天井三日、底百日
天井は短く、底は長く続くという格言。売る機会は短く、買う機会は長い。
ひとことで言うと
天井にいる期間は短く、底にいる期間は長いという格言です。
もう少しくわしく
上げ相場の頂点は、あっという間に過ぎます。 一方、底を這う期間は何か月も続きます。
なぜそうなるのか。人の感情の違いによります。
| 天井 | 底 | |
|---|---|---|
| 支配する感情 | 強欲・熱狂 | 恐怖・諦め |
| 感情の性質 | 短く激しい | 長く続く |
| 参加者 | 殺到する | いなくなる |
熱狂は長続きしません。全員が買ってしまえば、買う人がいなくなります。
一方、恐怖と諦めは長引きます。一度損をした人は、しばらく戻ってきません。 その間、株価は動かないまま低い水準にとどまります。
実際の数字で見る
この格言が投資家に与える意味は、売りと買いで難易度が違うということです。
| 天井で売る | 底で買う | |
|---|---|---|
| 機会の長さ | 数日 | 数か月 |
| 難易度 | 極めて高い | 比較的低い |
| 外したとき | 大きく下げる | さらに待てばよい |
天井を狙って売ろうとすれば、ほぼ確実に外します。 数日しかない期間を当てる必要があるためです。
底で買う場合は違います。数か月あるので、多少ずれても大きな差にはなりません。
上の図の値をそのまま使います。図の全体はおよそ1年ぶんです。
底のまわりでは、株価は上下しながら約6か月ものあいだ、狭い範囲を行き来しています。
| 値段 | |
|---|---|
| いちばん安かった日 | 77円 |
| いちばん高かった日 | 88円 |
| この6か月の値幅 | 14% |
この6か月のどこで買っても、最安値との差は14%以内です。底を当てる必要がありません。
天井はこうなりません。同じ図の天井は172円でした。
| 売った時期 | 売値 | 天井との差 |
|---|---|---|
| 天井のちょうど | 172円 | — |
| 1日ずれる | 168円 | -2% |
| 2日ずれる | 148円 | -14% |
| 3日ずれる | 128円 | -26% |
6か月かけてもせいぜい14%しか変わらない買いと、3日ずれただけで26%変わる売り。 これが「天井三日、底百日」の中身です。
なお、底の6か月のあいだ、株価は何度も下げ直しています。 77円で買えた人も、その後78円・79円・80円と戻る途中で、また77円を割るのではないかと何度も不安になります。値幅が小さいことと、待つのが楽なことは、別の話です。
ここに注意
「底は長い」ということは、買った後も長く動かないということです。
ここが最も重要な点です。
底で買えたとしても、そこから上がり始めるまで何か月も待つことになります。その間、次のことが起きます。
- 株価が動かない
- 他の銘柄が上がっているのを見る
- 「この株は間違いだったのでは」と思い始める
- 耐えられず売る
そして売った後に上がり始めます。底で買えたのに、上がる前に降りるという結果です。
対処は2つです。
1. 底で買うつもりなら、動かない期間を覚悟しておく。
「買ってすぐ上がる」を期待していると、必ず耐えられなくなります。半年から1年動かないことを前提に、金額を決めてください。
2. 株価ではなく、業績で判断する。
株価が動かなくても、業績が改善していれば、買った理由は崩れていません。 決算を確認すれば、待つべきかどうかが分かります。
そして、この格言には注意すべき読み方があります。
「底は長いから、まだ買える」と考えて、いつまでも買わない人がいます。
これは押し目待ちに押し目なしと同じ罠です。底が長いのは事実ですが、それがいつ終わるかは分かりません。
分けて買えば、この問題は減らせます。
最後に、この格言が示す現実を書いておきます。
上がるのに要する時間より、下げた後に待つ時間のほうが長いのが普通です。
日経平均がバブル後の高値を回復するまで34年かかりました。個別の銘柄でも、同じことは起こります。
だからこそ、買う金額は待てる範囲に抑えておく必要があります。
関連する言葉
- もうはまだなり、まだはもうなり 「もう底だ」と思ったときはまだ下がり、「まだ下がる」と思ったときには底を打っている。
- 二番底 一度下げ止まった後、もう一度下げること。最初の反発を底と見て買うと損をする。
- ヨコヨコ 上にも下にも動かず横ばいが続く状態。損はしていないが、資金と時間は拘束されている。
- 閑散に売りなし 売買が細って値動きが乏しいときは、売り込んでも下がりにくいという古い格言。
- 最終更新
- 2026-09-18
- 訂正
- 2026-09-18 底のまわりの買値として「1か月後 78円」「3か月後 80円」と書いていましたが、この図の株価は上下しており、安い日だけを選んだ数字でした。底の期間の値幅(77円〜88円)で示す形に書き直しました。