カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

人の行く裏に道あり花の山

多数派と逆に動けば利益があるという格言。ただし逆張りの推奨ではない。

ひとことで言うと

多くの人が行く道とは別の道に、花の咲く山があるという意味の格言です。

もう少しくわしく

千利休の教えとされる歌が元と伝わります。相場の世界では、多数派と同じ動きをしていては儲からないという意味で使われます。

なぜそうなるのか。株価は多数派の行動で作られるからです。

  • 全員が「買いだ」と思っている → すでに買われている → 高い
  • 全員が「売りだ」と思っている → すでに売られている → 安い

つまり、多数派が正しいと思ったときには、その分だけ値段に反映済みです。そこから利益を得るのは難しくなります。

この考え方を逆張り、コントラリアンと呼びます。

似た格言がいくつもあります。

格言 意味
もうはまだなり 底だと思ったときはまだ下がる
靴磨きの少年 誰もが買い始めたら天井
山高ければ谷深し 上げが大きいほど下げも大きい

どれも、多数派の判断を疑えと言っています。

実際の数字で見る

市場が悲観に傾いた局面の例です。

時期 世の中の空気 日経平均 その後1年
2008年秋 「世界恐慌が来る」 7,000円台 上昇
2020年3月 「経済が止まる」 16,000円台 大幅上昇
2013年 「日本株は終わった」 10,000円台 大幅上昇

最も悲観が強かった時期に買えた人が、大きく利益を得ました。

ただし、これは後から見て分かることです。当時、その場で「今が底だ」と判断できた人はほとんどいません。

そして重要なのは、悲観が正しかった例も存在することです。

時期 世の中の空気 その後
1990年 「まだ上がる」 34年戻らず
個別企業の不正発覚時 「終わりだ」 本当に終わった例が多い

ここに注意

この格言は「みんなの逆をやれば勝てる」とは言っていません。

「全員が売っているから買う」という判断は、結局みんなの動きを基準にしている点で、多数派と同じです。基準が他人にあることに変わりありません。

本当に言っているのは、こういうことです。

自分で調べて、自分の基準で判断せよ。

その結果がたまたま多数派と違っただけです。違うこと自体が目的ではありません。

見分ける問いは1つです。

判断 中身
「PERが8倍で、業績は伸びている。だから買う」 自分の基準
「みんなが売っているから買う」 他人が基準(向きが逆なだけ)

後者は逆張りではなく、天邪鬼です。

そして、逆張りには固有の危険があります。

多数派が正しいことも、しばしばあります。

業績が崩れて売られている会社を「みんなが売っているから」と買えば、落ちてくるナイフを掴むことになります。

悲観が行きすぎているのか、それとも正しいのか。それを区別できるのは、その会社の中身を調べたときだけです。

当サイトが財務データを軸にしているのは、この区別をするためです。市場全体の空気ではなく、その会社の数字を見る。 それが「自分の基準」を持つということです。

最後に一つ。この格言は、少数派でいることの孤独も含んでいます。

多数派と違う判断をすれば、周りから「なぜそんな株を」と言われます。そして正しかったかどうかは、何年も後にしか分かりません。その期間に耐えられるかどうかも、この道を選ぶ条件です。

関連する言葉

  • 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
  • 靴磨きの少年 投資と縁のない人まで株の話をし始めたら天井が近い、という逸話。
  • もうはまだなり、まだはもうなり 「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときには底を打っている。
  • 割安株(バリュー株) 会社の実力より株価が安く放置されている株。安い理由があるだけの場合もある。
最終更新
2026-09-16