株主優待の廃止
優待をやめる会社が増えている。優待目的で買った株は、廃止で大きく下げる。
ひとことで言うと
会社が株主優待をやめることです。近年、増えています。
もう少しくわしく
株主優待は、日本に特有の制度です。自社製品やクーポン、カタログギフトなどが株主に送られます。
個人投資家に人気がありますが、やめる会社が増えています。
理由は主に3つです。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 株主平等の原則 | 一部の株主に届きにくい |
| 配当での還元に切り替える | 現金のほうが公平 |
| 費用の負担 | 発送や管理に手間と費用がかかる |
いちばん大きいのは1つ目です。
株主には、個人だけでなく機関投資家や外国人株主がいます。
| 株主 | 優待を受け取れるか |
|---|---|
| 国内の個人 | 受け取れる。使える |
| 外国人株主 | 受け取っても使えないことが多い |
| 機関投資家 | 制度上、受け取りにくい |
日本のレストランの食事券をもらっても、海外に住む株主には使えません。
同じ株主なのに、受け取る価値が違う。 これは株主平等の原則から見て問題だ、という指摘が強まっています。
コーポレートガバナンス・コードが求める「株主の平等な扱い」とも関わります。
実際の数字で見る
優待の価値は、株価に織り込まれています。 だから廃止されると下げます。
株価2,000円、配当40円、優待3,000円相当の銘柄を考えます。100株が優待の条件です。
| 年間の価値 | 利回り | |
|---|---|---|
| 配当 | 4,000円 | 2.0% |
| 優待 | 3,000円相当 | 1.5% |
| 合計 | 7,000円 | 3.5% |
「総合利回り3.5%」として買われていた、ということになります。
優待が廃止されると、こうなります。
| 年間の価値 | 利回り | |
|---|---|---|
| 配当のみ | 4,000円 | 2.0% |
3.5%が2.0%になりました。 同じ利回りを保つには、株価が下がる必要があります。
4,000円 ÷ 3.5% = 約1,140円
理屈のうえでは、2,000円から1,140円まで下げる余地があることになります。
実際にそこまで下げるとはかぎりませんが、優待目的の株主が一斉に売るため、発表当日に10〜20%下げることは珍しくありません。
そして、優待の比率が高い銘柄ほど下げ幅が大きくなります。
| 優待の比率 | 廃止の影響 | |
|---|---|---|
| 配当2.0%+優待0.3% | 低い | 小さい |
| 配当0.5%+優待3.0% | 高い | 大きい |
ここに注意
優待だけを目的に買わないでください。
これがいちばん大事な点です。
優待は、会社がいつでもやめられるものです。配当と違って、制度上の位置づけもありません。
| 変更のしやすさ | |
|---|---|
| 配当 | 減らすと減配として強く注目される |
| 優待 | 比較的やめやすい |
確かめておくことを挙げます。
1. 優待を除いた利回りで見てください。
「総合利回り4%」と紹介されていても、そのうち3%が優待なら、実質は配当1%の銘柄です。
優待がなくなっても持ち続けたいかを、買う前に考えてください。
2. 業績が悪化していないか見てください。
業績が悪い会社は、優待から先に削ります。 配当を減らすより目立たないためです。
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 業績が悪化 |
| 2 | 優待の縮小・廃止 |
| 3 | 減配 |
| 4 | 無配 |
優待の廃止は、その先の合図であることがあります。
3. 長期保有の条件に注意してください。
「1年以上の保有で優待」という条件をつける会社が増えています。これは短期の優待狙いを減らすための工夫です。
条件が後から変わることもあります。継続保有の条件が追加されたという発表で、株価が下げることがあります。
そして、公平に書いておきます。
優待が悪い制度というわけではありません。
使う予定のある会社の優待なら、確かに価値があります。 自分がよく行く店の食事券なら、額面どおりの価値があります。
問題になるのは、使わない優待を利回りに換算して買うことです。カタログギフトや、行かない店の割引券は、自分にとっての価値は額面より低いはずです。
その優待を、自分は実際に使うか。
この問いに「はい」と答えられるなら、優待は判断材料になります。答えられないなら、配当と業績だけで判断してください。
関連する言葉
- 株主優待 会社が株主に贈る、自社製品や割引券などの品物やサービス。日本独自の慣習。
- 優待クロス 株価の変動を打ち消して株主優待だけを取る手法。費用の計算を誤ると損をする。
- 減配(げんぱい) 会社が配当を前年より減らすこと。株価が大きく下がる要因になりやすい。
- コーポレートガバナンス・コード 上場企業が守るべき行動原則。法律ではなく、従うか説明するかを選ぶ形をとる。
- 配当性向 会社が稼いだ利益のうち、何%を配当として株主に配ったかを示す割合。
- 最終更新
- 2026-09-18