押し目待ちに押し目なし
下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらず上がっていくこと。待つことも損になる。
ひとことで言うと
「下がったら買おう」と待っているうちに、一度も下がらずに上がっていくことです。
もう少しくわしく
押し目とは、上昇の途中で一時的に下げる場面のことです。そこで買えれば有利になります。
しかし、強い上昇では押し目が来ません。
理由は明快です。多くの人が同じことを考えているからです。
- 「下がったら買おう」と考える人が大勢いる
- 少し下げると、その人たちの買いがすぐ入る
- 下げが止まり、また上がる
- 待っていた水準まで届かない
つまり押し目を待つ人が多いほど、押し目は浅くなります。
この言葉が戒めているのは、待つことも損であるという点です。
実際の数字で見る
株価1,000円のときに「950円まで下がったら買おう」と決めた場合。
| 時点 | 株価 | 950円に届いたか |
|---|---|---|
| 決めた日 | 1,000円 | — |
| 1か月後 | 1,050円(安値 985円) | 届かず |
| 3か月後 | 1,180円(安値 1,090円) | 届かず |
| 6か月後 | 1,420円 | 届かず |
| 1年後 | 1,680円 | 届かず |
結果として、1年間何もしないまま、68%の上昇を逃しました。
失った額は帳簿に出ません。しかし、買っていれば得られたはずの利益を失っています。これを機会損失と言います。
さらに悪いことに、多くの人はこの後こうします。
1,680円まで上がったところで、耐えきれず買う。 そして、そこが天井だった場合、高値掴みになります。
ここに注意
「押し目を待つな」という意味ではありません。待つ基準を、値段だけにするなという意味です。
この言葉を「上がっている株はすぐ買え」と読むのは誤りです。それでは提灯買いと同じになります。
問題は、待つ基準が「950円」という値段だけだったことです。値段は、その会社の価値とは関係なく決まります。
では、何を基準にすべきか。会社の価値に対して割安かどうかです。
| 基準 | 性質 |
|---|---|
| 「950円まで下がったら」 | 株価だけ。根拠がない |
| 「PERが15倍を下回ったら」 | 利益に対する水準。根拠がある |
| 「業績の改善が決算で確認できたら」 | 中身に基づく |
後者2つなら、株価が上がっても利益がそれ以上に増えればPERは下がります。 買える場面は来ます。
もう一つ、実務的な方法があります。
分けて買う。
「下がったら全額」ではなく、次のようにします。
| 行動 | |
|---|---|
| 今すぐ | 3分の1を買う |
| 下がったら | もう3分の1 |
| さらに下がったら | 残り3分の1 |
こうすれば、下がらなかった場合でも3分の1は持っています。 上昇を丸ごと逃すことはありません。下がった場合は、より安く買い増せます。
「全部買うか、何も買わないか」の二択で考えるから、待ちすぎるのです。
最後に、この言葉の対になる戒めを挙げておきます。
落ちてくるナイフを掴むな。
一方は「待ちすぎるな」、もう一方は「飛びつくな」。矛盾しているように見えますが、どちらも「値段だけで判断するな」と言っています。
判断の基準を値段の外に持つこと。それが両方への答えです。
関連する言葉
- 押し目(おしめ) 上昇が続いている途中で起きる、一時的な下げのこと。買いの機会とされる。
- 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
- 頭と尻尾はくれてやれ 最安値と最高値を狙わず、真ん中だけ取れば十分という戒め。欲張ると両方逃す。
- 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
- 最終更新
- 2026-09-16