節分天井彼岸底
2月上旬に高値、3月下旬に安値をつけるという経験則。当たる年も外れる年もある。
ひとことで言うと
2月の節分ごろに高くなり、3月の彼岸ごろに安くなる、という言い伝えです。
もう少しくわしく
昔から言われている季節の経験則です。
| 時期 | 言われていること |
|---|---|
| 節分(2月3日ごろ) | 高値をつけやすい |
| 彼岸(3月20日ごろ) | 安値をつけやすい |
もともとは江戸時代の米相場の言葉だったとされています。それが株式相場でも語り継がれてきました。
なぜそうなると説明されるのか。理由としてよく挙がるのは、3月という時期の事情です。
- 3月決算の会社が多く、年度末に向けた売りが出やすい
- 機関投資家がその年度の成績を確定させるために売る
- 新年度の予算が固まる4月まで、新しい買いが入りにくい
ここまでが、一般に語られている話です。
ただし、これは理屈が先にあるのではなく、結果を見てから理由を後付けした話です。こうした言い伝えをアノマリーと呼びます。
実際の数字で見る
「よく当たる」と言われたとき、どれくらい当たれば当たったと言えるのかを考えます。
仮に、この10年のうち6年で格言どおりになったとしましょう。6勝4敗です。強そうに見えます。
しかし、当たるも外れるも五分五分だったとしたら、どうなるでしょうか。コインを10回投げるのと同じです。
| コイン10回投げ | 起きる確率 |
|---|---|
| 6回以上、表が出る | 37.7% |
| 7回以上、表が出る | 17.2% |
| 8回以上、表が出る | 5.5% |
10回投げて6回以上表が出ることは、3回に1回以上あります。 つまり「10年中6年当たった」は、まったくの偶然でも普通に起きるということです。
これを「よく当たる」と受け取ると、判断を誤ります。
8年以上ならさすがに偶然とは言いにくくなります(5.5%)。しかしそれでも、20回に1回は偶然で起きる水準です。
ここに注意
この格言を売買の理由にしてはいけません。
理由は3つあります。
1. 何年分を見るかで、結果が変わります。
直近10年で当たっていても、その前の10年では外れているかもしれません。「当たっている期間」を選んで示せば、どんな格言でも当たって見えます。
2. 知られた規則は、消えていきます。
もし本当に「2月に売って3月に買えば儲かる」なら、皆がそうします。すると1月に売る人が出てきます。さらに12月に売る人が出ます。こうして規則は前倒しになり、やがて消えます。
3. 売買のたびに、手数料と税金がかかります。
仮に毎年3%取れたとしても、利益には20.315%の税金がかかります。手取りは約2.4%です。そこに手数料が乗ります。1年外せば、数年分が消えます。
では、この言葉を知る意味は何か。「3月は売りが出やすい時期だ」という事情を知っておくことです。
持っている株が3月に下げたとき、「会社に何か起きたのか」と慌てる前に、年度末の売りかもしれないと考えられます。それだけでも、狼狽売りを防ぐ役に立ちます。
格言は、売買の合図ではなく、慌てないための知識として使ってください。
関連する言葉
- アノマリー 理屈では説明できないが、経験的に語られる値動きの傾向。再現する保証はない。
- セル・イン・メイ 「5月に売れ」という欧米の格言。日本の相場に当てはまる保証はない。
- 夏枯れ相場 7〜8月に売買が細り、値動きが荒くなりやすい相場。薄商いは有利ではなく、不利に働く。
- 閑散に売りなし 売買が細って値動きが乏しいときは、売り込んでも下がりにくいという古い格言。
- もうはまだなり、まだはもうなり 「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときには底を打っている。
- 最終更新
- 2026-09-17