カブシルベ KABUSHIRUBE
株を学ぶ / 相場の俗語

噂で買って事実で売る

発表を見込んで上がり、いざ発表されると売られること。良い内容でも下がる理由。

ひとことで言うと

発表を見込んで株価が上がり、いざ発表されると売られて下がることです。

もう少しくわしく

噂で買って事実で売る発表を見込んで上がり、いざ発表されると売られて下がる形。 噂が出る前 株価 ここで発表 噂で買われる 事実で売られる
株価発表される頃には、その内容はすでに株価に織り込まれている
発表を見込んで上がり続け、実際に発表された日を境に下げに転じています。良い内容でも、すでに株価に入っているためです。説明のための模式図です。実在の銘柄・企業の数値ではありません。

英語の相場格言 "Buy the rumor, sell the fact" の訳です。材料出尽くしとも言います。

なぜ良い発表で下がるのか。仕組みはこうです。

  1. 「良い決算が出そうだ」と見込まれる
  2. 見込んだ人が先に買う → 株価が上がる
  3. さらに上がるのを見て、他の人も買う
  4. 発表の日には、良い内容が株価に入りきっている
  5. 発表される → 買った人が利益を確定させる → 下がる

つまり、発表の内容そのものではなく、期待との差で動いています。

株価はこれから起きることを先に織り込みます。すでに全員が知っていることは、もう株価の中にあります。

実際の数字で見る

増益発表があった会社の株価です。

時点 株価 出来事
2か月前 100円 —
1か月前 129円 「好決算らしい」と噂が広がる
前日 152円 期待で買われ続ける
発表当日 — 営業利益 前年比+22%と発表
翌日 133円 -13%
1週間後 119円 さらに下落

22%の増益を発表したのに、株価は下がりました。

理由は、市場が+30%程度を見込んでいたためです。+22%は良い数字ですが、期待より低いのです。

そして前日までに52%上げていた分、利益を確定させる売りが集中しました。

ここに注意

この現象があるからといって、「発表前に買って発表前に売る」のは危険です。

「噂で買って事実で売る」を実行しようとする人がいます。しかし、これには3つの問題があります。

1. 噂が本当かどうか分からない。

「好決算らしい」という話に根拠があるとは限りません。公表前の内部情報であれば、それを使った売買はインサイダー取引という犯罪です。

根拠のない噂なら、単に外れます。

2. いつ売るかが分からない。

発表の直前に売るとして、それは何日前か。発表の3日前から下げ始めることもあれば、当日まで上がることもあります。正解が事前に分かりません。

3. 決算発表は取引時間外に行われる。

多くの会社は取引終了後に発表します。つまり発表を見てから売ることはできません。 翌朝、窓を開けて下げた値段からしか売れません。

では、投資家はこの現象をどう扱うべきか。

売買の手口としてではなく、「なぜ良い決算で下がったのか」を理解するために使ってください。

保有している株が、良い決算の翌日に下げたとします。このとき慌てて売る必要があるかどうかは、次で判断できます。

状況 見方
業績は伸びている。期待が高すぎただけ 持ち続ける理由は崩れていない
業績の伸びそのものが鈍化した 前提が変わった。見直す

決算短信の中身を読めば、区別できます。株価の動きだけを見ていると、この区別がつきません。

そしてもう一点。

期待で上がっている株を、期待の高さを知らずに買うのは危険です。

すでに50%上げた後に買えば、良い決算でも下がる側に回ります。買う前に「この株は、すでに何を織り込んでいるか」を考えてください。PERが同業他社より大幅に高いなら、それは期待が入っている証拠です。

関連する言葉

  • 決算短信 会社が3か月ごとに出す成績表。株価が最も大きく動くきっかけになる資料。
  • 上方修正・下方修正 会社が期の途中で業績見通しを変えること。決算発表そのものより株価が動くことがある。
  • 行ってこい 大きく上がった後、結局もとの値段まで戻ること。何も起きなかったのと同じ結果になる。
  • 適時開示 会社が重要な情報をその都度公表する制度。株価に影響する発表は、必ずここを通る。
最終更新
2026-09-16