カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

押し目待ちに押し目なし

下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらず上がっていくこと。待つことも損になる。

ひとことで言うと

「下がったら買おう」と待っているうちに、一度も下がらずに上がっていくことです。

もう少しくわしく

押し目待ちに押し目なし下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらずに上がっていく形。 買いたい水準 株価 「ここまで下がったら買おう」 一度も届かないまま
株価強い上昇では、待っている水準まで下がらない。待ち続けて買えないことも損である
「ここまで下がったら買おう」と決めた水準に、一度も届かないまま上がっていく形です。待っている間に買う機会は失われています。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

押し目とは、上昇の途中で一時的に下げる場面のことです。そこで買えれば有利になります。

しかし、強い上昇では押し目が来ません。

理由は明快です。多くの人が同じことを考えているからです。

  1. 「下がったら買おう」と考える人が大勢いる
  2. 少し下げると、その人たちの買いがすぐ入る
  3. 下げが止まり、また上がる
  4. 待っていた水準まで届かない

つまり押し目を待つ人が多いほど、押し目は浅くなります。

この言葉が戒めているのは、待つことも損であるという点です。

実際の数字で見る

株価1,000円のときに「950円まで下がったら買おう」と決めた場合。

時点 株価 950円に届いたか
決めた日 1,000円 —
1か月後 1,050円(安値 985円) 届かず
3か月後 1,180円(安値 1,090円) 届かず
6か月後 1,420円 届かず
1年後 1,680円 届かず

結果として、1年間何もしないまま、68%の上昇を逃しました。

失った額は帳簿に出ません。しかし、買っていれば得られたはずの利益を失っています。これを機会損失と言います。

さらに悪いことに、多くの人はこの後こうします。

1,680円まで上がったところで、耐えきれず買う。 そして、そこが天井だった場合、高値掴みになります。

ここに注意

「押し目を待つな」という意味ではありません。待つ基準を、値段だけにするなという意味です。

この言葉を「上がっている株はすぐ買え」と読むのは誤りです。それでは提灯買いと同じになります。

問題は、待つ基準が「950円」という値段だけだったことです。値段は、その会社の価値とは関係なく決まります。

では、何を基準にすべきか。会社の価値に対して割安かどうかです。

基準 性質
「950円まで下がったら」 株価だけ。根拠がない
「PERが15倍を下回ったら」 利益に対する水準。根拠がある
「業績の改善が決算で確認できたら」 中身に基づく

後者2つなら、株価が上がっても利益がそれ以上に増えればPERは下がります。 買える場面は来ます。

もう一つ、実務的な方法があります。

分けて買う。

「下がったら全額」ではなく、次のようにします。

行動
今すぐ 3分の1を買う
下がったら もう3分の1
さらに下がったら 残り3分の1

こうすれば、下がらなかった場合でも3分の1は持っています。 上昇を丸ごと逃すことはありません。下がった場合は、より安く買い増せます。

「全部買うか、何も買わないか」の二択で考えるから、待ちすぎるのです。

最後に、この言葉の対になる戒めを挙げておきます。

落ちてくるナイフを掴むな。

一方は「待ちすぎるな」、もう一方は「飛びつくな」。矛盾しているように見えますが、どちらも「値段だけで判断するな」と言っています。

判断の基準を値段の外に持つこと。それが両方への答えです。

関連する言葉

  • 押し目(おしめ) 上昇が続いている途中で起きる、一時的な下げのこと。買いの機会とされる。
  • 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
  • 頭と尻尾はくれてやれ 最安値と最高値を狙わず、真ん中だけ取れば十分という戒め。欲張ると両方逃す。
  • 高値掴み(たかねづかみ) 株価が一番高いところで買ってしまい、その後の下落に巻き込まれること。
最終更新
2026-09-16