カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

麦藁帽子は冬に買え

誰も欲しがらない時期に仕込めという格言。ただし季節と業績の周期は一致しない。

ひとことで言うと

誰も欲しがらない時期に買っておけ、という格言です。

もう少しくわしく

麦藁帽子は夏にかぶるものです。冬には誰も買いません。 だから安く手に入ります。

夏になって皆が欲しがるころには、値上がりしています。

株でも同じことをせよ、という教えです。

時期 状態
注目されていないとき 安い。しかし買う気になれない
注目されたとき 高い。しかし買いたくなる

株は木で買って紙で売れと、ほぼ同じことを言っています。違いは、季節という分かりやすい例えを使っている点です。

そして、この格言にはもう1つの読み方があります。

業績が良くなるより前に買え。

株価はこれから起きることを織り込んで動きます。決算で好業績が発表されたときには、すでに株価に反映されています。

だから「良い決算が出てから買う」では遅い、という話です。

実際の数字で見る

季節で売上が偏る会社を例にします。冷房機器の会社です。

四半期 売上 世間の関心
4〜6月 増える 少し出てくる
7〜9月 最も多い 高い
10〜12月 減る 低い
1〜3月 最も少ない ほとんどない

格言に従えば、1〜3月に買うことになります。

しかし、ここで確かめるべきことがあります。

株価は、売上と同じ時期に動くわけではありません。

動く時期
売上 7〜9月がピーク
株価 その前に織り込まれる

夏の好調が予想されていれば、株価は春のうちに上がっています。 1〜3月に買っても、すでに高いかもしれません。

さらに、予想が外れることもあります。

その年の夏 株価
猛暑だった 予想以上。さらに上がる
冷夏だった 予想外れ。大きく下げる

季節は毎年来ますが、業績は毎年同じではありません。

ここに注意

「安いから買う」と「誰も見ていないから買う」は違います。

この格言が正しく働くのは、次の条件が揃ったときだけです。

条件 中身
1 その会社の価値は変わっていない
2 注目されていないだけ
3 いずれ注目される理由がある

3つ目が抜けやすい点です。

冬に麦藁帽子を買うのは、夏が必ず来るからです。夏が来なければ、その帽子は永遠に売れません。

株で言えば、「いずれ見直される理由」にあたります。

理由がある例 理由がない例
新製品が来期から寄与する ただ長く安いだけ
業界の需要が回復に向かう 業界そのものが縮小している
不振の事業から撤退した 何も変わる予定がない

右側なら、永遠に冬のままです。これがバリュートラップです。

もう3つ、注意点があります。

1. 待つ期間が読めません。

夏は3か月後に来ますが、株の「夏」がいつ来るかは誰にも分かりません。 3年かもしれませんし、来ないかもしれません。

その間、株価は動きません。 他の銘柄が上がるのを見ながら待つのは、想像よりつらいことです。

2. 安いうちに買い増したくなります。

さらに下げたとき、「もっと安く買える」と考えて買い増す。これはナンピンです。予定していなければ、危険な行動です。

3. 季節性のアノマリーと混同しないでください。

「麦藁帽子」は業種の季節性の話です。「節分天井彼岸底」のような相場全体の季節の言い伝えとは別のものです。

前者は事業の実態に根拠がありますが、後者は経験則にすぎません。

そのうえで、この格言の実用的な使い方を書いておきます。

決算発表の前ではなく、事業が良くなる前に買え。

これは難しいことですが、確かめる方法はあります。

見るもの 何が分かるか
受注残高 これから売上になる分
設備投資の発表 数年後の生産能力
月次の販売データ 決算より早く動きが見える
業界全体の統計 需要の方向

これらは決算より早く出ます。 決算を見てから買うより、一歩早く判断できます。

「誰も見ていない」を当てにするのではなく、「自分は先に見た」と言えるようにする。 それがこの格言の、実行できる形です。

関連する言葉

  • 株は木で買って紙で売れ 人気のないときに買い、人気で舞い上がったときに売れという格言。「人気がない」の中身を見分ける必要がある。
  • 順張りと逆張り 上がっている株を買うのが順張り、下がっている株を買うのが逆張り。失敗の形が違う。
  • 閑散に売りなし 売買が細って値動きが乏しいときは、売り込んでも下がりにくいという古い格言。
  • 節分天井彼岸底 2月上旬に高値、3月下旬に安値をつけるという経験則。当たる年も外れる年もある。
  • 割安株(バリュー株) 会社の実力より株価が安く放置されている株。安い理由があるだけの場合もある。
最終更新
2026-09-17