天井売らず底買わず
天井と底は当てられないから狙うなという教え。頭と尻尾はくれてやれと同じ考え方。
ひとことで言うと
いちばん高いところで売ろうとせず、いちばん安いところで買おうとするなという教えです。
もう少しくわしく
天井は最高値、底は最安値です。
誰もが、天井で売って底で買いたいと思います。この格言は、それをやめろと言っています。
理由は単純です。
天井と底は、後になってからしか分かりません。
いま株価が下げているとき、それが底かどうかは誰にも分かりません。 さらに下げれば、そこは底ではなかったということになります。
底だと分かるのは、そこから上がった後です。
同じことが天井にも言えます。天井三日、底百日という別の格言が示すとおり、天井にいる期間は特に短いものです。
そして、狙うことの代償があります。
| 狙うこと | 起きること |
|---|---|
| 底で買おうとする | 下げ続ける株を買う(落ちてくるナイフ) |
| 天井で売ろうとする | 売りそびれて下げに巻き込まれる |
当てにいくほど、外したときの損が大きくなります。
実際の数字で見る
頭と尻尾はくれてやれという格言が、同じことを別の角度から言っています。
株価が1,000円から2,000円まで上げたとします。
| やり方 | 買値 | 売値 | 取れる幅 |
|---|---|---|---|
| 底と天井を当てる | 1,000円 | 2,000円 | +100% |
| 胴体だけ取る | 1,200円 | 1,800円 | +50% |
当てられれば100%、真ん中だけなら50%です。半分しか取れません。
しかし、当てようとして外した場合を見てください。
| 外し方 | 結果 |
|---|---|
| 底だと思って1,100円で買ったが、800円まで下げた | −27%を抱える |
| 天井だと思わず持ち続け、1,300円まで戻された | 利益が3分の1に |
当てにいって外すと、真ん中を取るより悪くなります。
そして、確率の問題があります。
| 成功する確率 | |
|---|---|
| 1日を当てる(天井・底) | 極めて低い |
| 上げている期間のどこかで買う | 高い |
上げ幅の真ん中50%を取るのは、難しくありません。 上げている間のどこかで買って、上げが鈍ったら売ればよいのです。
ここに注意
「狙わない」と「何も決めない」は違います。
この格言を「適当でよい」と読むと、別の失敗をします。
天井と底は当てられませんが、自分の売買する水準は決められます。
| 決められないこと | 決められること |
|---|---|
| 株価がどこまで上がるか | いくらになったら売るか |
| 株価がどこまで下がるか | いくらまでなら払うか |
| どこが天井・底か | どこで見切るか |
当てるのをやめて、決めるのに切り替える。 それがこの格言の実行の形です。
もう3つ、実際的なことを書きます。
1. 分けて売買してください。
分割売買の考え方です。一度に全部売れば、その値段が天井かどうかに結果が左右されます。
3回に分けて売れば、平均の値段になります。 天井は取れませんが、大きく外すこともありません。
2. 下げ止まりを確認してから買ってください。
底を当てるのではなく、底を打った後に買うことはできます。安くは買えませんが、下げ続ける株をつかむ危険は減ります。
ダブルボトムや逆三尊が語られるのは、この確認のためです。ただし、それらも後から名前がつく形であることは忘れないでください。
3. 上げの途中で売った後を見ないでください。
1,800円で売った後に2,000円になると、「もっと持っていればよかった」と感じます。
しかし、2,000円で売れた保証はありません。 1,500円まで下げていた可能性も同じだけあります。
結果を知った後の後悔は、判断の評価には使えません。 これが後知恵です。
そして、この格言のいちばん大事な点を書きます。
全部取ろうとすると、何も取れなくなります。
天井と底を当てようとする人は、判断が遅れます。 「まだ上がるかもしれない」「もっと下がるかもしれない」と考え続けて、結局動けません。
7割取れればよい、と決めておく。 そのほうが、実際に手にする額は大きくなります。
関連する言葉
- 頭と尻尾はくれてやれ 最安値と最高値を狙わず、真ん中だけ取れば十分という戒め。欲張ると両方逃す。
- 天井三日、底百日 天井は短く、底は長く続くという格言。売る機会は短く、買う機会は長い。
- 落ちてくるナイフ 急落中の株を買うことへの戒め。床に落ちて止まるまで拾うな、という言い方。
- 押し目待ちに押し目なし 下がったら買おうと待っているうちに、一度も下がらず上がっていくこと。待つことも損になる。
- 利確(利益確定) 含み益が出ている株を売って、利益を現実のものにすること。売るまで利益は存在しない。
- 最終更新
- 2026-09-18