もうはまだなり、まだはもうなり
「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときには底を打っている。
ひとことで言うと
「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときにはもう底を打っている、という戒めです。
もう少しくわしく
江戸時代の相場師、本間宗久の言葉として伝わっています。世界最古の先物市場とされる大坂堂島の米相場で使われた格言です。
意味はこうです。
| 自分の判断 | 実際 |
|---|---|
| 「もう下げ止まるだろう」 | まだ下がる |
| 「まだまだ下がる」 | もう底を打っている |
なぜ逆になるのか。判断が、周りと同じだからです。
「もう底だ」と自分が思うとき、同じことを考える人が大勢います。その人たちがすでに買っていれば、買う人はもう残っていません。 だから上がりません。
逆に「まだ下がる」と全員が思っているときは、売る人がすでに売り終わっています。 だから下がりません。
つまりこの格言は、多数派の判断は当たらないということを言っています。
実際の数字で見る
下げ相場での判断と実際です。
| 時期 | 株価 | 多くの人の判断 | その後 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 2,000→1,600円 | 「下げすぎだ。もう底」 | さらに下落 |
| 2か月目 | 1,600→1,240円 | 「これで底だろう」 | さらに下落 |
| 3か月目 | 1,240→980円 | 「まだ下がる。半値もある」 | 反転 |
| 5か月目 | 1,380円 | 「乗り遅れた」 | — |
最も悲観的な声が大きかった3か月目が底でした。
ただし、これは後から見て分かることです。3か月目の時点では、そこが底かどうか誰にも分かりませんでした。
ここに注意
この格言を「逆張りをすれば勝てる」と読むのは誤りです。
「みんなが悲観しているから買おう」という判断は、結局みんなの動きを基準にしている点で同じです。そして悲観が正しいこともあります。
業績が悪化して倒産に向かっている会社では、悲観は最後まで正しかったということになります。
| 状況 | 悲観は正しいか |
|---|---|
| 市場全体の急落に巻き込まれた | 行きすぎていることが多い |
| その会社の業績が崩れた | 正しい。さらに下がる |
| 不正会計が発覚した | 正しい。上場廃止もある |
この格言が効くのは、市場全体の心理が振れているときです。個別企業の業績悪化には当てはまりません。
では、投資家はこの格言をどう使うべきか。
売買の合図ではなく、自分の判断を疑う材料として使ってください。
- 「もう底だ」と感じたとき → なぜそう思うのか、根拠は数字か気分か
- 「まだ下がる」と感じたとき → 同じ問い
根拠が「そろそろ下げ止まる頃だ」「これだけ下げたから」なら、それは気分です。数字ではありません。
当サイトの立場を書いておきます。
当サイトは、相場が底か天井かを判断しません。公表された財務データから見て、今の株価がその会社の中身に対してどの水準にあるかを示すだけです。
底を当てる必要はありません。割安な水準で買い、業績が崩れたら売る。 それだけなら、底がどこかを知らなくても実行できます。
格言は、先人が経験から残したものです。しかし格言は判断の代わりにはなりません。 数字を見ることの代わりにはならない、という点を忘れないでください。
関連する言葉
- 閑散に売りなし 売買が細って値動きが乏しいときは、売り込んでも下がりにくいという古い格言。
- 二番底 一度下げ止まった後、もう一度下げること。最初の反発を底と見て買うと損をする。
- 落ちてくるナイフ 急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
- 押し目待ちに押し目なし 下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらず上がっていくこと。待つことも損になる。
- 最終更新
- 2026-09-16