長期投資
数年以上持ち続ける方針。費用と税で有利になるが、「持てば勝てる」ではない。
ひとことで言うと
買った株を、数年から十数年にわたって持ち続ける方針のことです。
もう少しくわしく
何年からを長期と呼ぶかに決まりはありません。おおむね3年以上、多くは5年から20年を指します。
長期投資が有利とされる理由は、3つあります。そのうち2つは確実です。
| 理由 | 確実か |
|---|---|
| 売買の費用がかからない | 確実 |
| 利益への課税が先送りになる | 確実 |
| 会社の成長を取り込める | 確実ではない |
順に見ます。
1. 費用がかかりません。
売買のたびに手数料と、板の厚みによる差が生じます。持ち続けているあいだは、これがゼロです。
2. 税金が先送りになります。
利益に対する20.315%は、売った時点でかかります。売らなければ、税金の分も運用に回り続けます。
10年に1回売る人と、毎年売買する人では、同じ運用成績でも手元に残る額が変わります。
3. 会社の成長は、保証ではありません。
ここが大事な点です。「長期で持てば上がる」という説明を見かけますが、そうとはかぎりません。
その会社が成長すれば上がります。成長しなければ、10年持っても下がったままです。
実際の数字で見る
費用と税の効果を計算します。元本100万円、年5%で増えるとします。
Aさん … 10年間、一度も売らない。
| 金額 | |
|---|---|
| 10年後の評価額 | 1,628,895円 |
| 売って税金を払うと | 1,501,135円 |
Bさん … 毎年1回売って、買い直す。
毎年、その年の利益に20.315%かかります。実質の利回りは5% × (1−0.20315)= 3.98%です。
| 金額 | |
|---|---|
| 10年後(税引後) | 1,478,004円 |
| 手元に残る額 | |
|---|---|
| Aさん(売らない) | 1,501,135円 |
| Bさん(毎年売る) | 1,478,004円 |
| 差 | 23,131円 |
10年で2.3万円の差です。これは手数料を一切考えていない数字で、売買の費用を入れればさらに開きます。
20年にすると、差は13.3万円まで広がります。
同じ運用成績、同じ銘柄でも、売る回数だけで差がつきます。
ここに注意
「長期投資だから」は、損切りしない理由になりません。
これが最大の落とし穴です。
下げている株を持ち続けている人が、こう言うことがあります。
「自分は長期投資だから、気にしていない」
このとき確かめるべきことがあります。
| 長期投資 | ただの塩漬け | |
|---|---|---|
| 買った理由 | 今も成り立っている | 崩れている |
| 持ち続ける理由 | 説明できる | 売ると損が確定するから |
| 業績 | 確認している | 見ていない |
下げたから長期投資に切り替えるのは、長期投資ではありません。判断の放棄です。
見分ける問いは1つです。
いま現金で持っていたとして、この株を買うか。
買うなら、持ち続ける理由があります。買わないなら、持っている理由もありません。
もう3つ、注意点があります。
1. 会社は変わります。
10年あれば、経営陣も事業も変わります。買ったときの理由が消えていないかを、少なくとも年に1度は確かめてください。決算短信を読むだけでも違います。
2. 長期でも下げる時期があります。
20年持つあいだに、資産が半分になる時期は何度か来ます。そこで売れば、長期投資は成立しません。
だから命金には手をつけるなという教えが効いてきます。生活に必要なお金なら、下げた時期に売らざるを得ません。
3. 「長期で持てば必ず報われる」とは書けません。
この記事でそう書かないのは、そうとはかぎらないからです。
- 個別の会社は、倒産することがあります
- 国全体の株価指数でも、戻るまで何十年もかかった例があります
- 日経平均がバブル後の高値を回復するまで、34年かかりました
長期投資が有利にするのは、費用と税金の部分だけです。それは確実です。しかし中身が良くなるかどうかは、別の話です。
正しい言い方はこうなります。
良い会社を持ち続ければ、費用と税の分だけ有利になる。
「持ち続ければ良くなる」ではありません。 順番が逆です。
関連する言葉
- 配当再投資 受け取った配当で同じ株を買い増すこと。差が出るのは後半で、効くまでに時間がかかる。
- インデックス投資 市場全体を表す指数に連動させる運用。個別銘柄を選ばず、市場の平均を取りにいく。
- ドルコスト平均法 毎月同じ金額を買い続ける方法。買う時期を分散し、高値で一度に買う失敗を防ぐ。
- ガチホ 何があっても売らずに持ち続けること。中身を見ずに続けると、ただの塩漬けになる。
- 命金には手をつけるな 生活に必要なお金で投資するなという教え。判断を狂わせるのは金額ではなく性質。
- 最終更新
- 2026-09-17