パラボリック(SAR)
株価を追いかける点。触れると向きが変わる。横ばいでは何度も往復する。
ひとことで言うと
株価を追いかけてくる点で、株価が触れたら向きが変わったと見る仕組みです。
もう少しくわしく
SARは「ストップ・アンド・リバース」の略です。止まって、向きを変えるという意味です。
使い方は単純です。
| 点の位置 | 見方 |
|---|---|
| 点が株価の下 | 上昇中とみる |
| 点が株価の上 | 下降中とみる |
| 株価が点に触れた | 向きが変わったとみる |
点はだんだん速く近づいてきます。 図を見ると、上昇が続くほど点と株価の間隔が詰まっていくのが分かります。
計算の考え方はこうです。
次の点 = 今の点 + 加速係数 ×(これまでの最高値 − 今の点)
加速係数が要です。高値を更新するたびに、この係数が大きくなります。
| 加速係数 | |
|---|---|
| 始まり | 0.02 |
| 高値を更新するたび | +0.02 |
| 上限 | 0.20 |
つまり、上げが長く続くほど、点は速く追いかけてきます。
これは「利益が乗るほど、損切りの線を速く引き上げる」という考え方です。トレーリングストップと同じ発想です。
実際の数字で見る
点がどう動くか、実際に計算します。
いま点が1,000円、これまでの最高値が1,200円、加速係数が0.02だとします。
次の点 = 1,000 + 0.02 ×(1,200 − 1,000)= 1,004円
4円しか上がりません。しかし高値を更新し続けると、こうなります。
| 回 | 加速係数 | 最高値 | 今の点 | 次の点 | 上がり幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0.02 | 1,200円 | 1,000円 | 1,004円 | +4円 |
| 5 | 0.10 | 1,300円 | 1,050円 | 1,075円 | +25円 |
| 10 | 0.20 | 1,400円 | 1,180円 | 1,224円 | +44円 |
同じ仕組みなのに、上がる速さが10倍以上違います。
これが「加速」の意味です。上げが長く続くほど、点は株価に詰め寄ります。そしていつか追いつき、そこで向きが変わります。
ここに注意
横ばいの相場では、何度も向きが変わって損を重ねます。
これがこの指標の最大の弱点です。
パラボリックは、必ずどちらかの向きを示します。 「分からない」という状態がありません。方向のない相場でも、無理やり上か下かを答えます。
その結果、横ばいではこうなります。
| 起きること | 結果 |
|---|---|
| 少し上げる → 買いとみる | |
| 少し下げて点に触れる → 売りとみる | 小さな損 |
| また少し上げる → 買いとみる | |
| また下げて点に触れる → 売りとみる | また小さな損 |
これを往復びんたといいます。1回ずつは小さくても、手数料と合わせて積み重なります。
対処は決まっています。
流れがあるかどうかを、別の指標で先に確かめることです。
DMIのADXが、まさにそのための指標です。ADXが低い(流れがない)ときは、パラボリックの信号を使わない、という組み合わせがよく使われます。
もう2つ、知っておいてください。
1. 急落には追いつけません。
点は少しずつ動きます。1日で30%下げるような場面では、点に触れた時点ですでに大きく下げています。 決算発表の翌朝に飛んで始まれば、点は何の役にも立ちません。
2. 「向きが変わった」は「反対に動く」ではありません。
株価が点に触れると、仕組みの上では向きが反転します。しかし実際には、そのまま横ばいになるだけのことも多くあります。反転の合図ではなく、今の流れが終わったかもしれない合図です。
最後に、この指標のいちばん実用的な使い方を書いておきます。
売買の合図としてではなく、損切りの目安として使うことです。
「点に触れたら売る」ではなく、「点より下に株価が来たら、持ち続ける理由を考え直す」という使い方です。
上げが続いているあいだ、点は自動的に上がってきます。利益を伸ばしながら、下がったときの損失を限るという点では、よくできた仕組みです。
関連する言葉
- トレーリングストップ 株価が上がるにつれて損切りの水準も引き上げる注文。利益を伸ばしつつ守る。
- 損切り(ロスカット) 損が出ている株を売って、損失を確定させること。傷が広がる前に止める行為。
- 逆指値 「この値段まで下がったら売る」と先に決めておく注文。損切りを自動化できる。
- DMI(+DI・−DI・ADX) 上げと下げのどちらが優勢かと、流れのはっきりさを測る指標。向きと強さを分けて見る。
- ヨコヨコ 上にも下にも動かず横ばいが続く状態。損はしていないが、資金と時間は拘束されている。
- 最終更新
- 2026-09-17