レバレッジ型・インバース型ETF
指数の値動きに倍率をかけた商品。上下を繰り返すと、どちらに賭けても目減りする。
ひとことで言うと
指数の動きを2倍にしたり、反対にしたりする商品です。
もう少しくわしく
ETFの一種で、次のような名前がついています。
| 呼び名 | 動き |
|---|---|
| レバレッジ型(ブル型) | 指数が1%上がると2%上がる |
| インバース型(ベア型) | 指数が1%上がると1%下がる |
| ダブルインバース型 | 指数が1%上がると2%下がる |
「日経平均レバレッジ」「日経ダブルインバース」といった名前で上場しています。普通の株と同じように売買できます。
一見、便利に見えます。
- 相場が上がると思えばレバレッジ型
- 下がると思えばインバース型
- 信用取引を使わずに、下げでも利益を狙える
しかし、決定的な性質があります。
倍率がかかるのは、その日1日の値動きに対してです。
「1か月で指数が10%上がったら、2倍の20%上がる」わけではありません。 毎日の値動きに2倍をかけて積み重ねた結果になります。
この違いが、減価という現象を生みます。
実際の数字で見る
指数が+10%と−10%を交互に繰り返した場合を計算します。
まず、1往復だけ見ます。
| 計算 | 結果 | |
|---|---|---|
| 原指数 | 1.10 × 0.90 | 0.99(−1.0%) |
| 2倍レバレッジ | 1.20 × 0.80 | 0.96(−4.0%) |
原指数は−1.0%です。2倍なら−2.0%のはずですが、実際は−4.0%です。
これを20日続けます。
| 20日後 | |
|---|---|
| 原指数 | −9.6% |
| 2倍レバレッジ | −33.5% |
| 2倍インバース | −33.5% |
上げに賭けても、下げに賭けても、同じだけ減っています。
ここが最も重要な点です。方向を当てる問題ではありません。 指数がほぼ同じ水準に戻ってきているのに、両方とも3分の1を失っています。
なぜこうなるのか。掛け算の性質です。
100円が20%下がると80円。そこから20%上がっても96円です。元に戻りません。この差が、倍率をかけるほど大きくなります。
上下の激しい相場ほど、減価は速く進みます。
ここに注意
これは、長く持つための商品ではありません。
商品の目論見書にも、そう書かれています。短期の売買を前提に作られた商品です。
| 持つ期間 | 適しているか |
|---|---|
| 1日〜数日 | 設計どおりに動く |
| 数週間 | ずれ始める |
| 数か月以上 | 減価が大きく効く |
「相場は長い目で見れば上がるから、レバレッジ型を長期で持てば2倍になる」という考え方は、成り立ちません。
もう4つ、注意点があります。
1. 信託報酬が高めです。
インデックス型の投資信託が年0.1%前後なのに対し、レバレッジ型は年0.8%程度かかることがあります。減価に加えて、この費用も効きます。
2. NISAの成長投資枠では買えないことがあります。
信託期間が短いものや、高レバレッジのものは、NISAの対象から外されています。 長期の資産形成に向かないと判断されているためです。
制度がそう判断しているという事実は、重く受け止めてよいと思います。
3. 「下げ相場でも儲かる」は正確ではありません。
インバース型は、下げ続けている間は増えます。しかし上下を繰り返せば、上の計算のとおり減ります。
一方向に下げ続ける相場でなければ、機能しません。そしてそれがいつまで続くかは分かりません。
4. 建玉を持っているのと同じ緊張が続きます。
短期前提の商品なので、持っている間ずっと値動きを見ていることになります。このサイトが日々の売買を勧めていないのは、それが多くの人にとって続かないからです。
そのうえで、公平に書いておきます。
この商品自体が悪いわけではありません。 短期の相場観を持っていて、数日で手仕舞うと決めている人には、信用取引より手軽な道具です。追証もありません。
問題になるのは、仕組みを知らないまま、長く持ってしまう場合です。
買う前に、目論見書の「基準価額の変動要因」を読んでください。
減価の仕組みは、そこに書かれています。書いてあるのに読まれていないのが、この商品の実情です。
関連する言葉
- ETF(上場投資信託) 取引所で株と同じように売買できる投資信託。費用が安く、値段がその場で決まる。
- 投資信託 多くの人から集めた資金をまとめて運用する商品。少額で分散できるが、持っている間ずっと費用がかかる。
- 信託報酬 投資信託を持っている間、毎日引かれ続ける費用。払った実感がないまま積み上がる。
- 日経平均とTOPIXの違い 日経平均は株価の平均、TOPIXは時価総額の合計。どの銘柄が上げたかで動きが変わる。
- 空売り(からうり) 持っていない株を借りて先に売り、値下がりしたら買い戻して差額を得る手法。
- 最終更新
- 2026-09-18