やれやれ売り
買値まで戻ってほっとして売ること。戻り待ちの売りが上値を重くする。
ひとことで言うと
下がっていた株が買値まで戻ってきて、ほっとして売ることです。
もう少しくわしく
名前のとおり、「やれやれ、助かった」という気持ちからきています。
こういう流れです。
| 順番 | 起きること | 気持ち |
|---|---|---|
| 1 | 1,000円で買う | 上がるはずだ |
| 2 | 800円まで下がる | 戻るまで待とう |
| 3 | 700円まで下がる | もう見たくない |
| 4 | 1,000円まで戻る | やれやれ、助かった |
| 5 | 売る | — |
ここで注目してほしいのは、5の判断です。
その人は、株価が1,000円のときに「売る」と判断しました。 しかし1で買ったときは、同じ1,000円で「買う」と判断していました。
同じ値段で、正反対の判断をしています。
会社の中身が変わったのなら、正しい判断です。しかし多くの場合、変わったのはその人の気持ちだけです。
「損しなくて済んだ」ことが、売る理由になっています。 これは会社の価値とは何の関係もありません。
実際の数字で見る
この売りは、株価の動きを実際に重くします。
ある銘柄の、値段ごとの売買の多さを見ます。
| 値段の帯 | そこで買った人 |
|---|---|
| 1,000円前後 | とても多い |
| 900円前後 | 少ない |
| 800円前後 | 少ない |
いま株価が800円で、そこから戻ってきたとします。
| 株価 | 起きること |
|---|---|
| 850円 | まだ静か |
| 950円 | 少し売りが出る |
| 1,000円 | 待っていた人の売りが集中する |
1,000円で買った人が多いほど、そこに戻り待ちの売りがたまっています。その値段に近づくと、売りが一斉に出ます。
これが、抵抗線が生まれる理由の1つです。「なぜかこの値段で跳ね返される」という水準には、そこで買った人がたくさんいるのです。
価格帯別出来高を見れば、どの値段に人が多いかが分かります。
ここに注意
やれやれ売りそのものは、悪いことではありません。問題はその前にあります。
この言葉が指しているのは、売った瞬間ではありません。2と3の期間です。
下がったときに何もせず、ただ待っていたこと。
その間に起きていたことを見てください。
| 期間 | 失っていたもの |
|---|---|
| 800円まで下げた | 含み損 |
| 700円まで下げた | より大きな含み損 |
| 戻るまでの数か月 | その資金で他に投資できた時間 |
元の値段に戻っただけなら、損益はゼロです。 しかし、その間の時間は戻りません。
これを機会損失といいます。1年かけて元に戻った資金は、1年分何も生んでいません。
ではどうすればよかったのか。2の段階で決めることです。
下げた理由を確かめ、持ち続けるかどうかを判断する。
| 下げた理由 | 判断 |
|---|---|
| 業績が悪化した | 売る理由がある |
| 相場全体が下げている | 持ち続ける理由がある |
| 理由が分からない | 調べる。分からなければ減らす |
「戻るまで待つ」は判断ではありません。判断の先送りです。
そして、もう1つ知っておいてください。
やれやれ売りをした人の多くは、その後もう一度買います。
売った後に株価が上がると、「やはり良い株だった」と思って買い直します。1,200円で。
これでは、安いところで売って高いところで買っていることになります。判断を値動きに任せているかぎり、この往復は何度でも起きます。
対処は1つだけです。
買う前に、いくらまで下げたら売るかを決めておく。
決めておけば、下げたときに悩む必要がありません。そして戻ったときも、ほっとして売る必要がなくなります。 持ち続ける理由が残っているかどうかで、判断できます。
関連する言葉
- 塩漬け(しおづけ) 損が出た株を売るに売れず、長期間持ち続けてしまう状態のこと。
- 価格帯別出来高 どの値段でよく売買されたかを示す。多く売買された値段には、そこで買った人が多く残る。
- 支持線と抵抗線 何度も反発している下値と、跳ね返されている上値に引く線。多くの人が意識するため機能する。
- 損切り(ロスカット) 損が出ている株を売って、損失を確定させること。傷が広がる前に止める行為。
- お祈り 根拠なく上がることを願うだけの状態。判断をやめたときにこうなる。
- 最終更新
- 2026-09-17