立会外分売
取引時間外に、大株主の持ち株を割引で売り出すこと。割引には理由がある。
ひとことで言うと
大株主が持っている株を、取引時間外に少し安く売り出すことです。
もう少しくわしく
立会とは、取引所で通常の売買が行われる時間のことです。その外で行われるので、立会外分売といいます。
多くの場合、前日の終値より数%安い値段で売り出されます。買う側から見れば、その時点の株価より安く買えることになります。
なぜ会社や大株主はこんなことをするのか。理由は主に3つです。
| 目的 | 中身 |
|---|---|
| 株主を増やす | 上場を維持する基準に株主数がある |
| 売買を活発にする | 持ち株が偏っていると売買が細る |
| 大株主が売りたい | 市場で売ると株価を大きく下げてしまう |
3つ目が大事です。
大株主が100万株を市場で売れば、株価は大きく下がります。 板に大量の売り注文が出れば、値段はどんどん下がっていきます。
分売なら、決まった値段で、多くの人に少しずつ渡せます。市場を混乱させずに売れるわけです。
実際の数字で見る
前日終値1,000円の銘柄が、3%割引の970円で分売されたとします。
| 金額 | |
|---|---|
| 前日終値 | 1,000円 |
| 分売価格 | 970円 |
| 100株での差額 | 3,000円 |
買った瞬間に3,000円分の含み益があるように見えます。
さらに、多くの場合は手数料がかかりません。 分売の申込には売買手数料が不要とされていることが一般的です(証券会社により異なります)。
これだけ見ると、良いことばかりに見えます。しかし、そうではありません。
申込には抽選があります。人気の銘柄では、申し込んでも買えません。
そして、もっと大事なことがあります。
分売の翌日以降、株価が下がることがあります。
理由は単純です。市場に出回る株が増えるためです。
| 株の数 | |
|---|---|
| 分売前 | 市場で売買される株が少ない |
| 分売後 | 増える |
売られる株が増えれば、需給は悪くなります。 3%の割引は、その埋め合わせという見方もできます。
ここに注意
「割引だから得」という理由だけで申し込まないでください。
確かめるべきことが3つあります。
1. 分売される株数が、普段の出来高に対してどれくらいか。
| 分売株数 ÷ 1日の平均出来高 | 見方 |
|---|---|
| 0.5日分以下 | 消化しやすい |
| 1〜2日分 | 頭に入れておく |
| 5日分以上 | 需給への影響が大きい |
1日の出来高が10万株の銘柄に、50万株の分売が来れば、5日分の売り物が一度に増えます。3%の割引では足りないかもしれません。
2. なぜ今、売り出すのか。
適時開示に目的が書かれています。
| 書かれている目的 | 読み方 |
|---|---|
| 株主数の増加、流動性の向上 | 前向きな理由 |
| 大株主の保有株の売却 | その株主は売りたがっている |
後者の場合、その大株主が今後も売り続ける可能性を考えてください。
3. その会社を持ちたいと思っているか。
これが最も大事です。
3%安く買えても、その会社の株を持ちたい理由がなければ、すぐ売ることになります。売れば手数料と税金がかかり、3%はほとんど残りません。
そして、すぐ売る人が多いほど、分売の翌日は下がりやすくなります。 同じことを考えている人が大勢いるためです。
使いどころをまとめます。
もともと買いたかった銘柄に分売が来たなら、少し安く買える機会です。
分売が来たから買いたくなった、という順番なら、見送るほうが安全です。
なお、分売で買った株は通常の株とまったく同じです。売却の制限もありません。配当も優待も同じように受けられます。
関連する言葉
- 増資 会社が新しく株を発行してお金を集めること。1株あたりの価値が薄まるため、株価が下がりやすい。
- IPO(新規公開株) 会社が初めて株式市場に上場し、誰でも株を買えるようになること。
- 出来高(できだか) その日に売買が成立した株数。関心の大きさを表し、株価の動きの信頼度を測る材料になる。
- 流動性 売りたいときに売れるかどうかの度合い。低い銘柄は、自分の注文で株価が動いてしまう。
- プライム・スタンダード・グロース 東京証券取引所の3つの市場区分。会社の規模と成熟度で分かれており、リスクの性格が違う。
- 最終更新
- 2026-09-17