

1. 買いたくなったら、一晩おいてください。

急騰を見て買いたくなったとき、その日は買わないと決めておく。翌日も買いたければ買う。

多くの場合、翌日には気が変わっています。 変わらなければ、それは焦りではなく判断です。

2. 買う条件を先に決めておいてください。

スクリーニングの記事に書いたとおりです。「PER15倍以下」「営業利益が3期連続で増えている」といった条件があれば、急騰した銘柄がそれを満たすかを確かめられます。

条件を満たさないなら、焦る理由がありません。

3. 現金も持ち高だと考えてください。

ポジポジ病の記事に書いたことです。何も持っていない状態は、現金を100%持っている状態です。

下げたときに買える人は、現金を持っていた人だけです。

そして、この格言といちばん相性のよい考え方を書いておきます。

急いで入る必要のある投資は、たいてい良い投資ではありません。

「今日中に決めないと」という話には、それだけで警戒する理由があります。

本当に価値のある会社なら、1週間調べてから買っても、結果は大きく変わりません。 1週間で判断が変わるほどの差は、長く持つ投資にはほとんど関係ありません。

焦らせる側には、焦らせる理由があります。 それが誰の利益になるのかを、一度考えてみてください。

関連する言葉

  • 休むも相場 売買しないことも立派な判断だという格言。動かないでいられることが、続ける条件になる。
  • ポジポジ病 常に何かを持っていないと落ち着かない状態。取引の回数が増えるほど費用がかさむ。
  • 押し目待ちに押し目なし 下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらず上がっていくこと。待つことも損になる。
  • イナゴ 話題になった銘柄に短時間で群がり、急騰させてすぐ去っていく投資家たちのこと。
  • ノーポジ 株を1株も持っていない状態。何もしないことが積極的な判断になる場面もある。
最終更新
2026-09-18