シャープレシオ
上下の大きさに対して、どれだけ増えたかの割合。同じ平均でも増え方は違う。
ひとことで言うと
値動きの荒さに対して、どれだけ増えたかを測る数字です。大きいほど効率がよいとされます。
もう少しくわしく
「5年で50%増えた」と言われても、それだけでは良し悪しが分かりません。
途中で何度も半分になりながら50%増えたのか、静かに50%増えたのかで、まったく違う商品だからです。
そこで、増えた分を、上下の大きさで割ります。
シャープレシオ =(平均リターン − 無リスク金利)÷ リターンの標準偏差
3つの言葉を確かめます。
| 言葉 | 中身 |
|---|---|
| 平均リターン | 年ごとの増減の平均 |
| 無リスク金利 | ほぼ確実に得られる利回り(国債など) |
| 標準偏差 | 年ごとのばらつきの大きさ |
なぜ無リスク金利を引くのか。何もしなくても得られる分は、腕前ではないからです。引いた残りが、危なさを引き受けた見返りになります。
投資信託の目論見書や運用報告書に載っていることがあります。
実際の数字で見る
2つの商品の、5年間の年次リターンを並べます。
| 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
|---|---|---|---|---|---|
| A | +12% | +4% | +10% | +2% | +12% |
| B | +30% | −15% | +25% | −10% | +10% |
まず平均を出します。
| 合計 | 平均 | |
|---|---|---|
| A | 40% | 8.0% |
| B | 40% | 8.0% |
平均は同じ8.0%です。
次に標準偏差を出します。無リスク金利は1.0%とします。
| 標準偏差 | シャープレシオ | |
|---|---|---|
| A | 4.69% | (8.0 − 1.0)÷ 4.69 = 1.49 |
| B | 20.19% | (8.0 − 1.0)÷ 20.19 = 0.35 |
4倍以上の差がつきました。平均が同じでも、Aのほうがはるかに効率よく増やしています。
そして、もっと大事なことがあります。
100万円を入れた場合の、5年後の実際の金額を計算します。
| 計算 | 5年後 | |
|---|---|---|
| A | 1.12×1.04×1.10×1.02×1.12 | 1,463,734円(+46.4%) |
| B | 1.30×0.85×1.25×0.90×1.10 | 1,367,438円(+36.7%) |
平均リターンは同じ8.0%なのに、5年後の金額が約9.6万円違います。
なぜこうなるのか。下げた分を取り戻すには、下げた率より大きく上げる必要があるからです。
| 必要な上昇 | |
|---|---|
| −10%を取り戻す | +11.1% |
| −15%を取り戻す | +17.6% |
上下が大きいほど、この差が効いてきます。平均は同じでも、実際に増える額は減ります。
ここに注意
過去の成績から計算した数字です。これからの保証ではありません。
シャープレシオは、過去のリターンとばらつきから計算します。将来も同じとはかぎりません。
そして、この数字にはいくつも落とし穴があります。
1. 上げの大きさも「危なさ」として数えられます。
標準偏差は、上げも下げも同じようにばらつきとして数えます。
大きく上げた年があるだけで、シャープレシオは下がります。 投資家にとって上げは困らないはずですが、この数字では区別されません。
下げだけを数えるソルティノレシオという別の指標もあります。
2. 期間を選べば、良い数字を作れます。
計算する期間を変えれば、値は変わります。成績の良かった期間だけを切り取れば、高い数字が出せます。
商品の宣伝でシャープレシオを見たときは、いつからいつまでの数字かを必ず確かめてください。
3. 商品どうしを比べるときだけ意味があります。
「シャープレシオ1.49」という数字そのものに、良し悪しの基準はありません。
同じ期間・同じ計算方法で、別の商品と比べて初めて意味を持ちます。 違う期間で計算された数字を並べても、比べたことになりません。
4. 個別株では、あまり使われません。
この数字は、もともと運用商品を比べるために使われます。個別株1銘柄について計算しても、使い道が限られます。
個人が使う場面は、投資信託やETFを選ぶときがほとんどです。
そのうえで、実際の選び方を書いておきます。
シャープレシオより先に、信託報酬を見てください。
シャープレシオは過去の数字で、変わります。信託報酬は、これからずっと確実にかかる費用です。
| 見るもの | 性質 |
|---|---|
| 信託報酬 | これから確実にかかる。決まっている |
| シャープレシオ | 過去の結果。変わる |
確実なものから先に見るほうが、順番として正しいのです。
そのうえで、同じ指数に連動する商品どうしを比べるなら、費用がほぼ同じになります。 そこで初めて、成績の効率を見る意味が出てきます。
| 比べる相手 | 先に見るもの |
|---|---|
| 違う指数の商品 | どの指数か。次に信託報酬 |
| 同じ指数の商品 | 信託報酬。次に指数との差 |
| 運用者が選ぶ商品(アクティブ運用) | 信託報酬。次にシャープレシオ |
関連する言葉
- 最終更新
- 2026-09-18