損益分岐点
売上高と総費用が一致する売上高。ここを超えて初めて利益が出る。
ひとことで言うと
売上高と費用がちょうど同じになる売上高です。ここを超えて初めて利益が出ます。
もう少しくわしく
費用は2種類に分けられます。
| 種類 | 性質 | 例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 売上に関係なく毎月かかる | 家賃、正社員の給料、減価償却費 |
| 変動費 | 売れた分だけかかる | 材料費、仕入れ代、販売手数料 |
ラーメン屋で考えます。
- 家賃と人件費で月40万円(固定費)
- 1杯900円のうち、材料費が450円(変動費。売上の50%)
1杯売るごとに、450円が固定費の穴埋めに回ります。
40万円 ÷ 450円 = 約889杯
月889杯を超えて初めて黒字です。これが損益分岐点です。
計算式はこうです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
実際の数字で見る
固定費40億円、変動費率50%の会社の場合。
損益分岐点 = 40億円 ÷(1 − 0.5)= 80億円
売上高ごとの利益を並べます。
| 売上高 | 変動費 | 固定費 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 60億円 | 30億円 | 40億円 | -10億円 |
| 80億円 | 40億円 | 40億円 | 0円 |
| 100億円 | 50億円 | 40億円 | +10億円 |
| 140億円 | 70億円 | 40億円 | +30億円 |
注目してほしいのは、売上が80億円から140億円へ75%増えたとき、利益は0から30億円になる点です。
固定費は増えていません。増えた売上の半分が、そのまま利益になります。
逆も同じです。売上が80億円から60億円へ25%減っただけで、10億円の赤字に転じます。
ここに注意
固定費の比率が高い会社ほど、売上の変化で利益が激しく動きます。
この性質を営業レバレッジと言います。
| 固定費が高い会社 | 変動費が高い会社 | |
|---|---|---|
| 例 | 工場、鉄道、ホテル、半導体 | 小売、卸売、人材派遣 |
| 売上が伸びたとき | 利益が急増する | 利益はゆるやかに増える |
| 売上が減ったとき | 一気に赤字へ | 赤字になりにくい |
好況時に利益が何倍にもなる会社は、不況時には同じ勢いで赤字になります。 これは経営が下手なのではなく、費用の構造がそうなっているということです。
投資家として押さえるべき点は次のとおりです。
売上高の変化率より、営業利益の変化率が大きい会社は、固定費の比率が高い。
決算でこの形を見たら、逆方向も同じ勢いで起きると考えてください。
もう一つ、実務的な注意があります。
固定費と変動費の内訳は、決算書に載っていません。
損益計算書は「売上原価」「販管費」という分け方で、固定費・変動費では分けられていません。正確な損益分岐点を外部から計算することはできません。
推定する方法はあります。過去数年の売上高と営業利益を並べ、その傾きから固定費を逆算する方法です。ただしあくまで推定です。
当サイトもこの数値を表示していません。ただし売上高と営業利益の推移を並べれば、その会社が固定費の重い商売かどうかは見当がつきます。 個別の銘柄ページで確認できます。
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- 最終更新
- 2026-09-16