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株を学ぶ / 制度・仕組み

増資

会社が新しく株を発行してお金を集めること。1株あたりの価値が薄まるため、株価が下がりやすい。

ひとことで言うと

会社が新しい株を作って売り、お金を集めることです。株主にとっては、持ち分が薄まります。

もう少しくわしく

4人で割り勘していたピザに、5人目が加わったとします。1人あたりの取り分は5分の1に減ります。

増資はこれと同じです。会社が新しい株を発行すると、発行済みの株数が増えます。 会社の利益は変わらないのに株数だけ増えるので、1株あたりの利益(EPS)は減ります。

これを希薄化(きはくか)と呼びます。ダイリューションとも言います。

会社がお金を集める方法は2つあります。

方法 返済 利息 株主への影響
借金(社債・銀行融資) 必要 かかる 影響なし
増資 不要 なし 持ち分が薄まる

会社にとって増資は「返さなくていいお金」なので魅力的です。しかしそのつけは既存の株主が払っています。

実際の数字で見る

発行済み株数1,000万株、当期純利益10億円の会社があるとします。

EPS(1株あたり利益)は、10億円 ÷ 1,000万株 = 100円です。

ここで200万株の増資を行いました。利益は変わらないものとします。

  • 増資後の株数 … 1,200万株
  • 増資後のEPS … 10億円 ÷ 1,200万株 = 約83円

1株の持つ価値が、17%減ったことになります。株価がEPSの15倍で取引されていたなら、理論上は1,500円から1,250円へ下がる計算です。

増資の発表で株価が下がるのは、この計算が働くためです。

ここに注意

増資には「良い増資」と「悪い増資」があります。見分ける鍵は、集めたお金の使い道です。

良い増資は、集めた資金で利益を増やす増資です。新工場を建てる、有望な会社を買収する、研究開発に投じる。希薄化で一時的にEPSが下がっても、数年後に利益そのものが増えれば取り返せます。

悪い増資は、穴埋めの増資です。借金の返済に充てる、赤字を埋める。この場合、利益は増えないまま株数だけが増えます。 希薄化が戻ることはありません。

見分けるには、適時開示で発表される資料の「資金使途」の欄を読んでください。ここに使い道が具体的に書かれています。

もう一つ、警戒すべき形があります。MSワラントやMSCBと呼ばれる仕組みです。

これは「株価が下がるほど、より多くの株を発行できる」契約です。引き受けた業者は、株を受け取っては売り、下がったところでまた受け取る、という動きを繰り返せます。株価が下がり続ける構造になっており、既存株主にとっては極めて不利です。

資金調達の発表に「行使価額修正条項付」という文字があれば、これに当たります。内容を確認せずに持ち続けるのは危険です。

関連する言葉

  • EPS(1株あたり利益) 会社の利益を株の数で割った数字。株1つが1年でいくら稼いだかを表す。
  • 株式分割 1株を複数に分けて株数を増やすこと。株価は下がるが、持っている価値の合計は変わらない。
  • 自社株買い 会社が自分の会社の株を市場から買い戻すこと。1株あたりの価値が高まる。
  • PER(株価収益率) 会社が1年で稼ぐ利益に対して、株価が何倍かを示す数字。低いほど割安とされる。
最終更新
2026-09-16