アクティブ運用
運用者が銘柄を選んで指数を超えようとする運用。費用の分だけ先に負けている。
ひとことで言うと
運用の専門家が銘柄を選んで、市場の平均を上回ろうとする運用のことです。
もう少しくわしく
投資信託の運用は、大きく2つに分かれます。
| 種類 | やること |
|---|---|
| インデックス運用(パッシブ運用) | 指数と同じ中身を持つ。平均を取りにいく |
| アクティブ運用 | 運用者が銘柄を選ぶ。平均を超えようとする |
インデックス運用は、TOPIXと同じ構成で株を持つような運用です。考える余地がほとんどなく、指数に合わせるだけです。
アクティブ運用は違います。「この会社は伸びる」と判断した銘柄を多めに持ちます。
一見、専門家が選ぶぶんアクティブ運用のほうが良さそうに見えます。しかし、構造的な不利があります。
実際の数字で見る
費用の差を見ます。
| 信託報酬(年) | |
|---|---|
| インデックス投資信託 | 0.1〜0.2%程度のものがある |
| アクティブ投資信託 | 1.0〜1.8%程度のものが多い |
差を1.3%とします。100万円を20年持った場合を計算します。運用の成績はどちらも年5%だったとします。
| 計算 | 20年後 | |
|---|---|---|
| 費用0.2% | 100万円 ×(1.048)^20 | 約255.4万円 |
| 費用1.5% | 100万円 ×(1.035)^20 | 約199.0万円 |
| 差 | — | 約56.4万円 |
同じ成績でも、20年で56万円ほど違います。
つまりアクティブ運用は、毎年1.3%ぶん先に負けた状態から始まります。 平均を上回るだけでは足りず、費用のぶんも上回って初めて、投資家の手取りが並びます。
もう1つ、構造の話があります。
市場全体の値動きは、そこに参加している全員の成績の合計です。手数料を無視すれば、市場に参加している人の平均は、必ず市場平均になります。
| 事実 | 結果 |
|---|---|
| 参加者の平均=市場平均 | 半分は平均を下回る |
| 費用を引く | 平均を下回る側がさらに増える |
これは、運用者の腕前とは関係のない算数の話です。
ここに注意
アクティブ運用がすべて悪い、ということではありません。
実際に指数を上回り続けている商品は存在します。問題は、それを事前に見分けられるかです。
見分けるのが難しい理由を3つ書きます。
1. 過去の成績は、将来を保証しません。
「過去5年で指数を上回った」商品が、次の5年も上回るとはかぎりません。
そして成績の良かった商品ほど宣伝されます。 悪かった商品は、静かに運用をやめる(償還)ことがあります。
その結果、いま並んでいる商品を見ると、アクティブ運用が優秀に見えるということが起こります。消えた商品が数に入っていないためです。
2. 運が実力に見えます。
5年連続で指数を上回る運用者は、偶然でも一定数出ます。 コインを5回投げて5回表が出る人が、投げる人が多ければ必ずいるのと同じです。
運と実力を、成績だけから見分けることはできません。
3. 運用者が替わります。
優秀な運用者がいても、その人が担当を外れれば、中身は変わります。 商品の名前は変わらないのに、運用する人が変わることがあります。
運用報告書で、運用体制の変更が書かれていないかを確かめてください。
もう2つ、知っておいてください。
4. 中身がインデックスとほとんど同じ商品があります。
「アクティブ運用」と名乗りながら、保有銘柄が指数とほとんど変わらない商品があります。
この場合、指数と同じ値動きをしながら、アクティブ運用の費用を払うことになります。最も不利な組み合わせです。
運用報告書の組入上位銘柄を、指数の上位構成銘柄と見比べれば分かります。
5. インデックス運用にも選ぶ余地があります。
「インデックスなら何でも同じ」ではありません。
| 確かめること | なぜ |
|---|---|
| どの指数に連動するか | 日本株か、世界株か、範囲が違う |
| 信託報酬 | 同じ指数でも商品で違う |
| 指数との差(乖離) | うまく連動できているか |
| 純資産総額 | 小さすぎると償還される可能性 |
そのうえで、選び方の順番を書いておきます。
アクティブ運用を買うなら、「指数を上回ってほしい理由」を説明できるかを試してください。
「専門家が選ぶから」は理由になりません。専門家どうしが売り買いした結果が、市場平均だからです。
理由になりうるのは、たとえば次のようなものです。
| 理由 | 成立しうるか |
|---|---|
| 指数に含まれない対象に投資している | 成立する(小型株、特定の分野など) |
| 指数そのものが自分の考えと合わない | 成立する |
| 過去の成績が良かった | 成立しない |
| 人に勧められた | 成立しない |
中身が説明できないなら、費用の低いインデックス運用のほうが確実です。 確実なのは成績ではなく、払う費用が少ないことです。
関連する言葉
- インデックス投資 市場全体を表す指数に連動させる運用。個別銘柄を選ばず、市場の平均を取りにいく。
- 投資信託 多くの人から集めた資金をまとめて運用する商品。少額で分散できるが、持っている間ずっと費用がかかる。
- 信託報酬 投資信託を持っている間、毎日引かれ続ける費用。払った実感がないまま積み上がる。
- ETF(上場投資信託) 取引所で株と同じように売買できる投資信託。費用が安く、値段がその場で決まる。
- シャープレシオ 上下の大きさに対して、どれだけ増えたかの割合。同じ平均でも増え方は違う。
- 最終更新
- 2026-09-18