インタレストカバレッジレシオ
本業の利益で利息を何倍まかなえるか。借金の額そのものより、この倍率が効く。
ひとことで言うと
本業の利益で、借金の利息を何倍まかなえるかを表した数字です。
もう少しくわしく
借金の多い会社は危ない、とよく言われます。しかし借金の額だけでは判断できません。
100億円の借金でも、毎年300億円稼ぐ会社なら問題ありません。10億円の借金でも、赤字の会社には重い負担です。
大事なのは、額ではなく払えるかどうかです。それを測るのがこの指標です。
インタレストカバレッジレシオ =(営業利益 + 受取利息・配当金)÷ 支払利息
分子に受取利息を足すのは、利息を払う原資には、受け取る利息も使えるためです。
目安はこう言われます。
| 倍率 | 見方 |
|---|---|
| 10倍以上 | まったく問題ない |
| 5〜10倍 | 余裕がある |
| 2倍前後 | 注意が必要 |
| 1倍未満 | 本業の利益で利息を払えない |
実際の数字で見る
4社を比べます。
| 営業利益 | 支払利息 | 倍率 | |
|---|---|---|---|
| A社 | 150億円 | 30億円 | 5.0倍 |
| B社 | 60億円 | 30億円 | 2.0倍 |
| C社 | 40億円 | 35億円 | 1.1倍 |
| D社 | 24億円 | 30億円 | 0.8倍 |
D社は1倍を割っています。 本業で稼いだ24億円では、利息30億円を払えません。
足りない6億円はどこから出すのか。
| 出どころ | 何が起きるか |
|---|---|
| 手元の現金を取り崩す | 現金が減っていく |
| 新たに借りる | 借金が増え、利息も増える |
| 資産を売る | 稼ぐ力がさらに落ちる |
どれを選んでも、翌年はもっと苦しくなります。
C社の1.1倍も安心できません。営業利益が1割強(12%)減れば、もう1倍を割ります。
一方A社の5.0倍なら、営業利益が8割減って、ようやく1倍です。それまでは利息を払えます。
この「どれだけ減っても耐えられるか」が、この指標の本当の意味です。
ここに注意
金利が上がると、この倍率は勝手に下がります。
支払利息は、借入額 × 金利です。借入を1円も増やしていなくても、金利が上がれば利息は増えます。
| 借入1,000億円 | |
|---|---|
| 金利1%のとき | 支払利息 10億円 |
| 金利3%のとき | 支払利息 30億円 |
営業利益が100億円なら、倍率は10倍から3.3倍に落ちます。会社は何も変わっていません。
長く金利の低い時代が続いた後は、この点が見落とされがちです。 借入の多い会社ほど、金利の変化に弱くなります。
確かめる材料があります。
| 見るもの | どこにあるか |
|---|---|
| 借入金の平均利率 | 有価証券報告書の注記 |
| 固定金利か変動金利か | 同上 |
| 返済の期限 | 同上 |
固定金利で長期に借りている会社は、金利上昇にすぐには影響を受けません。変動金利や短期の借換えに頼っている会社は、すぐ影響します。
もう3つ、注意点があります。
1. 営業利益は現金ではありません。
利息は現金で払います。営業利益が出ていても、売掛金や在庫に化けていて現金がないことがあります。
営業キャッシュフローも一緒に確認してください。
2. 業種によって普通の水準が違います。
| 業種 | 借入の性質 |
|---|---|
| 不動産・電力・鉄道 | 設備に大きな借入。倍率は低めが普通 |
| ソフトウェア・サービス | 借入が少なく、倍率は高くなりやすい |
比べる相手は、同じ業種の会社にしてください。
3. 銀行など金融業には使えません。
金融業は、お金を借りて貸すのが本業です。支払利息は費用ではなく、事業そのものの一部です。この指標は意味をなしません。
最後に、実際的な使い方を書いておきます。
自己資本比率と一緒に見てください。
| 分かること | |
|---|---|
| 自己資本比率 | 借金の「量」 |
| インタレストカバレッジレシオ | 借金の「重さ」 |
自己資本比率が低くても、この倍率が高ければ、借金をうまく使っていると読めます。逆に自己資本比率が高くても、倍率が低ければ、稼ぐ力が落ちているということです。
量と重さ、両方を見て初めて、財務の安全性が分かります。
関連する言葉
- 有利子負債 利息を払う必要がある借金。多すぎると、金利が上がったときに利益を削られる。
- 営業利益 本業だけで稼いだ利益。会社の実力を最も素直に表す数字。
- 自己資本比率 会社の財産のうち、借金でない部分がどれだけあるかを示す割合。高いほど倒れにくい。
- 当座比率 在庫を除いた支払い能力。流動比率が同じでも、在庫の多い会社はここで差が出る。
- 営業キャッシュフロー 本業で実際に入ってきた現金。利益と違い、ごまかしが効きにくい数字。
- 最終更新
- 2026-09-17