三割高下に向かえ
3割動いたら反対売買を考えろという格言。下げ幅と上げ幅は釣り合わない。
ひとことで言うと
株価が3割動いたら、反対の売買を考えろという格言です。
もう少しくわしく
高下とは、上げ下げのことです。「向かえ」は「反対の行動をとれ」という意味です。
| 動き | とるべき行動 |
|---|---|
| 3割上げた | 売りを考える |
| 3割下げた | 買いを考える |
1,000円の株なら、こうなります。
| 水準 | |
|---|---|
| 3割上げ | 1,300円 |
| 3割下げ | 700円 |
なぜ3割なのか。根拠はありません。 昔から語り継がれてきた経験則です。
ただし、この格言には読み取るべき中身があります。
どこかで区切りをつけろ。
上げ続けている株を持ち続ければ、いつか下げます。下げ続けている株を見送り続ければ、いつか上げます。「そろそろ考え直す水準」を決めておけ、という教えです。
3割という数字そのものより、あらかじめ決めておくことに意味があります。
実際の数字で見る
この格言には、触れられていない非対称があります。
計算式は単純です。
必要な上昇率 = 1 ÷(1 − 下落率)− 1
| 下げ幅 | 元に戻るのに必要な上昇率 |
|---|---|
| 10% | 11.1% |
| 30% | 42.9% |
| 50% | 100% |
| 70% | 233% |
3割下げた株は、4割3分上げないと元に戻りません。
1,000円が700円になったとします。700円から1,000円に戻るには、300円の上昇が必要です。700円に対して42.9%です。
下げるときの3割と、上げるときの3割は、金額が違います。 下げた後の株価が小さくなっているためです。
ここから、大事なことが2つ出てきます。
1. 大きく下げてから買うのは、思うほど有利ではありません。
3割下げたところで買っても、そこからさらに3割下げれば、490円です。元の1,000円から見れば51%の下落で、戻すには104%の上昇が必要になります。
2. 損切りを早くするほど、取り返すのは楽になります。
10%の損なら11.1%取り返せば戻ります。50%の損なら倍にしないと戻りません。
これが「損切りは早く」と言われる、算数の理由です。
ここに注意
「3割下げたから買う」は、この格言のいちばん危険な読み方です。
3割下げるには理由があります。
| 下げた理由 | その後 |
|---|---|
| 相場全体が下げている | 戻る可能性がある |
| 業績が悪化した | さらに下げる |
| 不正が発覚した | 上場廃止もある |
格言は理由を問いません。 「3割下げた」という事実だけを見ています。
落ちてくるナイフという別の格言は、まさにこれを戒めています。同じ相場の世界に、正反対のことを言う格言が並んで存在します。
どちらが正しいのか。場面によります。 そして、格言は場面を教えてくれません。
もう2つ、注意点があります。
1. 3割上げたから売る、も同じ問題を抱えています。
業績が伸びて上げている株は、3割で止まりません。テンバガー(10倍株)になる株を3割で売れば、その後の9倍分を逃します。
頭と尻尾はくれてやれという格言もありますが、胴体の途中で降りてしまうことになります。
2. 何を基準に3割を測るのか、決まりがありません。
| 基準 | 測り方 |
|---|---|
| 自分の買値から | 個人的な数字。市場とは無関係 |
| 直近の高値から | 高値がいつのものか次第 |
| 年初来高値から | また違う数字 |
買値から3割で測るのが最も多いと思われますが、買値は市場にとって何の意味もありません。 あなたがいくらで買ったかで、株価が動くわけではないからです。
そのうえで、この格言から取るべきものを書いておきます。
数字より、「先に決めておく」という姿勢です。
3割でも2割でも構いません。買う前に、どこで考え直すかを決めておく。 それさえできていれば、下げたときに慌てずに済みます。
そして、決めた水準に来たときにすることは「売る」ではなく「考え直す」です。
- 買った理由は今も成り立っているか
- 業績に変化はないか
- いま現金で持っていたとして、この株を買うか
答えが「はい」なら持ち続ける。「いいえ」なら減らす。3割という数字は、その問いを思い出すための目印にすぎません。
関連する言葉
- 頭と尻尾はくれてやれ 最安値と最高値を狙わず、真ん中だけ取れば十分という戒め。欲張ると両方逃す。
- 利確(利益確定) 含み益が出ている株を売って、利益を現実のものにすること。売るまで利益は存在しない。
- 損切り(ロスカット) 損が出ている株を売って、損失を確定させること。傷が広がる前に止める行為。
- 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
- ナンピン(難平) 買った株が下がったとき、さらに買い増して平均の取得価格を下げる手法。初心者が資産を失う最大の原因でもある。
- 最終更新
- 2026-09-17