ストックオプション
決められた値段で自社株を買える権利。行使されると株数が増え、1株の価値が薄まる。
ひとことで言うと
あらかじめ決めた値段で、自分の会社の株を買える権利のことです。
もう少しくわしく
会社が役員や社員に与える報酬の一種です。新株予約権の一形態にあたります。
仕組みはこうです。
- 「3年後から、1株1,000円で買える権利」を社員に与える
- 3年後、株価が2,500円になっていた
- 社員は1,000円で買って、2,500円で売れる → 1株1,500円の利益
株価が上がるほど、権利を持つ人の利益が増えます。そのため、
社員が株価を上げようとする動機になる。
これが導入される理由です。とくに現金の少ない成長企業が、給料の代わりに使うことがあります。
株価が権利行使価格を下回っていれば、権利を使わなければよいだけです。損はしません。
実際の数字で見る
投資家にとっての影響は、株数が増えることです。
| 発行前 | 行使後 | |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 100億円 | 100億円 |
| 発行済株式数 | 1億株 | 1億500万株 |
| EPS | 100円 | 約95.2円 |
利益は変わっていないのに、1株あたりの利益が4.8%減りました。
これは増資と同じ希薄化です。しかも、
- 会社に入る資金は権利行使価格の分だけ(時価より安い)
- 株価が上がった後に行使されるため、影響が出るのは好調な時期
という性質があります。
ここに注意
発行済みのストックオプションの量は、有価証券報告書で確認できます。
「新株予約権等の状況」という項目に、次が載っています。
- 権利の数(何株分か)
- 行使価格
- 行使できる期間
確認すべきは、発行済株式数に対する割合です。
| 割合 | 見方 |
|---|---|
| 1%未満 | 気にしなくてよい |
| 1〜3% | 一般的な範囲 |
| 5%超 | 希薄化の影響が大きい |
| 10%超 | 要注意 |
もう2つ、注意すべき点があります。
1. 潜在株式を含めたEPSを見る。
決算短信には「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」という項目があります。これはストックオプションがすべて行使された前提のEPSです。
通常のEPSと大きく違う場合、希薄化の余地が大きいということです。
2. 「1円ストックオプション」という形がある。
行使価格を1円に設定したものです。実質的には株そのものを渡しているのと変わりません。
退職金の代わりに使われることもありますが、株価がいくらであっても利益になるため、株価を上げる動機にはなりません。制度の趣旨とずれた使い方です。
最後に、投資家としての見方を書いておきます。
ストックオプションがあること自体は、悪いことではありません。
経営陣と株主の利害が一致するなら、むしろ望ましい面があります。問題なのは、量が多すぎる場合と、株価と関係なく利益が出る設計の場合です。
そして注意すべき組み合わせがあります。
業績は横ばいなのに、ストックオプションを大量に発行している。
この場合、株主の持ち分が薄まるだけで、何も生まれていません。発行の目的が有価証券報告書に書かれているので、確認してください。
関連する言葉
- 増資 会社が新しく株を発行してお金を集めること。1株あたりの価値が薄まるため、株価が下がりやすい。
- 自己株式(金庫株) 会社が買い戻して保有している自社の株。EPSやROEの計算から除かれる。
- EPS(1株あたり利益) 会社の利益を株の数で割った数字。株1つが1年でいくら稼いだかを表す。
- 成長株(グロース株) 売上と利益が伸び続けている会社の株。期待が高いぶん、失速したときの下げも大きい。
- 最終更新
- 2026-09-16