年間取引報告書
1年分の損益と税額をまとめた書類。確定申告のとき、これ1枚で済む。
ひとことで言うと
証券会社が作ってくれる、1年分の売買と税金のまとめです。
もう少しくわしく
正式には特定口座年間取引報告書といいます。特定口座を持っていれば、翌年の1月中旬から下旬ごろに交付されます。
近年は電子交付が主流です。郵送ではなく、証券会社のサイトで見る形になっています。
「届かない」のではなく、サイトにあることが多いので、確認してください。
何が書かれているか。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 譲渡の対価の額 | 売った金額の合計 |
| 取得費及び譲渡に要した費用 | 買った金額と手数料 |
| 差引金額(譲渡所得等の金額) | 1年分の損益 |
| 源泉徴収税額 | すでに引かれた税 |
| 配当等の額 | 受け取った配当 |
この1枚に、確定申告に必要な数字がすべて載っています。
自分で1件ずつ計算する必要はありません。一般口座だとこれがないため、自分で計算することになります。
実際の数字で見る
どういうときに使うかを整理します。
1. 損失が出た年
| 金額 | |
|---|---|
| 1年分の損益 | −40万円 |
この年は税金がかかりません。しかし確定申告をすると、この損失を3年間繰り越せます(繰越控除)。
翌年に50万円の利益が出たら、40万円を差し引いて10万円分にだけ課税されます。
| 申告した場合 | しなかった場合 | |
|---|---|---|
| 翌年の課税対象 | 10万円 | 50万円 |
| 税額 | 約20,315円 | 約101,575円 |
差は約8万円です。申告の手間に見合います。
ただし、損失を繰り越し続けるには、利益が出ていない年も毎年申告が必要です。1年でも忘れると、そこで切れます。
2. 複数の証券会社を使っている年
| 損益 | 引かれた税 | |
|---|---|---|
| A証券 | +30万円 | 約60,945円 |
| B証券 | −20万円 | 0円 |
| 合計 | +10万円 |
A証券では30万円に対して課税されています。しかし合わせれば利益は10万円です。
確定申告で損益通算すれば、10万円分の税(約20,315円)で済み、約4万円が戻ります。
3. 配当を申告するとき
配当控除や外国税額控除を使うときにも、この書類の数字を使います。
ここに注意
源泉徴収ありの特定口座でも、申告したほうがよい年があります。
「源泉徴収あり=申告不要」と覚えている方が多いのですが、正確には「申告しなくてもよい」です。したほうが得な年があります。
| こういう年 | 申告すると |
|---|---|
| 損失が出た | 3年間繰り越せる |
| 複数の証券会社で損益がばらついた | 通算して戻る |
| 前年から損失を繰り越している | 今年の利益と相殺できる |
逆に、申告しないほうがよい場合もあります。
| こういう方 | 注意 |
|---|---|
| 扶養に入っている | 申告すると合計所得金額が増え、扶養から外れることがある |
| 国民健康保険の方 | 保険料が上がることがある |
源泉徴収あり・なしの選び方の記事にも書いたとおりです。戻る税額と、増える負担を比べてください。
もう3つ、実際的な注意があります。
1. 電子交付だと気づきにくいものです。
郵送を選んでいなければ、サイトにログインしないと見られません。 1月から2月にかけて、一度確認する習慣をつけてください。
2. 確定申告では添付が不要なことがあります。
かつては原本の添付が必要でしたが、現在は記載内容を入力すれば添付を省略できる扱いになっています。ただし内容は保管しておいてください。
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、この書類の数字を入力する画面が用意されています。
3. NISA口座の分は載りません。
NISAは非課税なので、年間取引報告書には含まれません。 別に「NISA口座の年間取引報告書」が交付される場合がありますが、申告には使いません。
最後に、いちばん実用的なことを書いておきます。
損をした年こそ、この書類を開いてください。
利益が出た年は、源泉徴収ありなら何もしなくて構いません。損をした年に何もしないのが、いちばんもったいないのです。
損失は3年間使えます。申告しなければ、その権利は消えます。
なお、税の扱いはその人の状況によって変わります。判断に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。 このサイトは情報を提供するものであって、税務の助言をするものではありません。
関連する言葉
- 特定口座 証券会社が税金の計算をしてくれる口座。源泉徴収ありを選べば、原則として確定申告が不要になる。
- 確定申告 1年分の所得と税金を自分で申告する手続き。株では、やったほうが得になる場合がある。
- 損益通算と繰越控除 利益と損失を相殺して税金を減らす仕組み。損失は3年間繰り越せるが、申告しないと消える。
- 源泉徴収あり・なしの選び方 特定口座の2つの方式。手間と、扶養や社会保険への影響が変わる。
- 配当控除 配当を総合課税で申告すると受けられる控除。所得が低いほど有利になる。
- 最終更新
- 2026-09-18