野も山もみな一面の弱気なら
全員が弱気になったときこそ買えという格言。ただし「全員」を確かめる手段がない。
ひとことで言うと
誰もかれもが弱気になったときこそ、買う場面だという格言です。
もう少しくわしく
続きがあります。
野も山もみな一面の弱気なら、阿呆になりて買いのタネをまけ
「阿呆になりて」が要です。まわりから見れば愚かに見える行動をとれ、という意味です。
なぜそう言えるのか。需給の理屈があります。
| 状態 | 起きていること |
|---|---|
| 全員が弱気 | 売りたい人はすでに売り終わっている |
| したがって | これ以上、売る人がいない |
| そこに買いが入れば | 少しの買いで上がる |
株価は買いたい人と売りたい人の差で動きます。売る人がいなくなれば、下げは止まります。
セリング・クライマックスは、この最終局面を指す言葉です。
逆も同じです。全員が強気のときは、買う人がすでに買い終わっています。 だから上がらなくなります。
人の行く裏に道あり花の山という格言も、同じことを言っています。
実際の数字で見る
「全員が弱気」を、数字で見る方法があります。
騰落レシオです。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比を見ます。
| 騰落レシオ | 状態 |
|---|---|
| 100 | 値上がりと値下がりが同数 |
| 70以下 | 売られすぎとされる |
| 60を割る | ほとんどの銘柄が売られている |
このほかにも、参考になる数字があります。
| 指標 | 「全員が弱気」を示す水準 |
|---|---|
| 空売り比率 | 高い水準が続く |
| 信用買い残 | 減っている(投げ終わった) |
| 出来高 | 急増した後、細る |
とくに最後の並びが典型的です。
| 順番 | 出来高 | 株価 |
|---|---|---|
| 1 | 増え始める | 下げ続ける |
| 2 | 爆発的に増える | 急落する(投げ売り) |
| 3 | 急に細る | 下げ止まる |
2がセリング・クライマックス、3が「売る人がいなくなった」状態です。
ただし、これが分かるのは後からです。 その最中には、2なのか、まだ途中なのか、判断できません。
ここに注意
この格言には、致命的な問題があります。「全員」を確かめる手段がありません。
「まだ弱気でない人がいるかもしれない」という可能性を、最後まで消せません。
そして実際に、もっと下がります。
| 場面 | 起きること |
|---|---|
| ニュースが悲観一色になった | そこからさらに3割下げた |
| 誰もが「もう終わりだ」と言った | そこからさらに半分になった |
過去の大きな下落では、「ここが底だ」と言われた水準から、さらに何割も下げた例がいくつもあります。
落ちてくるナイフという格言は、まさにこれを戒めています。同じ相場の世界で、正反対の教えが並んでいます。
では、どう使うのか。3つの条件をつけてください。
1. 生活に影響しない金額でのみ試す。
底を当てることはできません。外れる前提で、外れても困らない金額にしてください。命金には手をつけるなです。
2. 一度に入れない。
分割売買にしてください。「ここが底だ」と思った水準で全額を入れると、そこからさらに下げたときに何もできなくなります。
3回に分け、さらに下げたときのために残しておくのが現実的です。
3. 会社を選ぶ。
相場全体が下げているときは、良い会社も一緒に下げます。 そこは確かに機会です。
しかしその会社自身に問題があって下げているなら、相場が戻っても戻りません。
| 下げた理由 | この格言が使えるか |
|---|---|
| 相場全体が下げている | 使える |
| その会社の業績が悪化した | 使えない |
そして、最後に正直に書いておきます。
この格言に従って買った人が報われたかどうか、確かめる方法はありません。
うまくいった話は語り継がれ、失敗した話は消えます。「あのとき買っていれば」は、後から見れば必ず言えます。
この格言から取るべきものは、売買の合図ではなく、次の一点です。
皆が同じ方向を向いているときは、値段がその方向に行きすぎている可能性がある。
だから慌てて同じ方向に動かない。 それだけでも、高値で買い、安値で売る失敗は減ります。
関連する言葉
- セリング・クライマックス 投げ売りが一日に集中し、出来高が跳ね上がって下げ止まる場面。後からしか分からない。
- 人の行く裏に道あり花の山 多数派と逆に動けば利益があるという格言。ただし逆張りの推奨ではない。
- もうはまだなり、まだはもうなり 「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときには底を打っている。
- 騰落レシオ 値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比。個別銘柄ではなく市場全体の偏りを見る。
- 落ちてくるナイフ 急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
- 最終更新
- 2026-09-17