ぶん投げ
値段を考えず、とにかく全部売ること。底で起きることが多い。
ひとことで言うと
値段を気にせず、とにかく全部売り払うことです。
もう少しくわしく
「投げる」は相場の古い言い方で、損を承知で売ることを指します。それを強めたのが「ぶん投げ」です。
投げ売り、投げとも言います。
狼狽売りとの違いは、程度です。
| 状態 | |
|---|---|
| 狼狽売り | 慌てて売る。まだ値段を見ている |
| ぶん投げ | 値段を見ていない。成行で全部 |
ぶん投げに至るまでの流れは、おおむね決まっています。
- 下げ始める。「戻るだろう」と待つ
- さらに下げる。耐える
- もっと下げる。眠れなくなる
- 限界を超える → 値段を見ずに全部売る
つまりぶん投げは、判断ではなく限界です。
実際の数字で見る
ぶん投げが起きやすいのは、下げの最終局面です。
| 日 | 株価 | 高値からの下落 | その人の状態 |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 1,800円 | -10% | 「押し目だろう」 |
| 10日目 | 1,400円 | -30% | 「そろそろ戻る」 |
| 20日目 | 1,050円 | -48% | 「まずい」 |
| 25日目 | 880円 | -56% | ぶん投げ |
| 30日目 | 1,120円 | -44% | — |
| 60日目 | 1,380円 | -31% | — |
売った5日後から反発しています。
これは偶然ではありません。ぶん投げが集中した日が底になるという現象があります。売りたい人が売り尽くせば、下げる力が消えるためです。これがセリング・クライマックスです。
つまり、最も苦しい日に売ってしまう構造になっています。
ここに注意
ぶん投げを意志の力で防ぐことはできません。防ぐのは、買う前の設計です。
「次は耐えよう」と決心しても、同じ状況になれば同じことが起きます。限界は意志では動かせません。
動かせるのは、限界に達するまでの距離です。
| 対処 | 効果 |
|---|---|
| 投じる金額を減らす | 同じ下落率でも、金額が小さければ耐えられる |
| 損切りを先に決めておく | 限界に達する前に、機械的に終わる |
| 生活費を投じない | 追い詰められた状態を作らない |
| 信用取引を使わない | 追証で強制的に終わらされない |
とくに1つ目が効きます。資産の5%なら-56%でも資産の2.8%減です。眠れなくなる金額ではありません。
一方、すでにぶん投げてしまった人へ。
売った直後に上がるのを見ても、買い直さないでください。
そこで買い直すと、往復ビンタになります。売って下がるならまだしも、売って上がったところで買えば、上下どちらでも損をします。
ぶん投げた後にすべきことは1つだけです。
なぜその金額を投じたのかを、振り返ること。
株が下がったことは、あなたに止められません。しかし、いくら投じるかは自分で決められました。
原因はたいてい、銘柄選びではなく金額です。そこを直せば、次は同じ場面で耐えられます。
そして最後に。
ぶん投げは、誰にでも起きます。 経験の長さとは関係ありません。起きたことを責めるより、起きにくい仕組みを作るほうが確実です。
関連する言葉
- 狼狽売り(ろうばいうり) 株価の急落に慌てて、冷静な判断をせずに売ってしまうこと。
- セリング・クライマックス 投げ売りが一日に集中し、出来高が跳ね上がって下げ止まる場面。後からしか分からない。
- 塩漬け(しおづけ) 損が出た株を売るに売れず、長期間持ち続けてしまう状態のこと。
- お祈り 根拠なく上がることを願うだけの状態。判断をやめたときにこうなる。
- 最終更新
- 2026-09-16