トレーリングストップ
株価が上がるにつれて損切りの水準も引き上げる注文。利益を伸ばしつつ守る。
ひとことで言うと
株価が上がるにつれて、損切りの水準も一緒に引き上げていく仕組みです。
もう少しくわしく
トレールは「追いかける」という意味です。損切りの水準が、株価を追いかけて上がっていきます。
普通の逆指値との違いは、水準が動くかどうかです。
| 損切りの水準 | |
|---|---|
| 逆指値 | 買ったときに決めたまま動かない |
| トレーリングストップ | 高値が更新されるたびに引き上がる |
重要なのは、上げには追随するが、下げには追随しないという点です。
- 株価が上がる → 損切りの水準も上がる
- 株価が下がる → 損切りの水準はそのまま
この非対称性が、利益を伸ばしながら守るという働きを生みます。
実際の数字で見る
買値100円、高値から10%下に置いた場合です。
| 時点 | 株価 | 高値 | 損切りの水準 |
|---|---|---|---|
| 買った日 | 100円 | 100円 | 90円 |
| 上昇中 | 126円 | 126円 | 113.4円 |
| 最高値 | 158円 | 158円 | 142.2円 |
| 下げ始め | 147円 | 158円 | 142.2円(動かない) |
| 発動 | 139円 | 158円 | 142.2円を割った |
139円で売れました。買値から+39%です。
もし普通の逆指値(90円のまま)だったら、下げに耐えて最終的にどこで売るかは自分の判断になります。トレーリングストップは、その判断を機械化します。
逆に、天井の158円で売ることはできません。必ず高値から10%下がってから売ります。 これは仕組み上避けられません。
ここに注意
幅の決め方で、まったく違う結果になります。
幅が狭すぎると、普通の値動きで売らされます。
| 幅 | 結果 |
|---|---|
| 3% | 少しの下げで発動。上昇の途中で降ろされる |
| 10% | 標準的 |
| 25% | 大きく下げるまで持つ。利益を返す幅も大きい |
1日で5%動くのが普通の銘柄に3%の幅を設定すれば、ほぼ確実に数日で発動します。
その銘柄が普段どれくらい動くかを見てから決めてください。ボリンジャーバンドの幅が、その目安になります。
もう3つ、実務的な注意があります。
1. 証券会社によって使えないことがある。
トレーリングストップに対応していない証券会社もあります。また対応していても、銘柄や注文の種類に制限がある場合があります。使う前に確認してください。
2. 窓を開けた下げには無力です。
142.2円に設定していても、悪材料で翌朝いきなり120円で始まれば、120円付近で売られます。 これは逆指値と同じ弱点です。
3. 「発動したら終わり」ではありません。
売った後にその銘柄が再び上がることは、普通にあります。トレーリングストップは利益を確定させる仕組みであって、天井を当てる仕組みではありません。
そして最後に、この手法が向く場面と向かない場面を書いておきます。
| 場面 | 向くか |
|---|---|
| 上昇の流れに乗っている銘柄 | 向く |
| 値幅の狭い横ばい | 向かない(何度も発動する) |
| 長期で持つつもりの銘柄 | 向かない |
3つ目が重要です。業績が伸びている会社を10年持つつもりなら、途中の30%の下落で降ろされては困ります。 その場合は、株価ではなく業績で判断するほうが筋が通ります。
当サイトの分析は、財務データにもとづく数か月から数年の時間軸を扱っています。トレーリングストップは、それより短い時間軸の道具です。目的に合うかを考えてから使ってください。
関連する言葉
- 逆指値 「この値段まで下がったら売る」と先に決めておく注文。損切りを自動化できる。
- 損切り(ロスカット) 損が出ている株を売って、損失を確定させること。傷が広がる前に止める行為。
- 利確(利益確定) 含み益が出ている株を売って、利益を現実のものにすること。売るまで利益は存在しない。
- 握力(あくりょく) 株価が動いても売らずに持ち続ける精神力のこと。「握力が強い」などと使う。
- 最終更新
- 2026-09-16