立会外取引(ToSTNeT)
取引時間中の板を使わず、決まった値段でまとめて売買する仕組み。自社株買いなどに使う。
ひとことで言うと
通常の板を使わず、決めた値段で大量の株をまとめて売買する仕組みです。
もう少しくわしく
ふつうの株の売買は、板の上で行われます。買いたい人と売りたい人の注文が並び、値段が合ったところで成立します。これを立会取引(たちあいとりひき)といいます。
立会外取引は、その板を使いません。
東京証券取引所では、ToSTNeT(トストネット)という仕組みで行われます。
| 立会取引 | 立会外取引 | |
|---|---|---|
| 場所 | 板の上 | 板の外 |
| 値段の決まり方 | 注文が合ったところ | あらかじめ決めた値段 |
| 量 | 少しずつ成立 | 一度にまとめて |
| 相手 | 分からない | 決まっていることが多い |
なぜこんな仕組みがあるのか。大量の株を板で売買すると、値段が壊れるからです。
100万株を板で買おうとすれば、売り注文を上から順に食べていくことになります。買い進むほど値段が上がり、自分の買いで自分の買値を押し上げます。
立会外なら、1つの値段でまとめて成立します。
実際の数字で見る
板で100万株を買った場合と、立会外で買った場合を比べます。
板にはこう注文が並んでいるとします。
| 売り注文の値段 | 株数 |
|---|---|
| 1,000円 | 20万株 |
| 1,010円 | 20万株 |
| 1,020円 | 20万株 |
| 1,030円 | 20万株 |
| 1,040円 | 20万株 |
100万株を買うと、1,040円まで買い上がることになります。
| 支払う額 | |
|---|---|
| 1,000円 × 20万株 | 2億円 |
| 1,010円 × 20万株 | 2億200万円 |
| 1,020円 × 20万株 | 2億400万円 |
| 1,030円 × 20万株 | 2億600万円 |
| 1,040円 × 20万株 | 2億800万円 |
| 合計 | 10億2,000万円 |
| 平均の買値 | 1,020円 |
立会外なら、前日終値の1,000円で100万株をまとめて買えます。
| 支払う額 | 平均の買値 | |
|---|---|---|
| 板で買う | 10億2,000万円 | 1,020円 |
| 立会外で買う | 10億円 | 1,000円 |
2,000万円の差です。そして、板で買った場合は株価を1,000円から1,040円へ押し上げています。
ここに注意
取引時間前に「自社株買い」の開示が出たら、立会外のことがあります。
いちばんよく出会う場面がこれです。
会社が自社株買いをするとき、取引開始前にToSTNeTで買い付ける方法があります。前日の終値で、決まった株数を買います。
このとき、株主として知っておくべきことが2つあります。
1. 売った相手が誰かで、意味が変わります。
| 売った相手 | 読み方 |
|---|---|
| 市場の一般の投資家 | ふつうの自社株買い |
| 大株主・創業家 | その株主が持ち分を減らしたかった |
| 親会社 | 資本関係の整理 |
大株主が売る受け皿として使われることがあります。この場合、会社が買ったこと自体は株主還元ですが、同時に大株主が降りたという情報でもあります。
適時開示に「自己株式の取得に係る事項の決定」と並んで、誰から買ったかが書かれていることがあります。確かめてください。
2. 板には出ません。
立会外で成立した分は、通常の板の値動きには直接表れません。 出来高には計上されますが、株価は動かないまま大量の売買が起きていることになります。
「出来高が急に増えたのに株価が動かない」という日があれば、立会外の可能性があります。
もう3つ、知っておいてください。
3. 使われる場面は限られています。
| 場面 | 中身 |
|---|---|
| 自社株買い | 会社が自分の株を買い戻す |
| TOBの決済 | 公開買付けに応じた株の受け渡し |
| バスケット取引 | 多数の銘柄をまとめて売買する |
| 大株主の売却 | 相手を決めて売る |
| 立会外分売 | 大株主の持ち株を、割引で一般に売り出す |
最後の立会外分売は、個人が直接申し込める数少ない場面です。別のページで扱っています。
4. 個人が使うことは、ほとんどありません。
ToSTNeTでの売買は、証券会社を通じて、一定の条件のもとで行われます。 個人がふだん出す注文は、すべて立会取引です。
知っていれば十分で、使う機会はまずありません。
5. 時間外でも値段の制限はあります。
立会外だからといって、どんな値段でもよいわけではありません。 前日終値や当日の値段を基準にした範囲が定められています。
極端に安い値段で特定の相手に売る、といったことはできない仕組みになっています。
そのうえで、投資家として見るべき点を書いておきます。
出来高だけが跳ねて株価が動かない日は、適時開示を見てください。
立会外での大口の売買は、適時開示で公表されます。
| 確かめること | 見る場所 |
|---|---|
| 自社株買いの実施状況 | 適時開示(月次で報告される) |
| 大株主の異動 | 適時開示 |
| TOBの進み方 | 適時開示 |
株価が動かなかったからといって、何も起きていないとはかぎりません。 板の外で、持ち主が入れ替わっていることがあります。
関連する言葉
- 立会外分売 取引時間外に、大株主の持ち株を割引で売り出すこと。割引には理由がある。
- 自社株買い 会社が自分の会社の株を市場から買い戻すこと。1株あたりの価値が高まる。
- TOB(株式公開買付け) 買い手が「この価格で買います」と公表して株を買い集めること。市場価格より高い値段がつくことが多い。
- 板(いた) 買いたい人と売りたい人の注文が、値段ごとに並んでいる一覧表のこと。
- 売買代金 その日に売買された金額。出来高は株数なので、別のものを数えている。
- 最終更新
- 2026-09-18