PSR(株価売上高倍率)
時価総額が売上高の何倍かを示す指標。赤字でも計算できるが、利益を見ていない。
ひとことで言うと
会社の値段が、1年の売上高の何倍になっているかを示す数字です。
もう少しくわしく
PSRは Price to Sales Ratio の略。日本語では株価売上高倍率です。
PSR = 時価総額 ÷ 年間の売上高
PERとの違いは、分母が利益ではなく売上高であることです。
| 指標 | 分母 | 赤字の会社で |
|---|---|---|
| PER | 当期純利益 | 計算できない |
| PSR | 売上高 | 計算できる |
ここがPSRの存在理由です。赤字でも計算できます。
成長途上の会社は、売上を伸ばすために先行投資をして赤字になることがあります。そうした会社をPERで測ることはできません。PSRなら測れます。
目安として語られる水準は次のとおりです。
| PSR | 見方 |
|---|---|
| 0.5倍未満 | 割安とされることが多い |
| 1〜3倍 | 一般的 |
| 10倍以上 | 高い期待が織り込まれている |
| 20倍以上 | 極めて高い |
実際の数字で見る
赤字の成長企業を、PERとPSRで見比べます。
| 金額 | |
|---|---|
| 時価総額 | 900億円 |
| 年間の売上高 | 180億円 |
| 当期純利益 | -25億円(赤字) |
| PER | 計算できない |
| PSR | 5.0倍 |
PERの欄は空欄になります。当サイトでも空欄で表示されます。
PSRなら5.0倍と出ます。「売上の5年分の値段がついている」という意味です。
ここで重要なのは、5.0倍が高いか安いかを、この数字だけでは判断できないということです。
ここに注意
PSRの最大の弱点は、利益をまったく見ていないことです。
売上高は、赤字で売っても増えます。 原価100円のものを80円で売れば、売上は増えて赤字も増えます。
つまりPSRは、その売上が儲かる売上かどうかを区別しません。
判断するには、粗利率とあわせて見る必要があります。
| E社 | F社 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 180億円 | 180億円 |
| 粗利率 | 82% | 18% |
| PSR | 5.0倍 | 5.0倍 |
同じPSR5.0倍でも、意味はまったく違います。E社は売上の82%が粗利として残るため、規模が大きくなれば利益が出ます。 F社は18%しか残らないため、同じ道は辿れません。
粗利率を見ずにPSRだけを見るのは危険です。
もう一つ、重要な注意があります。
PSRが使われるのは、PERが使えないときです。つまり、赤字の会社を評価するための道具です。
これは裏を返せば、利益が出ていない会社に投資しようとしているということです。その判断は、次の前提に立っています。
この会社は、将来利益を出せるようになる。
その前提が外れれば、PSRが何倍だろうと関係ありません。
そして注意すべきことがあります。成長が鈍った瞬間、PSRは急激に下がります。
PSR10倍で評価されていた会社の成長が止まると、市場が許容するPSRは3倍程度まで落ちます。売上が変わらなくても、株価は3分の1になります。 成長株の株価が急落するのは、この仕組みによります。
当サイトはPSRを分析に使っていません。理由は2つです。
- 利益を見ていない指標で銘柄を並べることに、当サイトの目的と合わない
- 赤字企業の将来性は、財務データだけでは検証できない
判断材料として使うこと自体を否定はしませんが、粗利率と成長率を必ずあわせて見てください。
この数字を、実際の上場企業で見る
いま決算の数字がそろっている上場企業3,603社で見ると、PSRの真ん中(中央値)は0.8倍です。
半分の会社が0.4倍から1.7倍のあいだに入っています。
極端に大きい・小さい値の会社(上下5%ずつ、計362社)は、図が読めなくなるため図からは外しています。上の中央値や範囲には含めています。
業種によって「ふつう」が違う
PSRの中央値が高い業種と低い業種です(PSRが出ている会社が10社以上ある業種のみ)。 同じ数字でも、業種によって高い・低いの意味が変わります。
| 業種 | 中央値 | 社数 |
|---|---|---|
| 医薬品 | 2.6 倍 | 66社 |
| 証券・商品先物取引業 | 2.4 倍 | 37社 |
| 銀行業 | 2.3 倍 | 79社 |
| ⋮ | ||
| 卸売業 | 0.4 倍 | 272社 |
| パルプ・紙 | 0.4 倍 | 22社 |
| 輸送用機器 | 0.4 倍 | 80社 |
よく知られた会社は、どのあたりにいるか
時価総額の大きい順に5社。業績の良し悪しで選んだものではありません。
| 会社 | PSR | 全体の中での位置 |
|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 0.9 倍 | 上位47% |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 2.8 倍 | 上位12% |
| リクルートホールディングス | 7.6 倍 | 上位3% |
| ソフトバンクグループ | 3.3 倍 | 上位10% |
| アドバンテスト | 22.6 倍 | 上位1% |
関連する言葉
- PER(株価収益率) 会社が1年で稼ぐ利益に対して、株価が何倍かを示す数字。低いほど割安とされる。
- PBR(株価純資産倍率) 会社が持っている正味の財産に対して、株価が何倍かを示す数字。1倍割れは割安とされる。
- 成長株(グロース株) 売上と利益が伸び続けている会社の株。期待が高いぶん、失速したときの下げも大きい。
- 時価総額 株価に発行済みの株数をかけた金額。その会社全体を今の値段で買うときの総額。
- 最終更新
- 2026-09-16